V6が解散発表後初のシングルをリリース
2021年3月12日、デビュー26周年の記念日となる11月1日をもってグループの解散を発表した人気グループ・V6。ジャニーズ史上最長の歴史を持つグループの突然の発表に、日本中が驚きに包まれました。
そんな中、解散発表後初のシングル『僕らは まだ』が6月2日に発売されることが決定。
井ノ原快彦主演ドラマ『特捜9season4』のエンディング曲に起用されています。
この楽曲は「大人になった自分から、少年だったあの頃へ」という目線で歌詞が描かれており、しっとりとしたミディアムテンポのメロディとメンバーの優しい歌声に癒される楽曲です。
MV制作を担当したのは、V6をデビュー当時からよく知る大根仁監督。
楽曲を繰り返し聴いて「解散に向かってゆく彼らの自然な佇まいや表情や関係性を撮るべき」と感じたそうで、あえてシンプルな内容で制作されています。
MVはレーベルであるavexの公式YouTubeチャンネルで公開。
コメント欄では多くのファンからV6への感謝や応援コメントが書き込まれ、この楽曲についても「泣ける」という感想が寄せられています。
それでは、歌詞とMVの内容から、彼らのメッセージを徹底解釈していきましょう。
大人になったから感じる未完成の歯がゆさ
MVはまず、別々の場所にいるメンバーの複雑な表情を一人ずつ映しています。
そんな1番のAメロとBメロで歌われるのは、大人になった自分に感じる歯がゆさです。
歌詞にある通り、きっと多くの人は子どもの頃に大人という存在に夢を見て「大人になれば何でもできる」「言い訳もしない 強い人になれるんだ」と想像していたでしょう。
しかし、いざ大人になってみると想像とは違い、自分の言葉さえ上手に使えずもどかしい思いをすることもあるはずです。
「大事な人を見失いそうになって」初めて優しくあることが単純ではないと気づく未熟さに、自分で自分にがっかりすることもあるかもしれません。
若い頃からアイドルとして活動し、いつも輝いているように見える彼らも同じように、歯がゆさを抱えながらこれまで走って来たことが伝わってきます。
サビでは特に「僕らはまだ 未完成で」という表現が印象的です。
いくら年齢や経験を重ねても、自分は完璧だと胸を張って言える人はいないでしょう。
とはいえ、ここではその事実が「心のピースを埋めていく」と歌っています。
自分の「弱さを知って」完璧にはなれないのだと理解すると、優しさや愛情、そして仲間の大切さといった成長するために必要な想いで心を満たすことができるようになるのです。
それはたとえ人として完璧とは言えなくても、胸を張れる大人になれているということなのではないでしょうか。
それぞれ歩き出した彼らが向かったのは同じ場所。
歌詞の内容からすると、仲間の元に集まったとも言えるかもしれません。
海辺で一人ずつメンバーが揃っていく演出は、異なる畑で活躍してきた6人が確かにグループとして在り続けたことを感じさせます。
MVで見せた6人の深い関係性に感動
集まった6人はみんなで一緒に話をしています。
そこで流れる2番のAメロは、V6のこれまでの活動を振り返っているようです。
夢を抱いては絶望を感じ、それでもまた夢を捨てられず必死で歩き続けてきたのかもしれません。
与えられた助け船に乗ることもできないまま、気づけば歳ばかり取っていたという点に共感する人もきっと少なくないでしょう。
続いて、MVでは『Coming Century』の森田剛・三宅健・岡田准一の3人と、『20th Century』の坂本昌行・長野博・井ノ原快彦の3人に分かれてそれぞれ話している姿が映し出されます。
V6というグループとしてだけでなく、「カミセン」「トニセン」と呼ばれ愛されてきた彼らにとって、2つのユニットも思い入れの深いものだということがよく伝わってきますね。
このBメロでは、グループとしての難しさを描いていると考えられるでしょう。
仲間でも他人だから「心はまだちぐはぐで」、みんな違う想いを抱えています。
何年一緒にいても「言葉はまだ丸くない」まま、不用意に相手を傷つけてしまうことも
あったでしょう。
それでも共に日々を乗り越えてきた「大事な人」として、これからも「笑い合えればいいな」という素直なメッセージが心に沁みますね。
海に眺める6人の背中からも、互いを想い合う温かい気持ちが伝わってきます。
このMVで特に注目を集めたのは、6人が相撲を取りじゃれ合うシーン。
童心に帰ったようにはしゃぎ笑い合う姿に、思わず涙が零れたファンもいるのではないでしょうか。
そんなCメロの歌詞は、解散を決めた彼らの気持ちを歌っていると解釈できます。
大人だからこそ、生まれるこれから先の活動への不安で、解散に踏み切ることに多少の迷いがあったのかもしれません。
そんな彼らの背中を押したのは、空の美しく鮮やかな青さ。
この空はメンバー同士の想いを表していると考えられます。
仲間がいるから、歩む道は変わっても「いつものように歩き出」せるのです。
未完成だからこそ新しい未来へ進める
2番のサビの「走り出したあの日の少年」は、その言葉通りV6としてデビューした時の彼らのこと。
もがき迷いながら進んできた26年の中でいくつもの「心のピース」を集め、グループとしても個人としても様々な方面に活躍してきました。
そしてきっとこれからも、ソロで活動していく中で新たな「心のピースを探してゆく」のでしょう。
解散というと後ろ向きなイメージがつきものですが、グループ結成があったからこそ今の自分があり、その過去を糧にして進んで行こうとする前向きな感情が表現されています。
大サビでは遠くから海辺を歩く6人が映されます。
「バラバラだった僕らの破片」とは、グループを構成する彼ら自身のことと解釈できるでしょう。
年齢も目指すものも違った6人は、長い年月をかけて仲間として結束を深めていきました。
誰もが「未完成」だから、完璧に1つになることはできません。
しかし、あえて「1つになろうとしている」と進行形で描かれていることから、解散しても彼らの関係は続いていくのだろうと想像できますね。
「僕らはまだ 未完成さ」というフレーズからは、肯定の気持ちが読み取れます。
未完成である限り、何度も不安や歯がゆさを感じるでしょう。
とはいえ、未完成だからこそ学べることがあり、満たされる喜びを感じられるのではないでしょうか。
「どんな色にでもなってゆける」という表現も、未来への期待や高揚感を感じさせますね。
MVの最後には去っていくメンバーの後ろ姿と共に、『僕らは まだ』とタイトルが映し出される演出があります。
解散発表後、リーダーの坂本昌行は今後の活動を「第2章のスタート」と表現しました。
V6の解散は決して彼らの終わりではなく、これからそれぞれが新たな道へ進んでいくための1つの完結の形であると思わずにはいられません。
「僕らは まだ」を聴いてV6の想いに触れよう
V6『僕らは まだ』は、解散に際しての穏やかな想いと今後の活動への前向きな気持ちが表されていました。彼らはこの楽曲を通して、自分たちが解散する意味が明るいものだというメッセージを伝えたかったのではないでしょうか。
V6として並ぶ姿が見られなくなる寂しさはありますが、各方面でさらに励もうとする6人の活躍をこれからも応援していきたいですね。