2006年に発売されたPerfume最初のアルバム『Perfume ~Complete Best~』。2007年に発売されたPerfume初の代表曲と言える『ポリリズム』以前に発売されたこのベストアルバムは何を表しているのでしょうか。そう、このグループはヒット曲がない中でベストを発売する状況=解散すら視野に入っていたのです。このアルバム収録の唯一の新曲『パーフェクトスター・パーフェクトスタイル』は、それを象徴する曲。
“I still love キミの言葉がまだはなれないの あの日あの場所で凍りついた時間が
逢えないままどれくらい たったのかなきっと 手をのばしても もう届かない”
こういった歌詞が解散を暗示しています。それほどぎりぎりの状況だったんですね。「凍りついた時間」はグループの活動が凍る=停止してしまうことの暗示。「手をのばしても もう届かない」もグループがもう消滅していることを表現しています。
“たぶんね キミは本当はそう すべてパーフェクトなスター
つかめない風のように 気楽そうに 映るスタイル“
Perfumeは2008年のブレイク以降は順調にキャリアを重ねています。知らない人から見れば「気楽そうに 映るスタイル」そのものでしょう。世に出てからずっと売れているイメージがあるかもしれません。2008年、この時点でPerfumeは結成8年目、メジャーデビュー3年目です。「まだやっていたんだ」とすら言われていました。
“ありのまま ゆらがないように 後ずさりなんてできない
今も大切なあのファイル そっと抱えたあのまま“
一度決断したら、続けるにしてもやめるにしても「後ずさりなんてできない」。そういった活動の姿勢の表現。そっと抱えている大切なファイルは、楽譜だったり写真だったり活動の記録。これも活動停止の暗示。
Perfumeは、BEE-HIVEという女性アーティスト育成プロジェクトに参加していました。ここにいた先輩グループ、6人組のBuzy、4人組のBOYSTYLEはいずれもパフォーマンス力はありましたが、売れずに解散しています。
この『パーフェクトスター・パーフェクトスタイル』は、そんな「次はPerfumeの解散ではないか」というタイミングで出された曲。しかし、先輩グループに比べ若干若かったPerfumeはチャンスを与えられ活動が継続します。
その後曲がヒットしてドームまで行き、本当のパーフェクトスターになるPerfume。この『パーフェクトスター・パーフェクトスタイル』は2010年のキャリア最初のドーム公演でも披露されています。
この曲は、売れなかった時代と売れてからの時代をつなぐ架け橋なんですね。そして、卒業・解散してしまった全てのアイドル、アーティスト達への賛歌でもあります。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)