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「泡沫花火」神サイ渾身の夏ソングで紡ぐ、実ることのない一夏の恋

ぎゅっとまとめ
  • 神サイが届ける『泡沫花火』が紡ぐ夏
  • 花火の夜をドラマチックに描いた表現力豊かな歌詞
  • 「私」の実らない恋の行方に思わず共感
話題の「THE FIRST TAKE」に出演し注目を集めるバンド、神はサイコロを振らない。彼らが発表した『泡沫花火』の歌詞を読み解いていくと、夏らしい情景描写の裏に隠された確かな想いが見えてきました。この記事では、歌詞の意味やメッセージを解説します。

公開日:2020年8月29日 更新日:2020年8月29日


この記事の目次 []
  1. ・新気鋭のバンドが届ける「泡沫花火」
  2. ・いつもよりちょっぴり大人な、夏
  3. ・まだまだ初々しい、2人の距離感
  4. ・「私」の恋を象徴するキーワード
  5. ・儚さを演出する「煙」の存在感
  6. ・幼い私の「大人」な部分

新気鋭のバンドが届ける「泡沫花火」

▲神はサイコロを振らない - 「泡沫花火」 【Official Lyric Video】

ボーカル・柳田周作の心震わすような歌声が楽曲をリードするバンド、神はサイコロを振らない。

神サイの通称でも親しまれる彼らが2020年7月17日、待望のメジャーデビュー1stデジタルシングルとして配信を開始したのが『泡沫花火』です。

同日に公開されたリリックビデオの再生回数は、同年8月現在で40万回を超え、驚異的な伸びを見せており、その注目度の高さが伺えます。

ファンを増やし続けている彼らの魅力は、感情を鮮やかに表現した歌声だけでなく、柳田周作によって手掛けられた情感あふれる歌詞が挙げられるのではないでしょうか。

夏らしさが溢れた情景描写の奥に込められた彼の想いとは、いったいどのようなものなのでしょうか。

いつもよりちょっぴり大人な、夏


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生温い風が頬を撫でるように
ふわり触れた手の汗ばむ
夜半の夏
≪泡沫花火 歌詞より抜粋≫
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綺麗なピアノの音色と共に歌い出しを飾るのは、夏の風景を鮮やかに描き出したこんな一節です。

夏がやって来ると、ふとした瞬間に肌を撫でていく「生温い風」。

季節の移り変わりと共に忘れかけていたその懐かしい感触に、夏の景色や記憶を一気に思い出した経験がある人も多いのではないでしょうか。

また、今年も夏がやってきたのだという高揚感と懐かしさを、聴き手の心に届けるキーワードの存在感が光っていますね。

そして、夏の生温かさと並べて語られるのが「触れた手」の感触。

夜を表す言葉である「夜半(よわ)」の時間帯を共にする誰かの存在を匂わせています。


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煙草の煙が鼻を擽るたび
幼い私を少し背伸びさせる
≪泡沫花火 歌詞より抜粋≫
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「私」の夜をオトナっぽく演出する「煙草の煙」というキーワードが、楽曲にエモーショナルな雰囲気をプラスしています。

まだ心の中では、どこか大人になり切れていない部分があるのでしょうか。

そんな若者らしい気持ちを代弁するような「幼い私」という表現に、思わず共感してしまう人も多いはずです。

そんな「私」を少し「背伸び」させた、タバコの煙。

いつもとちょっぴり違った大人らしい夏の空気に浸る姿を想像させる、なんとも素敵な描写ですね。

まだまだ初々しい、2人の距離感


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花火が打ち上がるまで
少し離れたとこで見つめていたい
はだけた浴衣姿が
光のシャワーより綺麗に映り込む
≪泡沫花火 歌詞より抜粋≫
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続く一節で描かれるのは、花火をワクワクしながら待っている「私」たちの様子です。

