全く良くない過去と現状
----------------
今日までの記憶の全部を
消してしまう時まで眠れない
あしたから生きていく自分の身代わりが欲しくて堪らない
≪フィクサー 歌詞より抜粋≫
----------------
今日までの記憶を消したいということは、主人公は現状が好ましくなく、過去を振り返ってみても、いい記憶がほとんどないということなのでしょう。
今までの記憶を全て消すか、明日から身代わりが自分の代わりとして生きていくしか好転することはないとしか思えない状態に、主人公は置かれているようです。
----------------
大丈夫と言わせて 後から君のせいにさせてはくれないか
今更意味ないから後から君のせいにさせてはくれないか
≪フィクサー 歌詞より抜粋≫
----------------
「君」に大丈夫と言ってもらうことで、ひどいことになっても「君」が大丈夫と言ったから、という免罪符を得ようとしているようです。
どうにもならない現状を「君」のせいにすることで、なんとか心の均衡を保とうとしていることから、主人公の追いつめられている様子が伺えます。
追いつめられていく精神
----------------
出来ない約束を
とうとうと溢れる一言一言ばかりに脳を奪われるくらい
意味を成せない 何も出来ない
見えない 逃げたい 飛びたい やめたい 逸らせない
≪フィクサー 歌詞より抜粋≫
----------------
さまざまな言葉に頭が支配され、なにも考えられずに、ただ何をやっても意味がないという無気力感を覚えているようです。
現実から逃げ出したい、今すぐ飛び降りて楽になりたい、全てをやめてしまいたいと思っても現実から目を逸らすことを許されない。
そんな状況下に置かれじわじわと壊れてしまっているのではないでしょうか。
サビ前の畳み掛けるような歌詞は逃げたいのに逃げられないという焦燥感を、より一層引き立てているようにも思えます。
そして「フィクサー」に
----------------
死んでしまえ しまえ
この先も過去も知らず 嫌いなら
壊せ 壊せ
どうせなら加害者になればいい
≪フィクサー 歌詞より抜粋≫
----------------
主人公は、過去も未来もどうでもいいから、死んでしまえばいいと自分自身を追い詰めます。
しかしそこまで追い詰められた主人公は、自暴自棄の果てに、どうせ壊されてしまうなら先に壊してしまえばいいと思いつきました。
自ら「加害者」になることで、この行き場のない思いをぶつけようと思ったのです。
----------------
食べきれない苛立ちも
何も生まない悲しみも
味気なくて吐き出す前に
もう もう次を歌え
≪フィクサー 歌詞より抜粋≫
----------------
いくら苛立ちを覚えようが、悲しい思いをしようが、その苦しみを味わう前に先に与えてやろうと思い立ちます。
ずっと悩み苦しんでいた主人公はそう決めてしまったようです。
赤と黒が目を惹くMVも魅力的な『フィクサー』。
タイトルを和訳すると面倒な出来事を陰で処理する人を指す言葉とのこと。
ネガティブな印象を受ける単語のようです。
もしかしたら主人公はそんなフィクサーのように生きると決めたのかもしれませんね。
TEXT Noah