TVアニメ「BEASTARS」OPに決定!
物語を音楽にするアーティスト『YOASOBI』。
作品をリリースするたびに動画配信サイトや音楽チャートを賑わす、今注目のアーティストです。
そんな彼らの7作目のシングル『怪物』が配信リリースされました。
今回は『自分の胸に自分の耳を押し当てて』という短編小説が元になっており、作者である「板垣巴留」の漫画『BEATSTARS』のアニメ版OP曲にも起用されています。
ちなみに『BEATSTARS』とは、擬人化した肉食獣と草食獣の共存を描いた物語。
ほのぼのとした内容ではなく、人間の本性を動物に置き換え描かれたシリアスさが話題の漫画です。
今回は原作を深く知らない方でも楽しめるよう、楽曲の歌詞を考察していきます。
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素晴らしき世界に今日も乾杯
街に飛び交う笑い声も
見て見ぬフリしてるだけの作りもんさ
気が触れそうだ
クラクラするほどの良い匂いが
ツンと刺した鼻の奥
目を覚ます本能のまま
今日は誰の番だ?
≪怪物 歌詞より抜粋≫
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まずこちらは冒頭の歌詞です。
みんなが楽しそうに過ごしているけど、それは大切なことから目を背けているだけ。
そんな現状が「乾杯」という言葉とともに皮肉たっぷりに歌われています。
後半の4行は草食獣を狙う肉食獣の思いを表現しているようですね。
アニメの世界観が生きています。
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この世界で何が出来るのか
僕には何が出来るのか
ただその真っ黒な目から
涙溢れ落ちないように
≪怪物 歌詞より抜粋≫
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多くの人が大切なことから目を背け、目先の楽しみに浸る世界。
その世界で自分に何ができ、どうしたら大切な人を守れるのか。
そんな葛藤が歌われています。
「真っ黒な目」というのはアニメに出てくるウサギの少女「ハル」を彷彿とさせる単語。
ぜひキャラクターもチェックしてみてください。
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願う未来に何度でもずっと
喰らいつく
この間違いだらけの世界の中
君には笑ってほしいから
もう誰も傷付けない
強く強くなりたいんだよ
僕が僕でいられるように
≪怪物 歌詞より抜粋≫
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こちらはサビの歌詞。
間違いだらけの世の中でも、自分の望む未来へ近づくよう奮闘する姿が描かれています。
「喰らいつく」という言葉が肉食獣を思わせますね。
アニメとの絶妙なリンク感は、小説を音楽にしてきたYOASOBIならではの技ではないでしょうか。
なりたい自分と周りが求める自分
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素晴らしき世界は今日も安泰
街に渦巻く悪い話も
知らない知らないフリして目を逸らした
正気の沙汰じゃないな
真面目に着飾った行進
鳴らす足音が弾む行き先は
消えない消えない味が染み付いている
裏側の世界
≪怪物 歌詞より抜粋≫
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向き合わなくてはならない問題から目を背けるからこそ、保たれる平和。
そんな世界で生きる葛藤が次の歌詞で表現されています。
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清く正しく生きること
誰も悲しませずに生きること
はみ出さず真っ直ぐに生きること
それが間違わないで生きること?
ありのまま生きることが正義か
騙し騙し生きるのは正義か
僕の在るべき姿とはなんだ
本当の僕は何者なんだ
教えてくれよ
教えてくれよ
≪怪物 歌詞より抜粋≫
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原作を元に考えると、これは肉食獣が持つ葛藤ではないでしょうか。
「肉食獣は草食獣を襲い食べるもの。」
これが周りが思う肉食獣の姿。
「でも、自分は草食獣と共存したい。」
これが主人公の思い。
肉食獣という属性を重視するのが正しい生き方なのか、それとも自分の思いを貫くのが正しい生き方なのか、そんな葛藤だと考えられます。
肉食獣、草食獣というと現実離れしている感じがしますが、この葛藤は皆さんも日常で感じることがあるかもしれませんね。
周りが求める通りに生きるべきなのか、それとも自分の夢や思いを優先すべきなのか。
アニメの世界とも現実ともリンクした素晴らしい表現力です。
答えは自分で導き出すもの
なりたい自分を優先するか、周りが求める自分を優先するか。その答えに正解はありません。
ではどうしたらいいのか。
それが次の歌詞で表現されています。
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今日も
答えのない世界の中で
願ってるんだよ
不器用だけれど
いつまでも君とただ
笑っていたいから
跳ねる心臓が
体揺らし叫ぶんだよ
≪怪物 歌詞より抜粋≫
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答えはわからない。
だからこそ、自分の思いに正直になる。
そして動き出す。
後悔しない選択をすることの大切さが歌われているように思います。
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弱い自分を何度でもずっと
喰らい尽くす
この間違いだらけの世界の中
君には笑ってほしいから
もう誰も泣かないよう
強く強くなりたいんだよ
僕が僕でいられるように
≪怪物 歌詞より抜粋≫
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この部分では、なりたい自分に向けて動き出した後の強い気持ちが現れていますね。
肉食獣という存在でありがながら、食すのは草食獣でなく「弱い自分」。
とても粋な歌詞です。
また、次の歌詞では自分の思いを貫き通した後の成長が表現されています。
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ただ君を守るそのために
走る走る走るんだよ
僕の中の僕を超える
≪怪物 歌詞より抜粋≫
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注目していただきたいのは最後の一文です。
葛藤を乗り越え、誰かを守ると決めた先にあるのは強い自分。
自分の気持ちを貫くことで、人はさらに強くなれるということを教えてくれる楽曲なのかもしれませんね。
「怪物」MVの世界観も意味深い
以上、YOASOBIの『怪物』の歌詞について解説しました。
なりたい自分を目指すか、周りが求める自分を目指すか。
そんな葛藤が描かれた歌詞に、アニメを知らない方も考えさせられたのではないでしょうか?
また、「怪物」はMVも必見です。
歌詞にはない思いや表情が表現されており、よりアニメの世界観が色濃く描かれています。
また違う考察も生まれると思うので、ぜひアニメやMVも合わせてチェックし、ご自身の解釈を楽しんでみてくださいね。