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雪のように儚くも美しい失恋ソング Kinki Kids「雪白の月」

失恋ソングは世界中に数多く存在しますが、その中でもKinki Kidsの『雪白の月』は、誰もが引き寄せられるような特別な魅力があるように思います。ファンの間でもとても人気の高いこの曲。さっそく歌詞の内容を読み解きます。

ファンの圧倒的な支持を誇る隠れた名曲


画像引用元 (Amazon)

『雪白の月』は、2005年にリリースされたKinki Kidsのシングル『SNOW!SNOW!SNOW!』の通常版に収録されているカップリング曲です。

この曲は隠れた名曲としてファンの間でとても人気が高く、Kinki Kidsのベストアルバム『39』の中で人気投票の結果、第3位を獲得しています。

シングルのメイン曲ではないにもかかわらず、多くの人にここまで支持される理由とはいったい何なのでしょうか。

『雪白の月』の作詞を手掛けたSatomiと作曲を担当した松本良喜のタッグは、実はこの作品が初めてではありませんでした。

彼らは過去に中島美嘉の『雪の華』や、柴咲コウの『月のしずく』などの素晴らしい作品を世に送り出しています。

これらの作品を思い返してみると、切なくも艶やかなバラードを独特な言葉で丁寧に紡いでいるのがとても印象的です。

こうして優秀なクリエイターが創り上げた『雪白の月』の世界観が、Kinki Kidsの音楽性とマッチしたことで、作品と歌手がお互いの魅力を引き出す相互関係を築き上げることに成功したのでしょう。


風景が目に浮かぶ繊細な言葉選び



『雪白の月』の魅力は何と言っても「繊細な言葉選び」と「詩に寄り添ったメロディー」ではないでしょうか。

この曲を聴くと、主人公が見ている風景がクリアに想像出来たり、その時の彼の感情が心の奥に沁み込んでくるような気がします。

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君がいなくなったあのとき
あらためて気がついたんだ
至るとこにばらまかれた
ふたりの脱け殻
何も変わってない部屋だけど
何かが変わった気がする
いつかのように笑えるように
頑張ってはいるけど…
≪雪白の月 歌詞より抜粋≫
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付き合っていた彼女と別れてしまった彼。2人で住んでいた部屋に今も1人で住み続けているようです。

中身のない「抜け殻」とは、彼女が残した持ち物や二人の思い出を指すのでしょうか。

かつて確かに彼女がこの部屋にいたという証なのでしょう。

「何も変わってない部屋だけど何かが変わった気がする」からは、きっと彼の中で彼女の存在はとても大きいものだったことが分かります。

「いつかのように笑えるように」とは、彼が自然に笑えていた時、つまり彼女と過ごしていた幸せな時間を表しているのではないでしょうか。

恋愛に不器用な男性心理



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弱さを見せたくなくて
無駄に強がる
この僕は君の瞳に
どんな風に映ったの?
≪雪白の月 歌詞より抜粋≫
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誰でもパートナーの前では常に素敵な人でありたいと思うのではないでしょうか。

しかし、その気持ちが空回りして見栄を張ってしまったりすることもあるかもしれません。

曲中の彼も自分の弱さを見せたくないという気持ちから、彼女の前で強がってしまったことを後悔しているようです。

なぜなら彼女は彼の弱い部分やかっこ悪い部分さえ包み込んで愛したかったはずなのに、彼は強がって本当の自分を隠そうとしたからではないでしょうか。


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君と一緒に居たあの頃
時々、愛を窮屈だと
この身体のどこか片隅で
感じ震えていた
≪雪白の月 歌詞より抜粋≫
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恋愛する中で、時に愛を重たいと感じたり、煩わしいと感じるのは誰しもが通る道ではないでしょうか。

彼も彼女を愛する半面、心のどこかで自由になりたい気持ちも抱えていたのだと思います。

しかし「誰かに愛してもらえることは決して当たり前ではない」と彼が気づいたのは、残念ながら彼女を失った後だったのでしょう。

胸を掴まれるような「美しさ」と「切なさ」


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空に浮かぶ雪白の月
見上げるたびに思う
愛しただけ胸が痛む
ぽっかりと 穴が開いたみたい
≪雪白の月 歌詞より抜粋≫
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「雪白」とは「雪のように白い様」や「純白」を意味します。

暗い夜空に浮かぶ真っ白な月は、まるで空に開いた穴のようにも見えます。

そんな情景が、彼の胸に「ぽっかりと穴が開いた」ような喪失感と視覚的にもリンクするのではないでしょうか。

想像するだけでも鳥肌が立つような美しい風景が目に浮かぶのではないでしょうか。

「愛しただけ胸が痛む」の歌いまわしで胸をギュッと掴まれる方も多いと思います。

フレーズの頭が抜けるように高くなるメロディーが印象的ですが、これをKinki Kidsがファルセットで切なく歌い上げたことで、言葉では言い表せない深い味わいを感じることができるでしょう。


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さようならと言われるよりも
言う方がきっとツライ
もしあのとき切り出せたら
この痛み楽になっていたかな。
≪雪白の月 歌詞より抜粋≫
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おそらく別れを告げたのは彼女の方からだったのでしょう。彼は別れを告げられた自分よりも、別れを告げた彼女のほうが辛かっただろうなと、過去に想いを馳せています。

「この痛み」というのは自分よりも彼女に辛い思いをさせてしまったという「後悔」ではないでしょうか。

あの時自分から別れを告げていれば、彼女に辛い思いをさせずに済んだのかもしれません。

このパートの歌詞からは、傷つきながらも自分より彼女のことを心配する彼の優しさや思いやりが伝わってきます。


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君がいなくなってはじめて
シアワセの意味を知った。
≪雪白の月 歌詞より抜粋≫
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「本当に大切なものは失ってからはじめて気づく」とよく言いますが、彼にとっても彼女はそんな存在だったのでしょう。

彼が見に見えない「シアワセ」を実感できたのは、まぎれもなく彼女と過ごした時間のおかげなのでした。

『雪白の月』の特徴の1つは、Kinki Kidsの歌声を最大限生かした構成にあると思います。

1番の歌詞は2人の歌割を完全にソロとして分け、それぞれに芯のある声を持つKinki Kidsだからこそ引き出せる表現を存分に発揮させています。

初めて登場するサビをあえて落ちサビのように落ち着かせた曲調で進行させることで、静寂の中に美しく輝く『雪白の月』のイメージをより深めることが出来たのではないでしょうか。

そして、2番のサビの部分では高いクオリティーのハモリを楽しむことが出来ます。

同じメロディーでもフレーズによってユニゾンだったりハモリだったりと変化しているので、ぜひ隅から隅までじっくり聴いてみてください。


TEXT kawer

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