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【インタビュー】BLUE ENCOUNT、映画「青くて痛くて脆い」への主題歌に込めた青春の儚さと バンドの歌詞作りを語る (1/2)

4人組ロックバンドのBLUE ENCOUNT(略ブルエン)が9月2日に、12枚目のニューシングル『ユメミグサ』をリリース。今作は住野よる原作の映画「青くて痛くて脆い」の主題歌に起用されており、映画の情景をブルエンらしく繊細に表現した壮大なミドルバラードになっている。UtaTen初登場ということもあり、ブルエンの歌詞の作り方などのパーソナルな部分から、新譜『ユメミグサ』へ込めた彼らの想いをロングインタビューでお届けする。

田邊っぽい歌詞になってきたな

──BLUE ENCOUNTさんはUtaTen初登場なので、パーソナルな部分からお聞きしたいのですが、歌詞を綴られるときは手書きですか?それともパソコンやスマホで打ち込みでしょうか?


田邊駿一:僕はパソコンで打ち込みですね。学生の頃から元々は手書きでやっていたんですけど、ある日僕らのHOMEといっても過言ではないライブハウスの店長さんから、「お前はどういう風に歌詞を書いてんの?」って言われまして、「僕は手書きで書いています」って答えたんです。そしたら「馬鹿野郎!パソコンで書け!パソコンで書くと、すぐに消したり書いたりすることができるし、俯瞰で歌詞カードになった気持ちを考えて、冷静で歌詞を見れるからそれでやってみなさい」というアドバイスを頂いたんですよね。それがきっかけで、歌詞はパソコンで書くようになりました。


──イマドキですね!

田邊駿一:イマドキですか!?(笑)今の人ってどっちなんだろう?

高村佳秀:人によるかもしれないですよ(笑)

田邊駿一:人によるか!僕はもちろん、パソコンの方が早く書けますね!


──その歌詞を作る作業は、メロディーが完成された後に行われていますか?それとも詞を先に綴られてからメロディーを乗せていますか?

田邊駿一:僕はどっちもですね。基本的なメロディーは作るんですけど、それに合わせて話を書くというよりかは、そのメロディーがありつつ歌詞を書いていき、最終的には、その歌詞にメロディーを変えて合わせていく作業をしています。仮歌ではこうだったけど、本番の歌録りのときには全然違うっていうことは結構ありますね。


──田邊さんの歌詞が出来上がったら、メンバーの皆さんにお見せしてプレゼンなどはされているのでしょうか。

田邊駿一:プレゼンか~!昔はしていたよね!

高村佳秀:僕らとスタッフさん全員のLINEグループに歌詞を送ってくれるんですけど、そこで何か思う人がいたら、それに対して返信するという感じですね。

田邊駿一:そうそう!結局、みんなも歌が入らないとわからないっていうのもあるので、最終的に歌が入ったものを聴いて、「ああ、今回良いね!」って感じになったりするので。だからここどうかなって思うところがあったときは、本番の歌録りが終わったあとに話になって、録り直すとかもあるよね。


──メンバーの皆さんからみて、田邊さんの歌詞はどういう印象がありますか?

田邊駿一:(笑)恥ずかしいですね~!!

江口雄也:昔、歌詞を書くのが苦手っていうのを自分自身(田邊)言っていて。その時の歌詞は田邊自身のことが書けていないなとは思っていました。まるで誰かのような人真似になっているのを最初の方は感じていて、自分を表現するのが苦手な部分があるっていう印象がありました。だけど、どんどん書いていくにつれて、ちゃんと自分を出せるようになってきたなっていうのは、ここ最近特に感じていて。田邊っぽい歌詞になってきたなっていうのは、よく思いますし、表現とかも田邊っぽいな~とか。どの表現が田邊っぽいとかは、具体的に言えないんですけど、全体を見て「田邊だな!」って感じますし、良くなってきていると思います。


──では、高村さんお願いします。

高村佳秀:えぐっちゃん(江口雄也)と同意見なんですけど、僕は田邊が書いてくれる歌詞って、昔は歌詞書きたくない節があったけど、無理して歌詞を書いていると感じるところがありました。

田邊駿一:そうね~。

高村佳秀:今は、書きたいことを書いている感じがする。歌詞っていうよりも「田邊がどんなストーリーを描いたんだろう?」とか、まるで小説を読むような感じで、第三者目線でわくわくした気持ちで読んでいますね。田邊が良く使っているのが、「本気」と書いて「マジ」と読むとか、ああいう当て字が田邊多い気がしますね!そういうのも含めて楽しんでいます。


──辻村さんはいかがでしょうか?


