“先生でも何にも知らない 親友でも何にも知らない
誰にも話す気はない? だけども話してよ”
先生でも何にも知らない、親友でも何にも知らない、誰にも話す気はない?という歌詞。ここでいう先生は、いわゆる担任の先生はもちろん、塾の先生、部活の先生、社会の先生と呼ばれる偉い人、自分だけが先生だと思っている存在も指します。そんな先生と呼ばれる人達でも何にも知らない。ましてや親友であっても何にも知らない。そういうことは、非常によくあること。SNSが発展しているにも関わらず、肝心なことや本音などを言えない人は増えているのです。
そして現代は、とかく芸人のような軽妙なトークを求められる時代。トークに堪能でない人達は、話すことそのものに躊躇してしまうのです。
この曲が良いのは、トーキングでなく、スピーキングなところ。軽妙なトーク、場を沸かせるトークや噛み合った会話が出来なくてもいいから、まずは思っていることを何でも話してみてよ、そう言っています。この単純だけれど優しいメッセージに励まされる人も多いでしょう。
“でも君が本当に知りたいのは ダレデモない「君自身」でしょう?
指先で飛ばすメッセージは 一体誰の何に届いてるの?”
そして、話すことは自分自身を知ることにつながる。ダレデモない「君自身」という表現は、ダレデモがカタカナ表記。これはあえてモノのような表現にして対比しているんですね。モノのようなダレデモではない、「 」をつけるほど重要な「君自身」を知る為だ、ということを言っています。指先で飛ばすメッセージというのはスマホやPCを使う様子。
“教えなきゃ転んじゃう様で 学ばなきゃ怪我しちゃう様です」”
そしてふいに出てくる「 」で表記されるこのフレーズ。誰かに話すこと、教えることをしないと転んでしまう。そして、話して学ばなければ怪我をしてしまう。話すことというのは、そういった人生における転倒や怪我の防止策でもあるのです。誰かに話すことで自分自身を助ける効果があるんですね。
このバンドはまだ始まったばかり。MVを観ていると、可能性を感じるMrs. GREEN APPLEのことを誰かに話したくなってくるでしょう。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)
【Mrs. GREEN APPLE PROFILE】 大森元貴 (Vo/Gt) 若井滉斗 (Gt) 藤澤涼架 (Key) 2013年結成。2015年EMI Recordsからミニアルバム「Variety」でメジャーデビュー。 以来、毎年1枚のオリジナルアルバムリリースと着実なライブ活動を続け、2019年12月から行われた初の全国アリーナツアー「エデ···