印象的に描かれている「浴衣姿」のあまりの美しさに、見惚れている「私」。

「少し離れたところで」見ていたいと語るその言葉の裏には、まだ完璧には打ち解けていない2人のもどかしい距離感が感じられますね。

そんな、誰しもがキュンとしてしまうような2人の初々しい関係性を上手く表現していますね。

続いて登場する「光のシャワー」というキーワード。

おそらく、美しい花火の様子を描写したものではないでしょうか。

空高く打ち上がり、ゆっくりと光の筋を伸ばしながらやがては消えていく花火。

そんな日本の夏を象徴するような光景を、鮮やかな言語表現で描写しています。

「私」の恋を象徴するキーワード


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波打ち際 二人の不揃いな足跡が
さざ波に流されて想う
泡沫の恋だと
≪泡沫花火 歌詞より抜粋≫
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盛り上がりを迎えた楽曲に合わせて、タイトルにもなっているキーワード「泡沫」が登場します。

あまり聞き慣れない言葉ですが、意味をご存知でしょうか。

水面に浮かんではすぐ消えてしまう泡のことから転じて、移ろいゆくものや儚く消えていくものを例える言葉として使われています。

歌詞の中では、花火を見るために波打ち際にやってきた2人の足跡が、波によって流されてしまう様子を見て、この「恋」も足跡と同様に「泡沫」であると感じる場面で登場しています。

一緒に花火に来てくれた相手のことが好きな「私」。

しかしどんなに頑張ってアプローチしても、どんなに美しい花火を2人で見ようとも、その距離が縮まっていく気配がなかったのかもしれません。

まるで、さざ波にのまれて消えていく足跡のように、あるいは一瞬の光を放ったのちに消えていく花火のように。

この「恋」もきっと叶わないのかもしれないけれど、どうしようもなく好きでたまらないという切ない恋心が静かに描かれていますね。


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ほろ苦くて淡いこの恋と対照に
甘い甘い綿菓子のような
口づけを夢に見る
≪泡沫花火 歌詞より抜粋≫
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夢の中では相手との楽しい時間を想像しても、現実にそれが叶うことはないかもしれません。

「ほろ苦くて淡い」現状に想いをはせる「私」の姿が、聴き手の心にも実感を持って迫ってきます。

儚さを演出する「煙」の存在感


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明け方 寝惚け眼でゆらり
気怠げに火を付けた貴方が
今にも消えそうなほど
儚く何よりも愛しくて
≪泡沫花火 歌詞より抜粋≫
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続く一節では「私」の恋が、新たな視点から描かれています。

花火の夜から一気に視点を変えて「明け方」の描写から歌詞はスタート。

続く「寝惚け眼」というキーワードから、2人が共に夜を明かした経験があることを示唆していますね。

直接的な言及こそないにしろ、2人の間には一夜を過ごした「記憶」が確かに存在しています。

しかしながら「私」は、まだその恋心をはっきりと伝え切れていなかったのでしょう。

そしてここでも象徴的に描かれているのが、タバコを表す「火」の存在。

花火、浜辺の足跡、タバコの煙、そして「貴方」という存在。

今まで登場したそれら全てに、ふっと消え去ってしまいそうな儚さを重ね合わせています。

儚げのある「貴方」の姿に「愛し」さを感じている「私」。

どこか不安定なゆらぎに見出す感情は、とても日本人らしく趣深いものに感じられるのではないでしょうか。


----------------
溶けない魔法の氷が
纏わりついて動き出せないよ
あと一歩さえ踏み出せたなら
≪泡沫花火 歌詞より抜粋≫
----------------

続く一文でも2人はおそらく正式な恋人の関係には、なりきれていないことがはっきりとわかってきます。

恋人になるという次のステージへと進む「あと一歩」が踏み出せない「私」。

その胸の内には、踏み出してしまうことで今の現状が崩れてしまうかもしれない不安感があるからでしょう。

こうして2人で同じ時間を共有していられるのは「私」たちが、恋人未満の関係だからこそかもしれません。

子供のように純粋で真っ直ぐなこの想いをぶつければ、すぐに消えてしまいそうな「貴方」との繋がりが、これでもかと「私」の心を苦しめます。

幼い私の「大人」な部分


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夏の終わり 藍色に染まり
止まないひぐらしに紛れて
声を枯らし名前を呼んでも
貴方は気づかないのでしょう
≪泡沫花火 歌詞より抜粋≫
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楽曲が盛り上がりを見せる終盤の歌詞で浮かび上がって来るのは、時間が経っても諦めることができない「私」の葛藤。