辻村勇太:僕が最近思うのが、言葉のチョイスとメロディーがちゃんとリンクするようになっているなと。例えば、一番聴かせたいところに抜けやすい言葉をもってきていたりとか。他のアーティストさんとかで、いい曲だけど言葉が刺さりにくくて、歌詞を見たらこういう風に言っているんだとかあるんですけど、田邊の場合はそれがちゃんとリンクしているというか。

強いときに強い言葉を言ったりしているけど、Aメロではさりげなく、優しい言葉を投げかけていたりもするし。普通に言葉としても成立するような、言霊として乗っかってくるような感じがしますね。それに、田邊が自分でそれをわかってきているんだと思うんですよ。テーマ性があったらそこに言葉のチョイスがあって、そこから選ぶことができるから、今余裕があって楽しくなってきているんだろうなとは個人的に思っています。


──メンバーの皆さんの想いを伺って、田邊さんどう思いましたか?

田邊駿一:いや~、恥ずかしいですね(笑)でもそう思って頂けていたなら嬉しいです。僕、昔歌詞を書くのが苦手だったんですよ。それこそインディーズ時代の『HALO』を出す1,2年前とかに「週に1個必ず歌詞を書いてこい!」って言われまして、歌詞を深夜スタジオの練習に入ったときに、みんなに送るんですよ。それをみんなで見て、歌詞に対して、あーだこーだ言うっていうとてつもなく不毛な会話をやっていました(笑)テンションが下がったまま、朝5時までリハやるとかもあったね。



辻村勇太:あれはドロドロだったね~。でも今思うと、そこに自分らのバンドの志向性がなかったから、みんな何を聴いても「?」になるわって思ったという感じでした。でもあれは良い遠回りだったね。

田邊駿一:そうだね。歌詞を書くトラウマもあったけど…(笑)

全員:(笑)

田邊駿一:このバンドを聴いてもらえるファンが増えた理由っていうのが、僕が書きたいことを書けるというよりかは、書きたいことをちゃんと見つけたいと思える人になったからなのかなってすごく思います。書きたいことがあるから原動力になるし、今のところはすごく良いインスピレーションと出会えているのはありがたいですね。

「怒」というワードを絶やさぬようにアンテナを張っています

──難しい質問をさせて頂きますが喜怒哀楽という感情の中で、歌詞に反映しやすい気持ちはどれになりますか?

田邊駿一:ええこと聞いていただいた!僕は基本的にもう、「怒」ですね。大体腹が立つことがあって、それに対して歌詞を書いていて。だからこそこうしなきゃいけないんだっていう次への原動力を書いていることが多いです。人間だから腹立つことっていっぱいあるじゃないですか?そこから逃げるのではなく、自分なりに向き合ってそれを書きたいので。僕の中では「怒」というワードを絶やさぬようにアンテナを張っていますね。

辻村勇太:俺もそれはわかるな~。


──江口さんが首をかしげていらっしゃいますが…(笑)江口さんからみていかがですか?


江口雄也:その「怒」のテーマもありますけど、そうじゃないのもあるなと思います!ただ「怒」ときの方がより、田邊っぽいっていうのはありますね。

辻村勇太:良い意味で言葉汚くてもそれで伝わるもんね。うるさい気持ちを哀しいというテーマでやってしまうと、色々言わなきゃいけないけど、「怒」というテーマのときは、「うるせー」の一言で片付くんです。しかもその時の曲って、激しい曲調が多いから歌詞とリンクする。

田邊駿一:ブルエンは英詞もやれるから、英語で言いたいことをもっと言うこともできるしね。

辻村勇太:実はすげー汚いことも言っていたりするしね(笑)

江口雄也:「怒」テーマのときは、割と似たようなことを言っていることが多くて、本当に思っているんだな~っていうのはありますね。

辻村勇太:このまま何回も言っていると、こいつテロリストになるんじゃないの?って思うよ(笑)

田邊駿一:一個思っていることを、いろんな味付けやいろんな視点を変えて書くのが好きなんですよ。だからこれからも怒っていきたい(笑)

映画の主題歌はブルエンにやってほしい

▲BLUE ENCOUNT 『ユメミグサ』Music Video(Movie Ver.)【映画『青くて痛くて脆い』主題歌】

──新曲の『ユメミグサ』は、住野よるさんが原作を書かれている小説「青くて痛くて脆い」の映画化の主題歌ですね。おめでとうございます!率直に映画主題歌に決まったときのお気持ちと、映画にどんな印象があったか、お一人ずつお聞かせいただけますか?

