伊坂幸太郎の恋愛連作集が待望の映画化!
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2019年公開の映画『アイネクライネナハトムジーク』は、人と人との巡り合いの奇跡と絆を描くラブストーリーです。
原作は伊坂幸太郎による同名の連作短編集。
様々なジャンルを多彩に描いてきたベストセラー作家である伊坂の、唯一の恋愛小説です。
この小説は、かねてから伊坂がファンを公言しているミュージシャンの斉藤和義から、出会いをテーマにした作詞を依頼されたことがきっかけで生まれました。
恋愛ものを得意としない伊坂が小説ならばと『アイネクライネ』を書き上げると、今度は斉藤がお返しに楽曲『ベリー ベリー ストロング 〜アイネクライネ〜』を制作。
そして、シングル初回限定盤の特典として伊坂がさらに『ライトヘビー』を書き下ろすという交流が行われました。
その2編の短編にさらに4編を加えたのが短編集『アイネクライネナハトムジーク』です。
そんな伊坂自身にとって思い出深い小説を、伊坂からのラブコールを受けた「ダメ恋愛映画の旗手」と称される今泉力哉監督が、1つの映画作品として作り上げました。
タイトルはモーツァルト作曲のセレナードから取られていて「ある小さな夜の曲」という意味を持つそうです。
小さな夜に起こる出会いに、人との繋がりの温かみを感じられる本作のあらすじや見どころを、動画と共に紹介します。
何気ない出会いで始まるいくつもの愛の物語
物語の始まりは冬の仙台。
駅前にある大型ビジョンでは、日本人初の世界ヘビー級王座を賭けたウィンストン小野のタイトルマッチが映し出されており、街行く人たちが目を奪われています。
しかし、街頭アンケートを求める会社員の佐藤の声には誰も足を止めてはくれません。
そんな中、佐藤はギターの弾き語りをするストリートミュージシャンの斉藤の歌声に惹き込まれます。
すると、同じく斉藤の声に足を止めていたリクルートスーツ姿の本間紗季が、快くアンケートに答えてくれます。
それは劇的な出会いを待つばかりの佐藤に訪れた、1つの何気ない出会いでした。
一方、佐藤と同じように出会いのない日々を送る美容師の美奈子は、常連客の香澄から弟を紹介され、声しか知らないまま恋心を抱くようになります。
10年後、佐藤は紗季にプロポーズを試みようとしていました。
その裏では美奈子の恋、それぞれの人生で新たな局面を迎えています。
佐藤を中心に広がる人々の繋がりが起こす、優しくて温かな結末が感動をもたらします。
豪華キャストの演技が共感を呼ぶ
本作の主演を務めるのは、俳優の三浦春馬。ヒロインは女優の多部未華子が務めました。
観る人が共感できる素朴で等身大の人物像を、それぞれナチュラルな演技で見せてくれます。
また、矢本悠馬、森絵梨佳、貫地谷しほり、成田瑛基、原田泰造、恒松祐里、萩原利久が共演。
実力派俳優からフレッシュな若手俳優まで、豪華なキャストが物語をみずみずしく彩ります。
オール仙台ロケということもあり、仙台生まれの人気芸人サンドウィッチマンも出演。
細かい部分のキャストまでぜひチェックしてみてくださいね。
大切な人と出会えたことの素晴らしさを実感できる温かなストーリー
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本作の見どころは、人との繋がりに焦点を当てたストーリーにあります。
よく映画や小説で取り上げられる劇的な出会いは、現実ではほとんど起こりません。
冒頭の主人公のように、いつまで経っても理想の出会いがやって来ないと感じることもあるでしょう。
ですが、どのように出会うかよりも、誰と出会うかの方が重要であることを、この映画は教えてくれます。
恋人も友人も会社の上司も、すべての人間関係は他愛もない出会いで始まるものです。
そしてその小さな出会いは、自分の知らないどこかで繋がっています。
様々な出会いの連なりが回り回って自分の人生を彩っていることに注目すると、今目の前にいる人をもっと大切にしたいと思うのではないでしょうか。
また、出会いから10年後が描かれているところにも注目できます。
10年も経てば環境は変わり、人の関係も微妙に変化していくものです。
恋人、夫婦、家族。本作で描かれるそれぞれの変化は、誰しもが経験したことのある自然なものでしょう。
もちろん良い変化ばかりとは限りませんが、共に日々を過ごしてきたからこそ、相手と出会えたことの価値に気づけることもあります。
本作のキャッチコピーは「あの時、あの場所で出会ったのが君で本当に良かった。」です。
自身の人間関係を改めて振り返ってみれば、きっとあなたも心から出会えて良かったと感じられる人がいるはずです。
素敵な出会いに囲まれていることを感じられる本作は、観た後に心がほっこりしますよ。
「小さな夜」は大切な人と聴きたい主題歌
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本作の主題歌は、斉藤和義が書き下ろした『小さな夜』です。
劇中では「斉藤さん」役を演じたミュージシャンのこだまたいちが、ギターの弾き語りでゆったりと歌っている曲でもあります。
グルーヴ感のあるギターのメロディが心地よく響き、聴き返したくなるポップス曲となっています。
哀愁漂う歌詞に描かれるのは、主人公をはじめとする男性たちのリアルな心情。
平凡に思える日常が大切な人といられるだけで「悪くない」と思えるという表現から、人との繋がりの価値に気づかされます。
個性的かつ自然体の歌声が歌詞に気持ちを乗せ、主人公への愛おしさが増すことでしょう。
この楽曲のPVは映画と同じ仙台市内で撮影され、映画内に流れる穏やかな空気をこちらの動画からでも感じられますよ。
映画を観て出会いの幸せに浸ろう
映画『アイネクライネナハトムジーク』は、小説、音楽、映像から人間関係の本質を描く作品です。どんなに平凡な出会い方でも、大切な人と出会えたことの奇跡の価値は少しも変わりません。
重要なのは、出会った人を「この人で良かった」と思えるかどうか。
相手を大切にしたいと思うとき、出会いの瞬間に意味が生まれるのです。
本作を観て、出会いの素晴らしさを改めて感じてください。
TEXT MarSali