美しく紡がれる「藍色」の表現や、夏らしい「ひぐらし」の鳴き声に重ね合わせてそれが丁寧に描かれていきます。

たとえ自分の想いを叫んだとしても、それを「貴方」が受け入れてくれることはきっとないのだろうという諦めの気持ちです。

しかしながら、心のどこかではそれを否定したい思いもきっとあるでしょう。

ある種、中途半端な付き合い方をしてしまったという後悔の念と共に、好きになってしまったのだから仕方がないという想いが押し寄せているはずです。


----------------
花火が打ち上がるまで
二人寂しさ埋めるように求め合い
実らない果実の種が
心の隅っこで芽生えてる
≪泡沫花火 歌詞より抜粋≫
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楽曲を締めくくる一節で、再び舞台は花火の夜へと戻ってきます。

花火が打ち上がるまでのひとときを軸に「私」が抱える様々な想いがぐるぐるとめぐっているような歌詞の構成が非常に美しいものに仕上がっていますね。

そして、この一節でひときわ存在感を持って迫って来るのが「寂しさ」というキーワード。

楽曲を通して描かれている恋心が「寂しさ」からきているのはもちろんのことですが、一方で「貴方」にも寂しいという感情があることを「私」は見抜いています。


人間ならば誰しもが持つ寂しいという感情。

心にポッカリと穴が開いてしまったようなその辛さを埋めるために人は交流し、愛し合い、毎日を生きています。

会ってはくれるけれど、好きだとは言ってくれない「貴方」。抱えてしまった「寂しさ」を紛らわせたいから会っているだけだと「私」も気づいているのではないでしょうか。

楽曲の序盤では自身の子どもっぽい一面を語っていた「私」でしたが、ここで辿り着いた結論はとても大人なものに聞こえるはずです。

外には出さずとも、その内面に抱えている「貴方」の弱さをしっかりと感じ取り、受け入れている「私」の姿に思わず胸を打たれてしまいます。


「実らない果実の種」という表現には様々な解釈ができますが、シンプルに考えるならば恋心ではないでしょうか。

相手が自分を求めている理由を理解し、頑張って飲み込もうとしても心の奥底に芽生えた「恋」の感情に嘘をつくことができない「私」。

芽生えてしまったシンプルな恋心と、相手を冷静に見る理性とがぶつかり合って喧嘩しているような状態に陥ってしまっているように見えます。

毎日を生きる全ての人が持つ寂しいという感情と、それに付随して生まれる「恋」の気持ち。

しかし、大人になるにつれてそれだけでは語り切ることのできない複雑な出会いやシチェーションも増えてくるものです。

感情と理性の板挟みとでも表現できそうな状況と、どこか同じような想いを抱えた人もいるのではないでしょうか。


『泡沫花火』は、そんなどうしようもない虚しさを丁寧な言葉で紡ぐことによって、聴き手の心にそっと共感を呼びかけています。

たくさんの人が集まり、たくさんの想いが交差する「花火」の夜。

たくさんの恋が芽生え、その数だけドラマが生まれているのかもしれませんね。


TEXT ヨギ イチロウ

福岡発、4人組ロックバンド。 Vocal柳田周作、Guitar吉田喜一 、Bass桐木岳貢、Drums黒川亮介 全作詞作曲を手掛けるリーダー・柳田周作は、宮崎県で生まれ、祖母から買い与えられたアコースティック・ギターを手に、5歳で初めての曲をつくったという、早熟の天才肌。 弾き語りのネット配信···

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