なんでもない日常が崩れていく
8月15日の午後、少年少女は夏休み真っ只中の暑い日でした。
よく晴れていて、熱中症にでもなってしまいそうな日です。
世間はお盆ムードですが、少年には関係が無いのか、友達の少女と特にすることも無く過ごしていました。
車道の信号機は青。
少女は猫を追いかけ横断歩道に飛び出し、急発進したトラックに轢かれてしまいます。
少年は、それを見ていることしか出来ませんでした。
少女の血しぶきが飛び散り、あまりの暑さで陽炎が見えます。
現実感がないものの血の香りや体感する暑さが、視界に捉えている光景が嘘ではないと訴えてきます。
あまりに信じがたい現実に少年は、夏らしく晴れ渡った清清しい水色の空を仰ぎながら蝉の鳴き声と共に気を失いました。
次に少年が目を覚ましたのは、自分のベッドでした。日付は8月14日。
どうやら少女が死ぬ光景は夢だったようです。
しかし、少女が轢かれたときに聞いた蝉の鳴き声が忘れられません。
繰り返される少女の死とループを終わらせるための切り札
何度も少女を助けようとしても、目の前で死ぬ光景を見ては意識が遠くなり、気が付くとベッドの上。
夢か現実かもわからないまま8月14日と15日を繰り返し、少年の精神は疲弊していました。
あの手この手で回避をしようとしても、結局少女は死んでしまいます。
少年は少女の死の瞬間、陽炎の中に見るあざ笑うような人影が黒幕だと断定していました。
しかし、いくら繰り返しても少女が死ぬ運命は変えられず、少年はずっと気付いていたものの実行しなかった切り札を使うことにしたのです。
それは少女の代わりに自分が犠牲になることでした。
もう何度も見たトラックに少女が飛び込んでいく瞬間。
少女の体を押しのけ、その反動で少年の体は、トラックの前に躍り出します。
視界の中、陽炎の中に見た黒幕らしき人影は悔しげな表情。
少年は少女を助け、このループを終わらせることが出来ると、痛む体を無視して勝ち誇った笑みを浮かべました。
視点は代わり、新たな終わりの見えない8月が始まる
8月14日、少年が終わらせたはずのループは続いていました。
「またダメだったよ」と言う人物は、少年が庇って助けた少女でしょう。
少女を助ければ終わらせることが出来る、そう思った少年でしたがその考えは間違いでした。
また、少女も同じように少年を助けようと何度もループを繰り返していたようです。
少年が見た陽炎の仕業か、お互いがお互いを助けたいと思い続ける限りなのか、どちらが死のうとループは終わらないのです。
ボカロ界の一世を風靡した『カゲロウデイズ』。
楽曲を制作したボカロP、じん(自然の敵P)の初めての100万再生を突破した楽曲です。
後にファンメイドとして、わんにゃんぷーが自己解釈の描いてみたPVを投稿し、話題になりました。
さまざまなボカロPや楽曲が話題に上がる中『カゲロウデイズ』は、未だにカラオケのボカロ曲ランキングに入るほどの人気を維持しています。
最初は、ただグロテスクな曲だと思っていたものの、久々に聴くと伴奏も凄くカッコいいことに気付いたという声もあります。
投稿されて話題になってからかなり経ちますが、未だに聴いている人も多い楽曲です。
当時この楽曲が好きだった人もそうでない人も、久々に聴いてみては如何でしょうか?
TEXT Noah