江口雄也:僕が一番初めに住野先生とSNS上で繋がって、そこからDMでやりとりが始まったんです。そのときに僕が「住野先生の小説を読んでいます」と伝えたところ、住野先生から「(ブルエンの)ライブ来ています!」と連絡を頂きまして、それから親交があります。そして、先生は僕たちの楽曲の『もっと光を』を、「青くて痛くて脆い」のテーマ曲として物語を書いてくれたそうでして、そのタイミングで対談とかもやらせていただきました。「青くて痛くて脆い」の映画化が決まったときに、「映画の主題歌はブルエンにやってほしい」って言って頂いたみたいで、実際に主題歌に決まりました。


──住野先生からのアプロ―チだったんですね。

江口雄也:そうなんです。僕は先に小説を見させて頂いてから映画を見ました。こういう原作のものが映画になったりするときって、映画の尺に合わせなければいけないので、原作に書いていることが映画に入っていない部分もあるんです。なので、好きだったシーンが書かれていなかったなーとかもあるんですけど、ラストの描写とかは実写だからこそできる緊迫感とか、人間の肉薄した部分が見れてそこが良かったです。実写を見て物足りなかった人が、小説を見てやっと完結するバランスがとれている気がします。2つで1つの作品になっていると思います。


──高村さんはいかがでしょうか?


高村佳秀:僕は映画の主題歌が決まってから、原作を読みました。この『ユメミグサ』で行くっていうのは決まっていたんで、自分の中でこの楽曲が自然と流れるかな?って期待しながら読んだんですけど、2回ぐらい流れてきて。読んでいる世界観とこの曲のメロディー感や歌詞がとてもリンクしやすくて。えぐっちゃんも言っていた通り、イメージと曲が違うと人によっては拒否反応とかもあるので、それも怖いんですけど…。僕の中ではそれがスムーズに繋がってくれました。作り手として嬉しいのと安心がありました。


──辻村さんはいかがですか?

辻村勇太:僕はあえて小説を読まない状態で何も情報を入れないまま、試写会に行きました。ストーリーを知らないで無の状態で見たらどう思うんだろう?というのをやってみたくて。サスペンスや人間の黒い部分や若いからこその純情もあって、引き込まれましたね。そして最後に自分たちの曲がかかるのが、他人事ですけど「良い曲~!!」ってなりました(笑)でもその感情が一番良かったです。


──そうだったんですね。

辻村勇太:単純に僕らの曲だってわかったら入り込めないと思うんですけど、1つの作品として完成できたことや、それに携わらせていただいた住野先生にありがたいなって感じました。


──では、田邊さんいかがですか?


田邊駿一:実は住野先生はブルエンのファンクラブに入ってくださっているんですね。それでいつもチケットを取ってライブを見に来てくださってくれる熱いファンの方なんです。ブルエンのライブまで知ってくれているのが嬉しくて…。ブルエンのライブって僕は包み隠さずに言わせてもらえる場所なんですけど、自分たちの肉薄している気持ちに住野先生もありがたい話で、共感を覚えてくださっておりまして。僕たちの『もっと光を』を「青くて痛くて脆い」の小説のテーマ曲に選んでいただいた事もありました。



──大ファンでいらっしゃったんですね。

田邊駿一:はい。あと僕、めちゃくちゃ映画が大好きで、よく映画を見るんですけど、映画ファンとしてエンドロールも立派な映画の一部だと思っていて。そこでどんな音楽が流れるんだろう?というのはよく考えました。この物語が終わって、それぞれの結末を迎えた中で、例えば数年後にこの主人公の2人がどういう気持ちでいるのかな?とかを考えて書いていきました。

青春真っ只中のときって、とてつもなく痛くもなるし、「負けねーぞ」って気持ちでいくから傷つくこともあるし。その時は気づけないことも、大人になって思い返すと、「なんであんな事言ったんだろう?なんであんな行動をとってしまったんだろう?」って思うことは僕もあったので。冷静になったときに、あの頃はやばかったけど、良い思い出だなって未来の二人が想起できるようなそういう楽曲を作ろうと思いました。

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《メンバー》 Vo. Gt. 田邊駿一 Gt. 江口雄也 Ba. 辻村勇太 Dr. 高村佳秀 熊本発、都内在住4人組。熱く激しくオーディエンスと一体になり、ダイレクトに感情をぶつける熱血なパフォーマンスが話題のエモーショナルロックバンド。 2014年9月にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。20···

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