デビュー復帰作にふさわしいタイトル
SUPER BEAVERは、2005年の結成からインディーズ、メジャーデビューを経て、順調に活動をしていましたが、一度レーベルを離れます。メジャーで活躍していた時代には、人気アニメ『NARUTO』のエンディングテーマを手がけ話題になりました。
しかし、一度レーベルを離れ、自主レーベルを立ち上げていた期間があります。
そんな彼らが2020年4月8日に再度メジャーに復帰。
デビューしてからずっと、メジャーで活動していたわけではない彼らにとって『ひとりで生きていたならば』は特別な曲なのではないでしょうか。
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ひとりで生きていたならば こんな気持ちにならなかった
予想を遥か超えていく 嬉しさを 知っているのさ
≪ひとりで生きていたならば 歌詞より抜粋≫
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歌い出しの歌詞から『ひとりで生きていたならば』という、タイトルにもなっているフレーズがさっそく登場するのが印象的ですね。
一見孤独や寂しさを感じさせるようなタイトルですが、冒頭の歌詞で『ひとりで生きていたならば』というタイトルが、マイナスの意味で使われていないことがわかるでしょう。
一人で生きていたら気づけないことや、味わえない想い。
そういったものに想いを馳せ、一人じゃないということに感謝しているのです。
この楽曲には、実に8回も「ひとりで生きていたならば」という歌詞が登場します。
何度も同じ歌詞を登場させることで、誰かに支えられて生きることの喜び、大切さを強調している点が見事ですね。
「こだわる」ことは生きること
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生きることは 難しくて
何となくじゃ 居られないよ
こだわること やめてしまえば
過去が嘘に変わる
≪ひとりで生きていたならば 歌詞より抜粋≫
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何にもこだわらず、ただ何となく生きてしまえば、人生は楽かもしれません。
しかし、何にもこだわらず、楽な方へと流されてしまえば、大切なものさえ失ってしまうでしょう。
ここで歌われている「こだわること やめてしまえば 過去が嘘に変わる」というのは、SUPER BEAVER自身のことと重なります。
メジャーデビューを果たした後、自主レーベルを立ち上げ、今年になって再びメジャーに返り咲きました。
そんな彼らだからこそ「こだわること」がきっと大切なのです。
音楽を作るということは、自分たちの世界を表現することに他なりません。
誰かの心に響く音楽を作るためには、並々ならぬ努力とこだわりが必要なはずです。
メジャー復帰作だからこそ、彼らの抱える想いが色濃く反映されているのではないでしょうか。
“今まで頑張ってきたことを嘘にしないために、どんなに辛くても、こだわりを持って進み続けよう。”
そんな彼らの決意表明のように感じられます。
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悔しくて 哀しくて 虚しくて 苛立つ夜は
それでも 愚痴では 明けやしない 理不尽でも
悔しくて 哀しくて 虚しくて 苛立つだけで
終わらせることが 何より 悔しいよな
≪ひとりで生きていたならば 歌詞より抜粋≫
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どれだけ頑張っても、評価されなかったり、届かなかったりしますよね。
正解のない世界だからこそ、もがいても出口が見えず、もどかしさを抱えてしまうこともあるでしょう。
出口の見えない焦りや葛藤、苛立ちを抱えながら、それでもどうにか前を向こうとする、SUPER BEAVERの強い意志を感じます。
等身大の歌詞が刺さる
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生きることは 面白くて
予想外の 連続で
これだからさ やめられないな
≪ひとりで生きていたならば 歌詞より抜粋≫
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1番の歌詞では、生きることは難しいと言っていたのに、ここでは生きる喜びを見いだしています。
「予想外の連続」の人生を嘆くのではなく、だからこそやめられないと言い切る歌詞からは、仲間がいることへの誇らしさを感じます。
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自分自身を 諦めそうなときに
思い浮かぶ 人と 想いと 記憶と
ともに 心の底から笑い合うんだ
それだけ 譲らずに こだわっていくよ
≪ひとりで生きていたならば 歌詞より抜粋≫
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叶わない夢や大きな壁を前に、心が折れそうになることは数多くあるでしょう。
一人なら簡単に諦めてしまうような時でも、仲間やファンの存在が背中を押してくれます。
出会ってきた人の顔や、それぞれの想いが支えになり、メジャーに返り咲くまで夢を追い続ける原動力になったのかもしれませんね。
自分を思ってくれる人の存在というのは、信じられないほど大きな力になることがあります。
メジャーデビュー後、自主レーベル立ち上げを経て、再びメジャーに戻ってきた彼らが歌うからこそ刺さる歌詞ですね。
「ひとりじゃない」という強さ
『ひとりで生きていたならば』は、随所で一人ではないことへの喜びが歌われています。----------------
たった
ひとりで生きていたならば こんな気持ちにならなかった
ひとりで生きていたならば 理不尽も許せたかもな
ひとりで生きていたならば ひとりで生きていないから
悔しさ込み上げるほどの 「大切」に出会えたんじゃないか
こだわって生きると 今一度 言い切るよ
原動力はずっと ひとりで生きていないこと
≪ひとりで生きていたならば 歌詞より抜粋≫
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一人じゃないからこそ抱えてしまう想いがある中で、一人じゃないからこそ味わえる幸せもたくさんあります。
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僕ひとりの話ならば こんな気持ちにならなかった
僕ひとりの話ならば いくつ誤魔化しても良かった
ひとりで生きていたならば ひとりで生きていないから
予想を遥か超えていく 嬉しさを知っているのさ
≪ひとりで生きていたならば 歌詞より抜粋≫
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自分一人なら、傷ついても、バカにされても、理不尽と戦っていく勇気は湧いてこないかもしれません。
でも仲間がいるから認められない悔しさや、理想と現実の狭間で苦しんだりするのでしょう。
人は、大切なものや人がいると、どんな逆境でも踏ん張れるのかもしれません。
この楽曲は、”一人で生きていたら楽なのに”というような、マイナスの意味合いではなく、”一人じゃなくてよかった”という、プラスの意味が込められているのでしょう。
理不尽さも悔しさも、一人では味わえないものばかり。
どんなに苦しくても、涙を流しても、みんなと繋がっていたい、そんな想いをひしひしと感じます。
まさに、メジャーに復帰した彼らの決意表明。
“どんな苦境でも決して逃げず、自分たちの音楽を待ってくれている人のために、仲間と手を取り合って進んでいこう。”
そんな決意を感じます。
これから先、SUPER BEAVERがどんな音楽を届けてくれるのか、楽しみでなりません。
TEXT 岡野ケイ
SUPER BEAVER(スーパービーバー)。 渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“35才”広明(Dr)の4人によって2005年に東京で結成された。 2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビュー。 2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、···