Aimerの声の魅力が感じられる「wonderland」
ハスキーボイスの凛々しい歌声で人気のシンガー「Aimer」。
『wonderland』(ワンダーランド)は、2021年4月14日発売の自身6枚目のフルアルバム『Walpurgis』の収録曲です。
作詞、作曲を担当したのは、映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の主題歌に起用されたLiSAの『炎』などの作品で知られる作曲家「梶浦由記」。
梶浦由記は『wonderland』について、「Aimerの声に誘われるように楽しく書いた」「幸せいっぱいのLove Songになったと思っている」とコメントしています。
「不思議の国」を意味するタイトル通り、曲全体からはどこかミステリアスな雰囲気が漂う『wonderland』。
アルバム発売前の4月12日にプレミア公開されたMVも、不思議な世界でさまよう主人公を表現しているように感じます。
今回はミステリアスなイメージの中に込められた、Aimer『wonderland』の歌詞の意味を徹底解釈します。
主人公が「wonderland」で探していたものとは
タイトルの『wonderland』は、直訳すると「不思議の国」。
歌詞中にも『wonderland』という単語が何回か登場します。
しかし、曲中においての『wonderland』はどこか別の世界ではなく、あくまで自分たちが生きているこの世界のことを指しているように思いました。
『wonderland』が「私達が生きているこの世界」という解釈で歌詞を見ていきましょう。
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迷いの森にあるほんとう
探しに行く月のひかり
羊歯を踏んで足を濡らして
ひたりほとり夏の小道
≪wonderland 歌詞より抜粋≫
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『wonderland』始まりの歌詞では、主人公が「迷いの森」をさまよう様子が描かれているようです。
ただし、「迷いの森」といっても実際の森ではなく、ここでは主人公が何かに悩んでいることを表現しているのではないでしょうか。
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よく笑って泣いて見つめあって
おそるおそる恋に堕ちた
ふたり歩き出した違う方へ
呼び合う声だけもどかしく
find me in the wonderkand
≪wonderland 歌詞より抜粋≫
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歌詞を読み進めていくと、主人公にはどうやら恋に堕ちた相手がいるようです。
しかし、二人は別の道を歩み離れ離れに。
主人公は相手に対し、「私を見つけて」と呼びかけます。
主人公が「迷いの森」で探していたのは、おそらく恋に堕ちた相手だったのでしょう。
主人公の感情から歌詞の意味を考察
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そろそろ手を汚して
自分の欲しいものを
追いかけてみる
みつあみをほどいて
同じ星を齧る
ふたりになる
≪wonderland 歌詞より抜粋≫
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この部分は特に、楽曲『wonderland』における重要な部分ではないかと思います。
「自分の欲しいもの」、つまり主人公にとっては恋に堕ちた相手でしょうか。
二人は想いあっていたものの、何か理由があり引き離されてしまったのかもしれません。
自分の手を汚さない限り相手とはもう会えないと思った主人公は、悪いことだと考えつつも、じっとするのをやめて相手を追いかけたようです。
なお、真面目な女の子の髪型としてよく「みつあみ」がドラマや漫画などで描かれますよね。
「みつあみをほどいて」という歌詞からも、主人公が「良い子をやめて自分の意志を貫く」様子が感じられるようです。
幸せと後ろめたさの間で葛藤する主人公
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世界は君のものさ、どこへ行こうか、貴方は笑う
踏み外してみようか、後ろめたさが私を誘う
find me in the wonderland
≪wonderland 歌詞より抜粋≫
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探していた相手(貴方)を見つけた主人公に対して、相手は「どこへ行こうか」と笑って問いかけます。
主人公の迷う様子から、相手と一緒にいることは周りから反対されているのでしょう。
しかし主人公は「踏み外してみようか」と、相手についていくか考えているようです。
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どうしたって
生まれ変わるほどの
強い意志が必要だわ
慎重ないのちだった
私だけじゃ道は見つからない
≪wonderland 歌詞より抜粋≫
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二番冒頭の歌詞で、主人公はこのように嘆きます。
生きていくうえでは、自分と価値観の違う人たちに出会うこともあるでしょう。
そして、何かに逆らうことは、決して簡単なことではありません。
周りの反対を受けてでも自分を貫くことは、相当な強い意志が必要です。
二人で踏み外してみようか
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もう一人じゃないのよ、とても怖いね、幸せなんて
寂しさはひるがえり旗の元へと二人は集う
世界は君のものさ、手が届いてあなたがいて
踏み外してみようか、愛するひとが私を誘う
find me in the wonderland
in your wonderland
≪wonderland 歌詞より抜粋≫
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しかし、主人公の「私」と相手「貴方」は、「二人なら何があっても乗り越えていける」と考えたのではないでしょうか。
たしかに、一人では難しいと思えることでも、支え合う相手がいれば大丈夫だと感じる場面が人生においてはあるでしょう。
『wonderland』の主人公にとってその存在が「貴方」で、「貴方」といることで主人公は勇気を出せたのではないでしょうか。
『wonderland』最後のサビの歌詞は、二人の希望に満ちた様子が描かれているように感じます。
「wonderland」の歌詞は今を生きる私たちへのメッセージ
『wonderland』の歌詞は、全体として「私」と「貴方」のストーリーで構成されていました。
しかし、『wonderland』の歌詞の随所には、揺れ動く主人公の心情が描かれています。
その様子から、『wonderland』は単なるラブソングではないように感じました。
おそらく、『wonderland』の歌詞に込められているのは、「周りが何と言おうとも、自分が欲しいものがあれば強い意志を持って行動すべきだ」というメッセージではないでしょうか。
それは決して恋愛だけでなく、人生においても同じでしょう。
『wonderland』の歌詞は、迷うことの多い人生(wonderland)において、私たちが忘れてはいけないことを教えてくれているように思います。
ミステリアスな雰囲気が深い味わいを見せる楽曲、Aimerの『wonderland』。
主人公の揺れ動く感情と自分の想いを照らし合わせながら、『wonderland』の歌詞の意味を考察してはいかがでしょうか。