アニメ史を動かした伝説の作品
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1974年に放送されたアニメ『宇宙戦艦ヤマト』は、滅亡の時が迫る地球を救うために旅立った宇宙戦艦「ヤマト」の航海と激戦を描いた作品です。
学生や大人の間で話題になり、それまでの「アニメは子ども番組」という概念を覆しました。
1978年に公開された映画『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』は興行収入43億円を突破するほどの大ヒットを記録し、一大ブームとなりました。
これまでTVシリーズ3作品、劇場版5作品、テレビスペシャル3作品が制作され、さらに木村拓哉が主演を務めた実写映画も公開されました。
2013年からリメイク版が2期にわたってテレビ放送されるほど人気を集めています。
なぜ『宇宙戦艦ヤマト』が多くの人の心を惹きつけたのでしょうか?
本作の世界観や見どころを紹介していきましょう。
「宇宙戦艦ヤマト」のあらすじを紹介
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西暦2199年、地球は異星人国家・ガミラス帝国の攻撃を受け、放射能汚染が進行していました。
地球防衛軍を結成し抵抗を続けるも、地球滅亡まで残された時間はわずか1年となってしまうのでした。
ある日、地球防衛軍が敵と交戦中、火星で通信カプセルが回収されます。
その中には、イスカンダルへ放射能除去装置を受け取りにきて欲しいというメッセージと、ワープを可能にする「波動エンジン」の設計図が納められていました。
地球防衛軍は、太平洋戦争で沈没した戦艦「大和」に似せて建造した宇宙船に、波動エンジンを乗せ「宇宙戦艦ヤマト」を完成させます。
沖田十三艦長や古代進、島大介や森雪ら乗組員を乗せ、往復29万6千光年の旅に旅立つヤマト。
しかしイスカンダルまでの道中、ガミラス帝国の激しい追撃や宇宙の厳しい自然現象が彼らを待ち受けていたのです。
ヤマトは1年以内に地球に帰り着くことができるのでしょうか?
愛があふれるストーリーと頼もしい主人公達に心奪われる
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『宇宙戦艦ヤマト』は愛があふれる人間ドラマと宇宙空間の戦闘の迫力に心奪われる作品です。
本作では、戦闘機どうしの激しい攻防や、大陸ひとつ吹き飛ばす程の威力を持つ兵器「波動砲」の砲撃など見応え抜群の戦闘シーンが多く描かれています。
なかでも「ワープ」が描かれたのは本作が初めてでアニメ界に衝撃を与えました。
また本作は人間ドラマも秀逸で、登場人物それぞれにスポットライトを当てた群像劇でもあります。
乗組員達の地球に残した家族への想いや、航海を通じて深まる主人公とヒロインの恋。
星を超えて惹かれあう男女の大恋愛などの壮大な「愛」が物語に奥行きを与えているのです。
その完成された映像と演出、世界観は『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督や『機動戦士ガンダム』を制作した富野由悠季監督に影響を与えたそう。
『宇宙戦艦ヤマト』の一番の魅力は、主人公達の強い使命感と一体感にあります。
1年以内に必ず地球を救い出すと決意した主人公達の強い使命感が、台詞や行動の随所に感じられ心動かされます。
決して揺らぐことのない使命感と正義感を貫き、故郷や愛する人々のために戦い続ける主人公達。
次々強敵が襲いかかる厳しい道中を、沖田艦長の冷静な判断力と主人公達の連携で乗り越え、命懸けで戦う姿に胸の奥が熱くなるでしょう。
魅力溢れるキャラクター達
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『宇宙戦艦ヤマト』には、存在感あふれる魅力的なキャラクターが多く登場します。
家族を奪った敵を憎み、感情的になりやすい性格でありながらも正義感あふれる主人公、古代進(cv.富山敬/ リメイク版:小野大輔)。
沈着冷静な判断力で何度もヤマトをピンチから救ってきた艦長、沖田十三(cv.納屋悟朗/リメイク版:菅生隆之)。
戦闘から看護まで幅広く活動する女性隊員、森雪(cv.麻上洋子/リメイク版:桑島法子)。
古代進の親友で強い責任感を持つ操舵士、島大介(cv.仲村秀生/リメイク版:鈴村健一)。
古代進の兄の親友であり、進を手助けする真田志郎(cv.青野 武/リメイク版:大塚芳忠)。
ガミラス帝国の冷酷非情な指導者、デスラー(cv.伊武雅刀/リメイク版:山寺宏一)。
ヤマトを追い詰めるガミラス帝国の名将、ドメル(cv.小林修/リメイク版:大塚明夫)。
他にも敵味方問わず人間味あふれる登場人物が多く登場します。
実力派声優の熱演にも引き込まれること間違いなしです。
現代に蘇ったリメイク版も目を奪われる
