確かな音楽センスに裏打ちされたOmoinotakeの実力
2020年2月にリリースされた『モラトリアム』が劇場アニメ『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』の主題歌に抜擢されました。
5月には人気プロジェクト・THE FIRST TAKEに出演するなど、注目を集めています。
メンバーは、Vo&Key・藤井レオ、Ba&Cho・福島智朗、Dr&Cho・冨田洋之進の島根県松江市出身の3人です。
彼らは全員同じ中学を卒業しており、2012年に東京でバンドを結成。
その後は渋谷を中心に路上ライブやライブハウスでの音楽活動を重ねてきました。
ロックバンドには珍しくギターのいない構成は、ただ目を引くというだけではありません。
吸い込まれてしまいそうな美しいメロディを持つ楽曲は、ピアノの旋律やブラスアレンジなどの特徴を持っています。
鍵盤を中心に据えた3ピースバンドだからこそ、このような美しいアレンジを中心とした曲作りが可能となっています。
力強さと透明感を併せ持つ、絶対的な歌声と美しいメロディが人気を博している彼らの楽曲の根幹にあるものとはなんでしょうか?
3ピースピアノバンドだからこそ鳴らせるサウンド
今でこそ、ポップバンドとして知られているOmoinotakeですが、インディーズデビュー当時の彼らのサウンドはいわゆるシティポップに近いものでした。
当時のインディーズバンドシーンはシティポップが流行し、一大ブームとなっていましたが、彼らは流行に乗るためにシティポップを選択したわけではありません。
ギターのいない自分たちのバンド編成を最大限に生かすための答えが、シティポップだったのです。
ギターバンドにありがちな「タテノリ」のサウンドではなく、ベースとドラムを基調とした「ヨコノリ」のグルーブに鍵盤と歌声のメロディを乗せることを彼らは目指しました。
その根幹は、ポップバンドとして認知され成長を続けた現在でも変わりません。
サビの伸びやかなメロディが美しい『トニカ』や、疾走感が特徴の『One Day』にもジャズやR&B、ファンクなどのブラックミュージックの要素を感じることができます。
彼らの楽曲に心を揺さぶられるのは、ただ力強い歌声が美しいからではなく、しなやかなサウンドの根底に体と心を揺らすグルーヴ感を秘めているからだと言えるでしょう。
今だからオススメできる!Omoinotakeの楽曲3選
バンド結成から8年を迎えたOmoinotake。リリースされる楽曲は全て高い評価を得ており、どれも大ヒットしてもおかしくはないパワーを持っています。
聴く者を虜にし、確実にファンを増やし続けている彼らの「今」を知れる重要な3曲を紹介します。
モラトリアム
画像引用元 (Amazon)
人気BLコミックが映画化された劇場アニメーション『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』。
この映画の主題歌として起用されたのが『モラトリアム』です。
YouTubeに投稿されたMVは半年を経たずして再生数200万回を突破し、映画ファンのみならず多くの人の心を掴みました。
ピアノの旋律が目立つ静かな楽曲ですが、バラードではありません。
静寂の中に抑えきれない感情を歌った楽曲は、これまでのどんなラブソングよりも鮮明に心の叫びを映し出しています。
報われない恋を描いた楽曲は数多くありますが、BL映画の主題歌らしい一種の危うさをここまで綺麗に表現した楽曲は他にないでしょう。
湿っぽいを心を、歌詞だけでなくサウンドでも描いた表現力の高さに驚かされる楽曲です。
One day
2020年3ヶ月連続配信シングルの第2弾としてリリースされた『One day』。
元々第2弾には別の楽曲の配信が予定されていましたが、予定を変更し急遽制作されたのがこの楽曲です。
この背景には新型コロナウイルスの影響があり、見えない脅威に脅かされる日々を照らしたい、という思いが込められています。
公開されたMVはメンバー自身が手書きした歌詞が流れるリリックビデオとなっており、彼らが楽曲に込めた思いを感じることができます。
誰かの明日を照らしたいという思いのとおり、曲調は明るくアップテンポなナンバーです。
サビに向けて増していく疾走感は、憂鬱な日々を駆け抜けるようで自然と気持ちが昂ります。
これまでの活動を表した「歌で想いを伝える」というテーマが詰まった楽曲は、明日への希望と活力を与えてくれる1曲となっています。
トニカ
画像引用元 (Amazon)
Omoinotakeの楽曲の中でも、一際美しいメロディが輝やく『トニカ』。
この楽曲は鬱蒼とした日々を過ごす自分を自ら鼓舞する内容となっており、聴く者に勇気を与えてくれます。
息が詰まりそうな日々の情景描写もさることながら、未来を信じて歩き出す決意の歌詞と煌びやかなサウンドが合わさったサビは、Omoinotakeの魅力がふんだんに詰まっています。
リズムに重点をおいたAメロとメロディを前面に押し出したサビの構成は、彼らがこれまでのJ-POPバンドとは一味違うことを証明しています。
楽曲のサウンド、歌詞の情景描写、歌声とメロディ、どれを取っても一線級の楽曲です。
サウンドの色彩をそのまま表現したようなMVは、彼らの魅力をより一層感じやすくなっています。
Omoinotakeのこれからへ期待が高まる
2020年、新型コロナウイルスの影響により、予定していたワンマンツアーやライブは軒並み中止となってしまいました。
しかし、Omoinotakeは少しばかりの障害でその躍進の足が止まるようなバンドではありません。
彼らにしか鳴らすことのできない楽曲が、日本の音楽シーンの中心となる日も近いでしょう。
6月26日に配信リリースされた『夏の幻』にはこれまでに表現されてきた夏とは一線を画す、彼らにしか描けない夏が感じられます。
彼らが生み出す新感覚の世界観を持つ音楽から目が離せません。
今後のアルバムリリースなど新曲情報が楽しみですね。
TEXT 富本A吉
冨田洋之進/ドラゲ(Dr) 藤井怜央/レオ(Vo&Key) 福島智朗/エモアキ (Ba) ■Official web site ■Official YouTube Channel ■Official Twitter ■Official Instagram ■Official TikTok