大人気グループSuchmos
Suchmosは2013年に結成されたばかりの若手バンド。メンバー6人は全員神奈川育ちの幼馴染み。メンバーにはDJもいます。バンド名の「サチモス」とは、ルイ・アームストロングの愛称「サッチモ」からきています。ルイ・アームストロングと言えば『この素晴らしい世界』の歌唱でも知られるジャズ・ミュージシャン。
トランペットがうまく、スキャット唱法で楽曲を録音した初の人物。20世紀を代表するこのジャズ・ミュージシャンにかけていることから、このバンドがジャズやブラックミュージックから影響を受けていることが分かります。
特にジャミロクワイからの影響が強く、カッコいいサウンドを追求しているグループ。
『Miree』は代表曲の一つです。独特な雰囲気を持つ歌詞とリズム。
「街中で出くわす美女横目でキャッチして」のフレーズでスタートする今作。男が街中で美女を見ては脳内妄想を繰り広げている様子が分かります。
「周辺視野フル活用手慣れたもんで」も視点をフルに使って観察している様がよく分かる歌詞。このバンドはリズム感が良く、たとえばここであれば「しゅう」「ふる」といったリズムを作っています。こういった音のチョイスの巧さはこの後も出てきます。
巧みな言葉選び
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愛と言う能書きわかって
用ない好感色
ポーカーフェイスで相手したってsee such more
しょうもないbut 本能優勢
A low brain and down brain
SOS 猿の惑星そう 結果 we are ape
≪Miree 歌詞より抜粋≫
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「愛という能書きわかって 用ない好感色」好感触の字をあえて「色」にしている歌詞。好感触という言葉にあえて色気を入れています。「愛という能書き」という表現も良いですね。
能書きは口ばかりで実が伴っていない意味。愛という能書きを分かっていても「しょうもないbut本能優勢」という歌詞どおり、結局本能が優勢になってしまう人の性を書いています。
「あい」「いう」「のう」「よう」「こう」という音で韻を踏むリズムの作り方も巧み。
人間味を感じる詞
「SOS 猿の惑星 そう 結果 we are ape」で終わるフレーズ。『猿の惑星』はリメイクもされているとても有名なSF映画。猿によって支配されている星に人間が迷い込む物語です。野蛮な人間や粗野な人間を見下したい時に「猿」とののしりますね。猿の惑星=野蛮な人間がうごめく場所からSOS=助けてを発している。
しかし、結局は自分達も本能優勢な猿である、動物であると歌っています。こういった人間のある意味悲しい性をさらりと歌っているところが良いですね。「えすおーえす さるのわくせい そう」というさ行の音を意図的に入れています。
都会の孤独、人の本能を入れる歌詞。歌詞にしろリズムにしろ、こういう雰囲気を出せるバンドはなかなかありません。良くも悪くも売れやすいバンドのパターンがある中で、こういう方向からくるバンドは貴重ですね。
Miree 歌詞 全文
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)