『宇宙戦艦ヤマト』にはリメイク版があり、本作を観たことのない人にも作品の魅力を伝えています。
2013年に1作目をリメイクした『宇宙戦艦ヤマト2199』が放送。
2018年には劇場版『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』とTVアニメ2作目『宇宙戦艦ヤマト2』をリメイクした『宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち』が放送されました。
いずれも戦闘シーンの迫力とスケール、スピード感がアップしています。
オリジナルを大きく超えた映像美と濃密に描かれた人間ドラマやスリリングな展開に引き込まれるでしょう。
登場人物の魅力を掘り下げた設定が付け加えられ、オリジナルよりリアルな作品になっています。
『宇宙戦艦ヤマト』の魅力を向上させたリメイク版は、新規ファンを獲得しただけでなく往年のファンからも支持される作品となりました。
そして『宇宙戦艦ヤマト2205新たなる旅立ち』が2021年に公開予定です。
令和の時代に蘇る『宇宙戦艦ヤマト』の物語から目が離せません。
引き込まれずにはいられない宮川泰の生み出す音楽
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『宇宙戦艦ヤマト』の世界観は、劇伴音楽と主題歌によって構築されています。
劇伴音楽は、音楽家の宮川泰が担当しました。
彼が手掛ける音楽は広大な宇宙空間やスリリングな長旅を情感豊かに演出しています。
なかでも冒頭の語りとともに流れる『無限に広がる大宇宙』は、女性の切なく美しい歌声が神秘的な世界観を作り上げ、引き込まれずにはいられません。
素敵な音楽に耳を澄ませながら『宇宙戦艦ヤマト』を堪能してみてくださいね。
壮大な世界観へ誘う主題歌「宇宙戦艦ヤマト」
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主題歌『宇宙戦艦ヤマト』を歌うのは、ささきいさお。
作詞家はピンクレディーなどの昭和歌謡曲のヒットメーカー阿久悠、作曲は劇伴曲を手がけた宮川泰が担当しました。
オーケストラによる壮大で華やかな伴奏と、ささきいさおの力強い歌声が合わさった楽曲です。
テレビ朝日で2020年9月に放送された『アニソン総選挙』では第3位にランクインしたほど根強い人気を誇っています。
この楽曲は、力強いホルンの響きから始まるイントロで心を捕まれるでしょう。
軽快なアンサンブルがイントロを盛り上げたところで、ささきいさおの伸びやかな低い歌声がさらに盛り上げます。
そしてAメロの途中で女性の高い歌声が加わり、神秘的な世界観を演出するのです。
歌詞には『宇宙戦艦ヤマト』のストーリーの中にある決意、別離、希望、望郷、愛といった要素が盛り込まれています。
1番では地球を救う使命を帯びて宇宙に飛び立つ乗組員達の心情を歌い、2番は必ず使命を果たしてみせるという信念が歌われているのです。
シリーズが変わり、行き先や敵が変わっても使用されていたこの楽曲は、『宇宙戦艦ヤマト』の世界観を体現した主題歌といっても過言ではないでしょう。
命がけで力強く前進していく主人公達を見事に表した名曲です。
切なく渋い歌声にほろりと泣ける「真赤なスカーフ」
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1作目のエンディングテーマ『真赤なスカーフ』もささきいさおが歌っています。
主題歌『宇宙戦艦ヤマト』同様に作詞は阿久悠、作曲は宮川泰が担当しました。
人類最後の希望を背負い旅立つヤマトの乗組員達と、ヤマトの帰りを待つ人々の心情を歌い上げた楽曲です。
懐かしさを誘うメロディーと渋く深みのある歌声が合わさることで切なく心に沁みる曲に仕上がっています。
じっくり聴かせるようなテンポで儚く歌われているので、ヤマトの隊員達がはるか遠くの故郷を懐かしむ気持ちや、再会できるか分からない旅立ちの場面が目に浮かび涙がこみ上げるでしょう。
必ず故郷に帰ると誓うヤマトの乗組員達の想いにほろりと泣ける名曲です。
「宇宙戦艦ヤマト」は愛と命を描いた不朽の名作
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『宇宙戦艦ヤマト』は、戦いと共に人の愛と命を描いた作品でもあります。
愛する人のために必ず生きて帰ってくる、苦しむ故郷の人々を救うために戦うという想いが1作目から感じ取れます。
本作が45年以上経過しても色あせないのは、「愛する人や故郷のために生きる、尽くす」という普遍的なメッセージがファンの心に確かに届いているからなのかもしれません。
『宇宙戦艦ヤマト』は、人の愛と命を描いた傑作にして、何年経っても何度見ても胸に沁みる作品です。
ぜひじっくり堪能してみてくださいね。
TEXT Asakura Mika