関ジャニ∞の歴史が詰まった一曲
『咲く、今。』は、2019年3月6にリリースされたシングル『crystal』に収録された楽曲です。
出会いと別れを歌ったこの曲は、卒業シーズンのこの時期にこそ聞きたい名曲のひとつ。
関ジャニ∞のファンにとっては、さらに特別な意味を持った楽曲ともいえるでしょう。
それでは『咲く、今。』に込められた、切なくも温かいメッセージを読み解いていきましょう。
苦労を共にしたきた仲間たち
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出会って別れて笑って泣いて
僕らは今 はじまるから
≪咲く、今。 歌詞より抜粋≫
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歌い出しの歌詞から、出会いと別れが多い卒業シーズンにぴったりです。
出会いと別れというテーマは、関ジャニ∞とも切っても切れないものなのでしょう。
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期待外れの天気に意味もないグチをこぼしては
窓の外にあった小さなつぼみ ぼんやり見ていた
手に余るくらいにあったはずの時間はいつの間にか
何かに追われて逃げてゆくように せわしなく通り過ぎて
≪咲く、今。 歌詞より抜粋≫
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つぼみが開くのを今か今かと待っている心境は、関ジャニ∞の歴史とも重なります。
彼らはジャニーズグループの中でも遅咲きで、デビューからの道のりは平坦ではありませんでした。
売れるまでに長い歳月をかけ、メンバー自身が考え、模索し、苦しみながら前に進んできたグループです。
だからこそ、明るさばかり描かれているのではないこの歌詞が、聴く人の心に刺さるのでしょう。
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ひとりきりで歩いていると 思い込んでいたのか夢の途中
桜咲いたあの季節ほど 溢れだしたことはない「ありがとう」と
≪咲く、今。 歌詞より抜粋≫
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前に進めず苦しい時、思ったような結果が出ない時は、つい孤独に陥ってしまいがちです。
“自分だけが苦しんでいるのではないか?”と、考えてしまうこともあるでしょう。
しかし、夢が花開いた時に初めて、自分が一人ではなかったことを知るのです。
苦しい思いをしてきた時も、前に進もうと顔を上げて歩み続けた瞬間も、隣を見ればそこには仲間がいました。
そのことに気づいた瞬間、溢れ出す涙と「ありがとう」。苦難を共にしてきた関ジャニ∞にぴったりの歌詞です。
やがて訪れる別れ
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同じ想いで走ったって 同じ道は続かなくって
みじめな姿も見せ合えた あの毎日が遠のいてく
心にこびりついた後悔を捨てて
今はどれだけ泣いてもいい「さよなら」
≪咲く、今。 歌詞より抜粋≫
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苦楽を共にしてきた仲間と、ずっと同じ道を歩けるとは限りません。
関ジャニ∞も、ファンも、永遠に7人の関ジャニ∞が続いていくと思っていたことでしょう。それでも、別れはやってきました。
長年連れ添ったメンバー、渋谷すばるとの別れを歌っているかのようなこの楽曲は、6人体制の関ジャニ∞としてリリースされていますが、今はもう5人体制。
そして、6人体制での最後のライブとなった「十五祭」でも『咲く、今。』は歌われました。
大倉忠義が演出を担当した「十五祭」は、本当に特別なステージで、その楽曲を選んだ意味や、今歌われる意味を考えさせられる内容になっています。
だからこそファンは『咲く、今。』を聴いて、別れを覚悟したことでしょう。
それくらい、この楽曲は深い意味を感じさせ、積年の思いをよみがえられせてくれるのです。
「今はどれだけ泣いてもいい」「さよなら」という歌詞が、心に突き刺さりますね。
それだけ、旅立つ仲間が現メンバーにとって大切な存在であると証明しているでもあります。
彼らがどんな思いで仲間を見送ったのか。その思いが垣間見えるような、切なくも温かい楽曲です。
再会を誓うような歌詞
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ひとりきりで歩いていると 思い込んでいたのか夢の途中
桜咲いたあの季節ほど 溢れだしたことはない「ありがとう」と
≪咲く、今。 歌詞より抜粋≫
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出会って別れて笑って泣いて
僕らはまた見つけに行くんだ
咲けばいつかは散るとしても
ずっと懸命に咲いてみるから
それぞれの今 はじまるから
≪咲く、今。 歌詞より抜粋≫
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サビの部分は、まるで去って行った仲間へのエールでもあり誓いでもあるかのようです。
"自分たちは絶対に負けないから、お前も頑張れ!"
そんな声が聞こえてきそうです。
関ジャニ∞にとっては、離れて行った仲間も永遠にメンバー。
仲間でありライバルであることに変わりはないのです。
"だからこそ、いつか再会した時に笑われないように、しっかりと今のメンバーで手を繋いで走っていこう!"
そんな思いが詰まった楽曲だから、涙を誘いつつもどこか温かい気持ちになれるのでしょう。
桜の季節にぴったりなこの曲で仲間を見送った関ジャニ∞。
「今はただ必死に咲いているから」「ずっと懸命に咲いてみるから」
遅咲きの関ジャニ∞らしい、飾らず、泥臭く、けれど力強い言葉です。
まだまだ関ジャニ∞と夢を見ていきたい、彼らを追いかけたい。そう思わせてくれるグループです。
これからの関ジャニ∞がどんな景色を見せてくれるのか、楽しみでなりません。
TEXT 岡野ケイ
▷関ジャニ∞ オフィシャルウェブサイト ▷ベストアルバム「GR8EST」 特設サイト