忘れられない恋を描いた失恋ソング
シンガーソングライター杏沙子の『見る目ないなぁ』は、7月8日にリリースされた『ノーメイク、ストーリー』のリード曲として発表されました。
彼女本人が出演するMVは、コンビニからの帰り道に終わってしまった恋を振り返る内容となっています。
”実際に「見る目ないなぁ」って泣きながら歩いた帰り道から生まれた”という失恋ソングは、忘れられない恋に寄り添う優しさも持っている楽曲です。
切ない歌詞が描く物語を見ていきましょう。
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君はやさしかった
特別やさしかった
たしかにやさしかった
でも一番じゃなかった
コンビニで買った
お酒がまずかった
知らないお酒だった
これが大人の味なのか
≪見る目ないなぁ 歌詞より抜粋≫
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優しくしてくれた恋人のことを思い出しているシーンから歌詞は始まります。
「優しかった」と繰り返しているのは、恋人の優しさが大好きで忘れられないから。
ですが「でも一番じゃなかった」と含みのある言い方もしています。
おそらく恋人は私の元を離れ、別の女性のところへ行ってしまったのでしょう。
自分よりも「優しさ」を受け取っていた人物がいたと匂わせることで、失恋の状況を端的に表しています。
後半の「お酒がまずかった」からは、タイトルやサビの歌詞を強める表現として用いられています。
コンビニで美味しいお酒すら選べない私の「見る目」がないことを強調しているのです。
感情移入に注意!リアルすぎる歌詞
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ねえあのときのあの言葉
本当だったのは一体どこまで?
まだそんなことを考える
≪見る目ないなぁ 歌詞より抜粋≫
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別れている事実はもう覆らないのに、恋人の言葉一つ一つを思い出し反芻してしまうことは失恋あるあるでしょう。
「どこまで本当か」がわかったところで何かが変わるわけでもないのに......。
そんなことを考えてしまう自分をやるせなく感じつつも、考えることをやめられない失恋期間のリアルがこの楽曲にはあります。
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わたしはいつまでたっても
見る目ないなぁ
見る目ないなぁ
見る目ないなぁ
泣きながら自分を笑ってる
でも君が好きだった
見る目ないなぁ
見る目ないなぁ
さよなら
君と歩いたこの道にも
初めてキスした駅も
≪見る目ないなぁ 歌詞より抜粋≫
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タイトルが繰り返されるサビです。
恋人が浮気をしていたのか、二股をしていたのかはわかりませんが「見る目ないなぁ」と言っているということは、別れた理由は相手にあるのでしょう。
相手に非があるのなら、それを責めたり怒りを表すことも出来ます。
そうしないのは相手のことがまだ好きだから。
好きな相手を悪く言えないからこそ、自分のことを蔑むしかないのです。
最後には前を向いて歩き出せる
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ふたりで可愛がった
あの猫がいなかった
ひとりが寂しかった
あの猫もあの子を選んだ
たくさん泣かせられたし
たくさん裏切られたの
さよなら さよなら
たくさん好きと言ったし
たくさん好きと言われた
いつもの帰り道がこんなに長いとは
≪見る目ないなぁ 歌詞より抜粋≫
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失恋の辛さをより引き立てる歌詞が続きます。
二人で飼っていた猫も恋人と一緒にいなくなり、一層寂しさを感じる。
二人で歩けばあっという間だった帰り道も、一人だと長く感じてしまう。
失って初めて、恋人と過ごした幸せな日々のありがたさに気付くことも私の「見る目」がないことを表しています。
そんな「見る目」がない私が前を向く瞬間がやってきます。
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見る目ないなぁ
見る目ないなぁ
いまなら
君みたいな人は選ばない
君も見る目ないんだから
≪見る目ないなぁ 歌詞より抜粋≫
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これまで自分自身に向けられていた言葉が、初めて失恋の相手に向けて放たれます。
これは自分を蔑むことでしか失恋を受け入れられなかった私が、やっと失恋と向き合ったということでしょう。
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さよなら
君がいつもいた毎日と
いつも見る目ないわたし
君を好きだったわたし
≪見る目ないなぁ 歌詞より抜粋≫
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幸せだった日々と、好きだった恋人。
そして歌詞中で繰り返されてきた「いつも見る目がない私」。
これらに別れを告げて、この物語は終わります。
この楽曲の私は失恋相手のことを「見る目ないなぁ」と言えたことで前を向くことが出来ました。
ですが、実際に失恋で苦しんでいる時は物事を前向きに考えることは難しく、中々失恋からは抜け出せません。
そんな時は是非『見る目ないなぁ』を聴いてみてください。
この楽曲が失恋を乗り越えるきっかけになるかもしれませんよ。
TEXT 富本A吉