オシャレでポップなsumikaが歩んだ軌跡
sumikaは2013年結成。現在はボーカル・片岡健太、ドラム・荒井智之、ギター・黒田隼之介、キーボード・小川貴之の4人編成です。
音楽だけでなく、様々な分野の芸術家やアーティストとのコラボレーションを取り入れたライブが話題となり、楽曲が持つポップかつキャッチーな世界観と合わせて人気を集めていきました。
片岡健太の作詞作曲によるあたたかく人間味あふれる歌詞が魅力の一つ。
子供と大人の狭間を生きるような世代に刺さるエモーショナルな恋愛模様を描いて見せたり、時にはコミカルな一面も見せる表現のセンスに多くのファンが魅了されました。
落ち着いた雰囲気を取り入れつつも、エネルギッシュな楽曲を中心に発表していた活動初期のsumika。
そんな彼らが放った代表曲の一つが『ふっかつのじゅもん』ではないでしょうか。
多彩な構成で聴き手を飽きさせないアレンジが施されたロックな一曲。
当時のsumikaらしいエネルギッシュさと若さ、そして歌詞のコミカルさが見事に一体となった楽曲で、往年のファンから愛される代表曲の一つです。
そして、そんなsumikaのサウンドに新しい要素をもたらした大ヒット曲が2016年に発表されます。
爽やかなアコギの音色、情感あふれるストリングスやピアノのアレンジでポップに恋を歌い上げる『Lovers』です。
まさにその後のsumikaの音楽性を決定づけ、また同時に新たなファン層を獲得し大人気アーティストへと上り詰めるきっかけとなったこの曲。
ちょっぴりオトナな恋愛を描いた片岡健太らしい人間味あふれる歌詞は、健在ながらもアコースティックな音色を取り入れた爽やかなサウンドがオシャレな音楽ファンを虜に。
現在でも聴き継がれるヒットナンバーとなっています。
その後も精力的に活動を続け、大人気ドラマやテレビCMとのタイアップを数多く獲得。
各種大型ロックフェスの常連にもなり、音楽ファンの間では知らない人はいないほどの一流バンドに成長を遂げました。
「Lovers」から聴きつなげる隠れた名曲を紹介
sumikaの代表曲としてよく名の挙がる『Lovers』『フィクション』『MAGIC』 といった楽曲たち。今回はさらに少し掘り下げてファン必聴の隠れた名曲の数々を紹介します。
爽やかなデビュー曲に見えるsumikaの原型「雨天決行」
デビューアルバム『新世界オリハルコン』一曲目に収録された、まさにsumikaの始まりを告げる一曲。
爽やかなギターのサウンド主体のアレンジで進んでいく王道の邦ロックナンバーとなっています。
デビュー1曲目にして、片岡健太のソングライティングセンスは抜群。
自身の持つエモーショナルな声質を最大限に振るわせるサビのメロディーは、非常にポップで繊細。
今現在もsumikaが持つ魅力がこの時点で完成されていることに驚きですね。
カップリングの隠れた名曲「坂道、白を告げて」
大ヒット曲『MAGIC』が収録された『SALLY e.p.』のカップリングとして、2曲目に収録されている『坂道、白を告げて』。
こちらもsumikaらしい爽やかさが爆発力あふれるサビで昇華されています。
カップリングということで比較的知名度が高くない楽曲ではありますが、ファンからは隠れた名曲との評価も多い一曲です。
爽やかなサウンドからは、まるで情景が浮かんでくるよう。
日常の中に小粒のスパイスとして加えられたような、ささやかな幸せを感じさせる軽いタッチのサウンドが楽曲の完成度を高めています。
そんな中訪れるCメロの部分にはぜひ注目。
片岡健太らしい遊びが存分に含まれた歌詞の中で、それ自体が歌詞であることを明かすいわゆる「メタ発言」的な表現に思わずクスリとさせられます。
アルバム曲ながらライブの定番!「Flower」
2019年発売の最新アルバム『Chime』に収録されている『Flower』。
シングル曲でないにも関わらず、発表以来ライブや各種フェスのセトリでは定番となっており、ファン全員で声を合わせて歌う姿が印象的な一曲です。
エキゾチックな中華テイストを感じさせるイントロのギターリフから始まり、片岡健太によるちょっぴりルーズな雰囲気が心地よいラップのパートへ繋がる構成は、今までの楽曲にはない新鮮さを打ち出しつつもsumikaらしいコミカルさを存分に表現しています。
なんといっても聴きどころは、掛け声ポイントが数多く配置されたノリノリのサビ。
希望に満ち溢れたサウンドが、歌詞のポップさをさらに強調していますね。
sumikaの進化は止まらない!多彩な楽曲を堪能しよう
音楽性を柔軟に変化させながら、多彩な世界観をファンに見せてきたsumika。
しかし彼らのサウンドは一貫して「優しさ」や「あたたかさ」に満ち溢れています。
それは「住処」という言葉をもとに「本当に好きなものを、好きな人に向けて、たくさん渡せるチームを作れるように」という思いを込めて付けられたバンド名の由来からもわかるように、ボーカル・片岡健太を中心とした音楽に対する精神性がデビュー以来揺らいでいないことの証明とも言えるのではないでしょうか。
様々な層のファンを獲得し、成長を続けるsumika。
2020年代も彼らの音楽は私たち音楽ファンに心地よい「住処」を与えてくれることでしょう。
今後も彼らの活動から目が離せませんね。
TEXT ヨギ イチロウ