ドラマ「恋はDeepに」主題歌はポジティブな恋の歌
2021年5月24日、大人気スリーピースロックバンドのback numberが最新曲『怪盗』を配信リリースしました。この楽曲は石原さとみ・綾野剛主演ドラマ『恋はDeepに』の主題歌に起用されています。
back numberといえば、共感性の高いラブソングを得意とするアーティスト。
今回も令和版人魚姫と呼ばれる『恋はDeepに』のストーリーと絶妙にリンクし、爽やかで明るい音楽に乗せた倫太郎と海音の関係性を思わせる歌詞が魅力的です。
それでは、さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。
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じゃあちょっと目を閉じて
僕の腕に掴まっておいてよ
君の笑顔 盗む奴から
君を盗むのさ
≪怪盗 歌詞より抜粋≫
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1番のAメロの歌詞から分かる通り、主人公の男性こそが怪盗の正体で、ドラマのストーリーから言えば倫太郎ということになります。
主人公は怪盗と言いつつ、悪者ではありません。
彼が盗もうとしているのは「君」ですが、「君の笑顔盗む奴から 君を盗むのさ」と歌われています。
つまり、ヒロインの女性は誰かによって笑顔を奪われている状況にあり、彼はそんな悲しみから彼女を連れ出してあげようとしているのです。
この部分は、街で盗みを働くアラジンが王女ジャスミンを救おうと奮闘する様子と似ています。
愛する人のためになら自分を投げ打ってもいいという深い愛と、自分なら彼女を助けられるという自信が心に響きますね。
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物語の名前は伏せたまま始めよう
連れ去ってと合図をくれたら
≪怪盗 歌詞より抜粋≫
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ここでは「物語の名前は伏せたまま」のフレーズが印象的です。
知っている物語のタイトルを聞くと、ついその結末を思い浮かべてしまいませんか?
例えば『恋はDeepに』は令和版人魚姫と言われていますが、人魚姫と言えば最後には悲しい結末を迎えてしまいます。
こんな風に、たとえハッピーエンドの物語でも結末に固定概念を持ってしまうと、それ以上想像は広がらなくなるでしょう。
彼にとって、目の前にいる彼女は既存のどの物語のヒロインでもない、唯一の存在である大切なヒロインなのです。
だからこそ彼女には自分の結末を決めつけず、もっと自由に人生を楽しんでほしいと考えているのではないでしょうか。
「連れ去ってと合図をくれたら」とあるように、あくまで彼女の意思を尊重しようとする彼の優しさも垣間見えます。
そして、彼女が選んでさえくれたら、あとは自分が何とかしてあげると、頼もしくポジティブなメッセージが伝わってきますね。
君の魅力は僕が知っている
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もう行かなきゃなんて
ガラスの靴で 月にでも帰るの?
君がどう否定したって
素敵なままだよ
≪怪盗 歌詞より抜粋≫
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2番の歌詞はさらにロマンティックになっていきます。
「ガラスの靴」はシンデレラ、「月にでも帰る」はかぐや姫の物語を連想させるフレーズです。
ちぐはぐにも思える組み合わせですが、この2つの物語には“期限付き”という共通点があります。
ドラマでも3ヶ月という期限があり、そのために海音も倫太郎も焦りやもどかしさを抱えています。
この楽曲の彼女も「もう行かなきゃ」と何かしら自分に制限をかけていて、焦っているようです。
その点がYouTubeで公開されている鈴木ゆうか出演のMVでも描かれていて、無理に背伸びをして変わろうとするのに上手くいかない姿が痛ましく感じられます。
しかし、今の自分に否定的な彼女を彼は「素敵なままだよ」と優しく諭します。
なぜなら、彼女と出会ったことで彼の人生は変わったからです。
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君と出会えた僕と
出会えなかった先の僕を比べて
論文にしたいとこだけど
君の細胞全部の
尊さはきっと伝えられやしない
君自身に君を僕が証明するよ
≪怪盗 歌詞より抜粋≫
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今ある「君と出会えた僕」と想像する「出会えなかった先の僕」を比べて、そのあまりの違いに彼自身も驚いているのでしょう。
ドラマで倫太郎が問題を抱えていたように、強気に見える彼も人には言えない問題に悩んでいたのかもしれません。
それが彼女と出会ったことで心に変化が生じ、暗いはずだった人生に希望が見えるようになったと考えられます。
その違いは可能なら「論文にしたい」くらいだと言いつつ、どれほど書き連ねても彼女の存在がいかに大切で尊いかを伝え切ることはできないとも思っています。
細胞レベルで認めてくれているところに、想いの深さが表れていますね。
言葉では書き切ることができないから、君に出会って幸せになれた僕が君を幸せにすることで君の価値を「証明するよ」と、プロポーズにも思える熱烈な告白でサビへ繋がっていきます。
怪盗は眩しい世界を見せてあげたい
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これから君を奪って
夜空を抜けて
宝石みたいな 街を飛び越えて
君が想像した事ないくらい
眩しい世界を見せてあげる
≪怪盗 歌詞より抜粋≫
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1番と2番で共通するサビでは、改めて怪盗らしく悲しみの中にいる「君を奪って」新しい世界に連れて行くと歌っています。
そこは「夜空」や「宝石みたいな街」の光にも負けない「君が想像した事ないくらい眩しい世界」。
現実にある特定の場所ではなく、彼女が悲しみも焦りも忘れて本当に幸せを感じられる人生を「世界」という言葉で表現していると思われます。
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そのまま海を渡って
春風に乗って
虹を蹴散らして 空にばら撒いて
君は今日も明日も君のままでいていいんだよ
君がいれば僕に不可能なんか無い
≪怪盗 歌詞より抜粋≫
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夜の景色の次に見えるのは、海を越えた先の春の朝の風景のようです。
「虹を蹴散らして 空にばら撒いて」というフレーズは、幻想的なのにどこか現実的で強い意思を感じさせます。
普通ではありえないことを歌っているのに自信たっぷりな言葉から、彼にかかれば本当に「不可能なんか無い」のではないかとも思えてくるのではないでしょうか。
そして「君は今日も明日も君のままでいていいんだよ」と、存在を認めてくれていることを示すストレートな言葉に胸を打たれます。
自己肯定感が低く、違う何者かにならなければいけないと思ってしまう人は少なくないでしょう。
それでも、今の自分だから誰かの助けになれることがあり、そのままの自分を愛してくれる人も必ずいます。
自分の価値が分からなくても、差し伸べられるその手を取る時にきっと素敵な世界と出会えるでしょう。
そんな恋の素晴らしさを感じさせてくれるラブソングです。
「怪盗」の歌詞を読み解くと恋がしたくなる!
back numberの『怪盗』は、物語をテーマにドラマの世界観を表現しつつ、恋のきらめきや愛の尊さをロマンチックなフレーズで描いています。愛する人がいると、確かに人は強くなれます。
今恋をしている人はきっとこの歌詞に共感し、恋に臆病になっている人は背中を押されるでしょう。
ぜひ『怪盗』を聴きながら、自分だけの素敵な恋を楽しんでくださいね。
Vocal & Guitar : 清水依与吏(シミズイヨリ) Bass : 小島和也(コジマカズヤ) Drums : 栗原寿(クリハラヒサシ) 2004年、群馬にて清水依与吏を中心に結成。 幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年現在のメンバーとなる。 デビュー直前にiTunesが選ぶ2011年最もブレイクが期待でき···