DISH// ×「僕のヒーローアカデミア」
昨年、YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』で『猫』を歌ったパフォーマンスで注目を浴びたダンスロックバンド『DISH//』。
メンバーは、北村匠海(Vo/G)・矢部昌暉(Cho/G)・橘柊生(DJ/Key)・泉大智(Dr)の4人で構成されています。
そんな彼らの13thシングル『No.1』が、2021年5月26日に発売されました。
収録曲『No.1』は大人気漫画原作のTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』(ヒロアカ)の第5期オープニングテーマに起用されています。
作詞はいしわたり淳治が担当し、DISH//とは2度目のタッグ。
疾走感のあるサウンドと前向きな歌詞は、まさに「ヒロアカ」の世界観そのものです。
----------------サビの歌詞は、主人公の勢いあふれる感情を表現しているようですね。
突き上げたNo.1が 指さす空の彼方
今よりも高い景色が 見たいから
満たされないカラカラに渇いた心を 燃やして
未来を炙り出せ 幻想を焼き尽くせ
≪No.1 歌詞より抜粋≫
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タイトルの『No.1』とは主人公の理想の人物であり、主人公が『No.1』を目指して懸命に走る様子が目に浮かびます。
アニメの世界で当てはめるなら、主人公=緑谷出久(ヒロアカの主人公)、 No.1=オールマイト(緑谷出久の師匠)と言えるのかもしれません。
誰も歩めない道を、自分らしく歩く
それでは、DISH//の『No.1』の歌詞の意味を詳しく考察していきましょう。
----------------まずは、Vo.北村匠海の力強い歌声が響く冒頭部分。
他の誰も歩めないこの日々に胸よ 騒げ
≪No.1 歌詞より抜粋≫
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「他の誰も歩めない」という歌詞は、主人公が「人生は自分だけのもの」と言い聞かせているようです。
----------------1番サビ前の歌詞では「 自分を守るもの」を「見えない鎧」に例えています。
見えない鎧を 脱ぎ捨てて 頬を打つ風が
自分を守って 手に出来るものに 価値なんかないと言う
≪No.1 歌詞より抜粋≫
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ここで言う「自分を守るもの」とは一体何なのでしょうか。
2番の冒頭では、「言い訳が下手になること」を「上手く生きる術」とする歌詞が登場します。
----------------つまり、先ほどの「自分を守るもの」は「言い訳」のことではないでしょうか。
世界でいちばん 言い訳が 下手になることが
回り回って 誰よりも上手く 生きる術なら
≪No.1 歌詞より抜粋≫
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人間誰しも失敗はあるもの。
失敗をしてしまったときに、言い訳をして自分を正当化したくなることもあるでしょう。
しかし、この部分は「自分に言い訳をして格好つけたって意味はない」と言っているのではないでしょうか。
言い訳をつかず、本当の自分をさらけ出して手に入れたものにこそ価値があるのだと『No.1』の歌詞は教えているように思います。
「No.1」を目指す主人公の想いを考察!
『No.1』を目指して懸命に行動する歌詞の主人公ですが、その道のりは決して楽なものではないでしょう。
2番サビ後には、以下の歌詞が登場します。
----------------成功者が語ってきた名言や前例と自分を比べて、自分はまるで違うと悟っているようです。
誰かが残した名言も 誰かが作った前例も
当てはまらないまま日々が 過ぎてく
まだ言葉に出来ない まだ形にならない
歪な想い抱いて
≪No.1 歌詞より抜粋≫
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そのうえで、自分は成功できないのではないかと不安になっている様子が浮かびますね。
しかし、成功者と同じ道を辿れば、果たして自分も成功できるのでしょうか。
少し戻って、1番Aメロ部分の歌詞を見てみましょう。
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揺らいだ世界で 揺るがない答えを 探すより
無限の疑問を 徒らに問い続けて 生きていたい
≪No.1 歌詞より抜粋≫
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「揺るがない答え」=つまり、何があってもブレない絶対的な答えですね。
ただし、主人公は「絶対的な答えを探すよりも無限の疑問を問い続けたい」と願っています。
この歌詞は、「世の中に答えは1つではない」ことを示しているように考えられます。
世間的に「正しい」と言われていることが、必ずしも正しいものとは限らないですよね。
歌詞の主人公は「これが正しいことなのか」と常に問いかけながら生きていたいと思っており、それは「自分なりの成功方法を見つけたい」という意味にも解釈できます。
なぜ主人公はそう思うようになったのでしょうか。
曲後半の下記のパートを見てみましょう。
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突き上げたNo.1が 指さす空の彼方
今よりも高い景色が 見たいから
こぼして来た涙と足跡を辿って ここへ
≪No.1 歌詞より抜粋≫
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主人公が辿っていくのだから、「こぼして来た涙」「足跡」は主人公より前を歩いている人のものですよね。
主人公が追っている人物であろうことから、「こぼして来た涙」と「足跡」は『No.1』のものではないかと考えられます。
つまり、「『No.1』もかつては主人公と同じように必死に歩き、涙を流すほど辛い経験もしてきた」とこの歌詞は示しているのではないでしょうか。
すごい人物のように見えても、過去にはみんなと同じように悩みながら、なんとか今の地位に辿り着いたのでしょう。
誰かの真似をすれば辿り着けるほど、『No.1』になるまでの道のりは決して楽なものではありません。
時には迷い、時には辛くて涙することもあるのでしょう。
主人公はそう知ったうえで、自分なりの成功方法を探しながら、理想へと突き進んでいるように思えます。
「自分らしく生きていこう」と思える歌詞
TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』OP主題歌に起用されているDISH//の『No.1』。
歌詞の主人公とNo.1の存在を通して、「目標を叶えるまでの道のりは楽ではなく、誰しもが悩むもの」と教えてくれているようですね。
あわせて、誰かの真似をしたり格好つけたりするのではなく、「自分らしく生きていくのが大切だ」というメッセージが歌詞に込められているようです。
DISH//のエネルギッシュな演奏と前向きな歌詞で、挑戦することへのエールをもらえる楽曲『No.1』。
ぜひ楽曲を聴いて、勇気をもらってはいかがでしょうか。