宮崎在住の下北系バンド?
夕日の傾いた学校の廊下、土煙をあげるグラウンド。
そんな青春の匂いをなびかせながら走り続けているのが、宮崎出身の4人組ロックバンドべランパレードです。
その音楽性やサウンドからしばしば「下北系」と紹介されることもある彼らは、作詞作曲を手掛けるVo&Gt.歌王子あびを中心に、2013年に結成されました。
その後、幾度かのメンバーチェンジを経て現在の体制に。
2016年にバンド初となる全国流通盤「omoide fight club」、2018年には「スクラップ イン マイ ルーム」をリリースしています。
それから約2年振りに、彼らは新曲『メモリーズ』を配信リリース。
デビューから変わらないロックバンド然としたサウンドとメロディを携えた彼らを支持する声は大きく、今後の活躍が期待されています。
真っ直ぐなロックバンドとしての魅力
かつて一大ムーブメントを築き上げた青春パンクバンドの影響を感じさせるべランパレード。
ストレートな歌詞と愛おしいメロディが胸を締め付ける彼らの音楽には、誰もが忘れてきた青春の影を見出すでしょう。
歌だけでなく、そのサウンドもTHEロックバンドといった様相で体の芯を震わせてくれ、心に届く音楽を鳴らしています。
飾らない歌詞とシンプルなギターのリバーブ。
跳ねるように刻まれるスネアの音とルートをなぞるベースライン。
バンドの要素の全てが彼らの存在意義であり、まるで命をエネルギーとして燃やしているかのよう。
現代では見かけなくなったロックの体現者たる姿が、彼らの魅力でしょう。
泥臭くもどこかキラキラしていて、とても美しく見える。
彼らはそんなロックバンドなのです。
青春を思い出せ!彼らのオススメ楽曲を紹介
キャッチコピーは「本当のことも嘘もごちゃまぜでそれでも笑う君と。僕は恋をしていた。」わかるようなわからないような、なんて思うなら彼らの楽曲を聴いてみましょう。
理屈では説明できない感情から生まれる、本当の嘘や素直な気持ちを描いたべランパレードのオススメ楽曲を紹介します。
「スクラップ イン マイ ルーム」
2ndミニアルバムの表題曲である『スクラップ イン マイ ルーム』。
エッジの効いたギターから始まるロックテイストに身構えてしまいますが、この楽曲はポップソングとも言えます。
確かにサウンドは激しさのある疾走感溢れるロック調ですが、それに反して歌はポップ。
「抱きしめたい」と繰り返すサビからは、衝動とも取れる素直な心の叫びを感じます。
歌をなぞるようなギターフレーズも印象的で、頭の中で「キラメキ」や「ハッピー」といった単語と結びついていきます。
例えるならば、少年の心の中にあるロック。
憧れや夢、希望といったものが音楽を通じて溢れ出ている正統派青春ロックナンバーと言えるでしょう。
MVには彼らのエネルギッシュな姿が収められています。
手書き歌詞付きのリリックビデオにもなっているので、ぜひチェックしてみてください。
「パン」
こちらもアルバム「スクラップ イン マイ ルーム」に収録されている楽曲です。
エモーショナルな感情はそのままに、激しさを抑え、優しさを足したような『パン』。
この楽曲はBメロからサビにかけて、Ba.ゆりえちゃんがボーカルに参加しています。
なんといっても、この楽曲の魅力はそのサビの歌にあります。
男性声と女性声で歌うサビのハーモニーを聴くと救われたような気持ちが湧いてきます。
メロディが持つ切なさや暖かさだったり、歌詞の口調。
それらの要素と説明できない音楽の力が合わさって、この楽曲からは強い説得力を感じるのです。
切ない気持ちを駆り立てる2回目のサビ前のブレイクはナイスアレンジ。
バンドメンバーと日常を映したMVも、センチメンタルな感情をよく描き出しています。
歌詞を見ながら視聴してみてください。
「メモリーズ」
2020年7月8日に配信リリースされた最新楽曲『メモリーズ』。
バンドサウンドは洗練されているのに、なぜか荒削りに聴こえる不思議な楽曲です。
そこには一切小細工をしないで突き進んできたバンドの本質が見えるような気がします。
どこを切り取っても気持ちの良いロックサウンドが顔を覗かせる楽曲は、これまでの青春とはまた違う匂い。
過去の青春を歌ってきたバンドが、今現在の青春を歌う。そんな印象でしょうか。
歌詞自体は学生時代を思わせる言葉が並びますが、最後には「あの日の僕と同じ顔で」と現在の決意が歌われています。
前に進むための決別や今を受け入れる覚悟。
彼らが今後の活動を進めていく上での鍵となる楽曲かもしれません。
ライブ映像が使われたMVは、熱量をたっぷりと含んでいます。
合わせて視聴することをオススメします。
狂おしいほどのロックバンドの行方は?
どこまでも真っ直ぐなロックバンドとして進み続けるべランパレード。今のバンドシーンでここまでロックを愛し、ロックに生きるバンドは他にいないでしょう。
近年はどんな音楽ジャンルでも打ち込みの要素が増える一方で、生のドラムのビートをあまり耳にしなくなりました。
そんな中、彼らにはこのスタイルを貫き続けていって欲しいものです。
今の時代に逆行するかのようなスタンス自体がとてもロックだとも言えるでしょう。
この記事を読んで興味を持った方は、ぜひ彼らの音楽を聴いてみてください。
理屈ではなく心で感じる音楽と向き合うことができますよ。
TEXT 富本A吉