ラブレターのような歌詞
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ビックリした。こんなにもあなたの事考えたの初めてだ。
家族なのに、いやだからか、当たり前過ぎたのか。
あれがこうなって それがどうなってなんて
難しく考えないで たまには大声で笑えば
≪20825日目の曲 歌詞より抜粋≫
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嵐メンバーの中でもギターやピアノなど、楽器に触れる機会が多く、自身で作詞作曲も行っている二宮和也。
彼の作り出す歌詞は独り言のような、誰かへの手紙のような語り口調で描かれることがよくあります。
『20825日目の曲』も、「ビックリした」という独り言のような歌詞から始まっていますね。
そしてすぐに、それが家族に宛てた言葉だと分かります。
家族だから、いて当たり前の存在だからこそ、普段じっくり相手のことを考えることはないかもしれません。
母には言えない秘密
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俺はさ、あなたの息子で。あなたはそう俺の親であって。
たまたまかも知れないけど、それだけは唯一の誇りで
恥ずかしいから言ってないけど。
そう思ってるよ…
≪20825日目の曲 歌詞より抜粋≫
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サビの歌詞でようやく、この曲が母親に向けられたものだと分かります。
「俺はさ、あなたの息子で。あなたはそう、俺の親であって。」
非常にシンプルで、まさに当たり前のことを、あえて歌詞にすることで、目には見えない思いが浮き彫りになります。
子供は親を選んで産まれてくるわけではありません。
だからこそ、母子の出会いは偶然の産物。
それでも、その偶然を誇りに思えるほど、感謝しているのです。
実はそんな縁を誇りに感じているのに「恥ずかしいから言ってない」ところが、なんとも息子らしいですね。
でもこっそり心の中では思っている。心の中が温かくなるような、シンプルで優しい歌詞です。
母を労る言葉
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最近白髪 目立つようになったから。
もういいんじゃない?
ずっと人の為に生きてきたんだからこれからは
やりたいように生きる…っても無理だな。
優し過ぎるから。
≪20825日目の曲 歌詞より抜粋≫
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どうやら母親は、人のことばかり気に掛ける人のようですね。
母親の髪に白髪が目立ち始め、年齢を感じる頃。
子供にとっては寂しくもあり、愛おしくも感じる瞬間でしょう。
長年、人のために尽くしてきたからこそ、そろそろ自分のために生きて欲しいと願うものの、そうできないことも分かっているのです。
「優しすぎるから」という歌詞に、母親を労る気持ちがにじみ出していますね。
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何でかな?ドラマチックに書けないや。
本当普通過ぎて。
でもそれが俺達なんだね。今までもこれからもずっと。
このままでいいよ。行こう。
思ったように…
≪20825日目の曲 歌詞より抜粋≫
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「何でかな?ドラマチックに書けないや。本当普通過ぎて。」
家族という、あまりにも当たり前すぎて見落としがちな存在。
けれどかけがえのない存在。
当たり前のことをシンプルな言葉で書き綴ることで、見落としてしまいがちな幸せに、ふと目を向けたくなります。
来るべき「いつか」
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ずっとこのまま歩いて行けば、きっといつか来るんだよな…
もし、俺があなたの立場になったのならどう思うのだろう?
その時、分かるのが悔しいんだよ。
あなたの偉大さを…
≪20825日目の曲 歌詞より抜粋≫
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長い人生をずっと歩み続けていくと、いつか自分が「親」になる日も訪れます。
そんな未来に思いを馳せた時、ふと感じるのは、母親の偉大さ。
母親は、子供にとって、生まれた瞬間から母親です。
当たり前に愛情を注ぎ、当たり前に守ってくれる存在だったからこそ、気づかなかったことです。
「その時、分かるのが悔しいんだよ。あなたの偉大さを…」
きっと、大人になっただけでは分からないものです。
親の偉大さに気づくのは、自分が親になった時なのでしょう。
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だからね、多分言わないよ。ばあちゃんはすごい人だって
だって悔しいから。でも
ありがとう…
≪20825日目の曲 歌詞より抜粋≫
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まだ見ぬその日に、親になった自分が思い知る母親の偉大さ。
だけど正直に言うのは悔しいから「多分言わないよ。」。
「でも、ありがとう…」という最後の歌詞に、面と向かって「ありがとう」と言えない、息子ならではの照れがありますね。
どこまでも等身大の二宮和也がそこにいます。飾らない言葉で綴るからこそ、聴く人の心に響くのでしょう。
「20825」が意味するものは?
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『20825日目の曲』というタイトルを目にして、数字の意味が気になった人は多いでしょう。
実はこの数字、二宮の母親が産まれてから『20825日目の曲』を収録したアルバム『LOVE』が発売される日までの日数を示しているそうなのです。
世界でたった一人の、母親へのプレゼントともいえるこの曲。
数字に特別な意味を込めて曲名にするところが、二宮らしいですね。
母親にとって、この上ないプレゼントではないでしょうか。
TEXT 岡野ケイ