Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ、三戸なつめ等の楽曲プロデュースで知られる中田ヤスタカ。多くは語感やゴロの良さで歌詞を選ぶのが彼の楽曲の最大の特徴であり、最近は自身のユニットCAPSULEではまともに歌詞がないような曲も多く、歌詞カードもつかないほど。
公開日:2016年1月17日
Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ、三戸なつめ等の楽曲プロデュースで知られる中田ヤスタカ。多くは語感やゴロの良さで歌詞を選ぶのが彼の楽曲の最大の特徴であり、最近は自身のユニットCAPSULEではまともに歌詞がないような曲も多く、歌詞カードもつかないほど。
さて、そんなCAPSULEが2002年に発表した楽曲に『Music Controller』というものがあるのですが、ご存知でしょうか。
この曲はCAPSULEの初期楽曲で歌詞も明確です。歌詞に自らのグループ名である「カプセル」を幾度と入れ、自分たちそのものを楽曲に直接取り込んでいるところが特徴。Perfumeやきゃりーの楽曲の特徴である同じ言葉の繰り返しは、やはりこの頃から健在だったわけですね。
「恋の病に気づいたのなら そういう時にカプセルがある」
恋の病=精神的に困った状況になったら自分達の曲を聴けと言っています。
「0と1から作られたカプセル型の薬です」
自分達の音楽は0と1から成るコンピューター=パソコンで作っているという制作環境を表現。
「聴き過ぎは良くないけど中毒性に注意」
本来「効き過ぎ」のところをわざわざ「聴き過ぎ」と表現しているところがポイント。自分達の曲に中毒性があるという自信が表れている歌詞。
「刺激が少し強いですから」
自分達の音で「刺激」を与えるという意識があることがこのフレーズから分かります。
一見、「刺激」とは無縁の聴きやすい音楽に聴こえるこの曲。しかし中田ヤスタカの「刺激」に対する意識はこの曲の発表後に顕在化していくのです。例えば、2005年に発表したアルバムタイトルは「L.D.K. Lounge Designers Killer」。このタイトルの意味は「ラウンジ好きとデザイナーはこれを聴いて死ね」。当時ラウンジ好きやオシャレなデザイナーに人気!と評価されていたにも関わらず、自らその評価を覆そうとしたCAPSULEは、このアルバムからエレクトロ成分が強まってきます。続く2011年のアルバム「WORLD OF FANTASY」、震災の影響でタイトル変更を余儀なくされたこの作品。元のタイトルは「KILLER WAVE」。
アルバムのタイトルからして、やたらと殺したがっているんですね。これは音楽で「刺激」を与えるという強い意識が根底にあることの表れです。一見、オシャレでスマートな音楽をやっているように見えて、根底にかなり熱いものがあることが分かります。こしじまとしこの声がうまく中和しているんですね。
自分達は「音楽をコントロールする者だ」という自負が、実は初期から表れていました。中田ヤスタカが、全ての作詞作曲編曲をしているPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅは紅白に出演し、フェスの常連となりました。SMAPに提供した曲はユニバーサル・スタジオ・ジャパンのCMで使われています。北陸新幹線金沢駅発車メロディも手掛け、CAPSULEのアルバムもランキング上位に入ってきています。
「愛と夢と音を詰め込んだ 副作用は幸せ」と言えるだけの曲を作り「心ひとつ リズムに乗せて 浸透させるミュージックコントローラー」になった中田ヤスタカ。自分の音楽を日本全国に「浸透させる」人物になることは、活動の初期から宣言していたんですね。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)