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yonige「ここじゃない場所」に垣間見える健全な社会とは?

auのCMソング『笑おう』で全国的な人気を獲得し、武道館ワンマンライブも実現した二人組ガールズバンドyonige。2020年5月に発売されたアルバム『健全な社会』に収録されている『ここじゃない場所』の歌詞からアルバムの世界観を紐解きます。

2人を包む空気を感じる歌詞


牛丸ありさ(Vo&Gt)と、ごっきん(Ba&Cho)による二人組ガールズバンドyonige。

瞬く間に人気を集め、日本武道館公演まで達成したyonigeのニューアルバム『健全な社会』は、感情をぶつけるような初期の楽曲とは違い、静かな楽曲が淡々と進んでいく作品です。

大阪府にある寝屋川市。

庶民的で便利なこの街で、2013年に牛丸ありさとごっきんはyonigeを結成します。

2015年に『アボカド』で注目を集めた後、かねもと(Dr)が脱退。

寝屋川で撮影された『さよならプリズナー』のMVように、2人が生み出す音楽には寝屋川の空気が感じられます。

そして東京に拠点を移してからも、寝屋川という街はyonigeの音楽性に変わらず影響を与えているのではないでしょうか。

結成当初から現在までの彼女たちの価値観の変化が現れているような『ここじゃない場所』の歌詞を見ていきましょう。


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わたしはもう一度ここへ戻ってこれる
いやでも覚えてる、におい、温度、空気
≪ここじゃない場所 歌詞より抜粋≫
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『ここじゃない場所』の冒頭で歌われる「いやでも覚えてる、におい、温度、空気」というフレーズも、彼女たちのホームタウン寝屋川のことかも知れません。

全国的に有名になっても、2人の周りにはいつでも原点に帰れるような寝屋川の空気感が存在し続けているような気がします。

牛丸ありさが描く「平凡」


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空がどれだけ青いかを
言葉だけで伝えられずに
口をもったわたしたち
そこには、もう会わない雲
≪ここじゃない場所 歌詞より抜粋≫
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2018年にリリースされた『HOUSE』から、“『平凡を描きたい』と思うようになった”と牛丸ありさはオフィシャルインタビューで語っています。

このフレーズは、現在の彼女が考える「平凡」な日常を表現しているのではないでしょうか。

人間は「言葉」を持っているけれど、ほとんど本当の気持ちを伝えられないまま空を流れる雲のように毎日が過ぎていく。

同じ形の雲を二度と見ることはないように、過ぎていく日々の中ですれ違う多くの人とは、もう二度と会うことはないだろう、と表現しているのかも知れません。


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明けの明星や
動き出す電車
香る排気ガス
≪ここじゃない場所 歌詞より抜粋≫
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昨日と何も変わらない今日の始まりがリアルに伝わってくるようなフレーズですよね。

「動き出す電車」からは寝屋川市を走る京阪電車の緑色の車両が、「香る排気ガス」からは交通量の多い寝屋川市の道路の風景が目に浮かんでくる人もいるでしょう。

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手当たり次第探している
あの日、あの時、正しい言葉選びを
ずっと忘れていた人たちを
思い出しては、忘れる
≪ここじゃない場所 歌詞より抜粋≫
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通勤電車や車の中で、昔のことを考えながら忘れていた人をふと思い出す時がありますよね。

でも次の瞬間には違うことを考えて、その人のことは再び忘れ去ってしまう。

忘れることは悲しいことだけれど、忘れることで人は平凡で幸せな生活を送れるのだと、牛丸ありさは歌っているような気がします。

「健全な社会」という幻想


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鐘は鳴らずとも
皆気付いている
いつか起こる事
銃は撃たずとも
皆握っている
正しい姿で
≪ここじゃない場所 歌詞より抜粋≫
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一見、平和に見える社会の中で、誰もがいつ、どこで、どんな事件が起こってもおかしくないと感じながら暮らしていると思います。

そして誰しもの心の奥に、ふとしたきっかけで暴走する狂気が潜んでいるのかも知れません。

『健全な社会』とは、そんな紙一重の危ういバランスの上に成り立つ幻想のようなものだと、このフレーズは伝えようとしているのではないでしょうか。


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また音もせずに去っていた
いってらっしゃい、さよなら
≪ここじゃない場所 歌詞より抜粋≫
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電車の自動ドアが閉まるように、今日もまた何かを忘れ去っていくであろう人々。

そして電車で会社や学校へと運ばれる代わり映えのない平凡な日々を繰り返しながら、誰もが未来へと運ばれていくでしょう。

消え入るような歌声の「いってらっしゃい、さようなら」は、『健全な社会』で『ここじゃない場所』へ運ばれ続ける人々を見送る言葉のように聞こえてきます。


TEXT 岡倉綾子

大阪寝屋川出身。2013年結成。牛丸ありさ(Vo&Gt)、ごっきん(Ba&Cho)の2人からなる日本語ロックバンド。 10~20代を中心に口コミとSNSで大きな支持を広げ、YouTubeでもMVの総再生回数が2,000万回を突破、同世代から大きな注目を集める。年間100本以上に上るライブを全国各地で行い、昨年は数々···

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