「オイオイオイ」という歌詞から作られたというこの曲。このデュオ流のアンセムなんですね。観客とオイオイやりたい為に作られました。
「オイオイオイ」のあとに「と流した涙を返してよ」というフレーズがくるところが良いですね。掛け声として定着している「オイオイ」を泣き声とかけています。
タイトルは、メビウスという無限に続くものと、行き止まりという止まるもの、異なる二つを並べています。歌詞は正反対の事柄を並べていき、清濁あわせたものの魅力を歌っているんですね。
「奇妙な平凡 新しい昔」というのは、特にこのデュオをよく表していますね。どこか懐かしい雰囲気を感じさせるこの姉妹は、かつての大道芸人の一座のように見えます。しかし、その存在は確実に新しい。「新しい昔」とは、チャラン・ポ・ランタンそのものです。「奇妙な平凡」も良いですね。アコーディオンに合わせてどこでも歌うというスタイルが、現在のJ-POPの中では非常に奇妙な存在。しかし、このスタイルは大道芸人や路上アーティストとしては決して珍しくない、むしろ平凡なくらいなんですね。
もともとこのデュオは、姉の小春がアコーディオン奏者として東京都のヘブンアーティストそして認められたところから始まっています。ヘブンアーティストとは、都から認められた大道芸人の資格。実力が必要なので音楽部門では100組いません。
アコーディオン奏者として曲を書いていくうちに歌ってくれる人が欲しくなった。それで妹に声をかけたんですね。
「古今東西 老若男女」という歌詞もこのデュオがおこなってきた活動そのもの。下町の祭りから銭湯での演奏、寄席から数々のフェス、そして国内だけでなく海外にまで行きイギリスの貴族の誕生日パーティーやツイッター会長の前でのパフォーマンス経験まであります。
「私の仮面をとかしてよ」と歌います。これは何か。このデュオはまだまだ知名度が低いので、より多くの人をひきつけたい気持ちがあるんですね。
“私の心 仮面のこっち 貴方だけが分かってくれた
あなたの心で仮面はとける 見つけてくれてありがとう”
そして楽曲の終盤では、貴方だけが分かってくれた、見つけてくれてありがとうと歌います。あなたをわざわざ「貴方」と表記。そして、ラストを「ありがとう」という単語でしめています。小春は、MCでもわりと憎まれ口をたたくほうなので、この「ありがとう」というのは貴重
ですね。それほど見つけてもらえると嬉しいという気持ちがあふれています。
徐々に「見つかって」きているチャラン・ポ・ランタン。今後の活躍にも期待です。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)
もも(唄/ 平成生まれの妹)と小春(アコーディオン/ 昭和生まれの姉)による姉妹ユニット。 2009年に結成、2014年にエイベックスよりメジャーデビュー。 バルカン音楽、シャンソンなどをベースに、あらゆるジャンルの音楽を取り入れた無国籍のサウンドや、サーカス風の独特な世界観で日本のみな···