BTS「Permission to dance」が全世界で大好評!
新曲を出す度に世界から注目を集めるBTSは、楽曲に込めたポジティブなメッセージで多くの人に共感と力を与えているグループです。
2021年7月9日にYouTubeで配信公開された『Permission to dance』のMV動画がわずか3日で1億回再生を突破したのも、彼らの思いが世界中のファンの心に響いたからでしょう。
エド・シーランとの2度目のコラボ曲としても話題で、ポップなメロディに乗せてコロナ禍の憂うつな気分を晴らしてくれるようなイメージの楽曲です。
また、BTSといえばどの楽曲でも特徴的な振り付けが取り入れられていますが、この楽曲ではさらに特別なパフォーマンスが登場。
タイトルは直訳すると「ダンスの許可」という意味になり、少し変わったタイトルですが歌詞とMVを見ていくと本当の意味が分かってきます。
全編英語の歌詞の和訳とMVの内容をふまえながら、BTSが今世界に伝えたいメッセージを考察していきましょう。
空へ飛ばす紫色の風船は希望の象徴
『Permission to dance』のMVは、カフェのウエイトレスがバターの乗ったパンケーキを運ぶシーンから始まります。
カメラが引いていくとウエイトレスはマスクをしていて、楽曲の舞台がコロナ禍の日常であることが分かりますね。
彼女が見上げる先には建物の屋上に座るJUNG KOOKがいて、紫色の風船を空に飛ばしているのが印象的です。
建物に描かれている風船のイラストに歌詞にも出てくる「LIVE JUST LIKE WE'RE GOLDEN(輝きながら生きよう)」。
こちらのフレーズが記されていることを考えると、紫色の風船は輝かしい希望の象徴と言えます。
そして、青春時代を思うと「When your heart’s just like a drum(心臓はまるでドラムのように大きく脈打つ)」という歌詞は、誰にでも覚えのあるときめきを思い出させてくれますね。
SUGAが弾くピアノのメロディに合わせて歌うRMは、絶望した時には「Just sing along to Elton John(ただエルトン・ジョンの歌を一緒に歌うんだ)」と誘います。
エルトン・ジョンの楽曲といえば、時代を越えて愛される普遍的な魅力で聴く人の心を動かすもの。
歌詞を知らなくても、自然と踊りたくなるような音楽に身を委ねればいいと教えてくれているのでしょう。
ショップから出てきたジミンが「And the rhythms got you falling behind(君が遅れを取っていると感じる時)」と歌えば、
ジンが「Just dream about that moment(あの瞬間を夢見てごらん)」と続けます。
メンバー全員で踊るシーンの後ろにある壁の文字に注目してみましょう。
大きく「THE WAIT IS OVER(待ち時間は終わった)」と書かれているので、ジンが示す「あの瞬間」が、コロナ禍の収束を指していると想像できるのではないでしょうか?
今は寒い夜のように不安な日々ですが、明るい未来にいる自分自身を思い描くなら気持ちはきっと軽くなるはずです。
音楽に乗って踊れば不安は消えていく
続くサビでは率直に「I wanna dance(踊りたい)」
音楽に突き動かされるから「Ain’t nothing that can stop how we move yeah(何も僕たちを止めることはできない)」と歌っています。
Vが歌うように、不確かな「Let’s break our plans(計画は壊して)」ただ音楽を楽しむことこそが、コロナ禍の憂うつを吹き飛ばす一番の方法と言えるかもしれません。
「‘Cause when we fall we know how to land(落ちてもどう着地すればいいか知っているから)」心配しなくていいという励ましの言葉も、心強く感じられるでしょう。
タイトルのフレーズが用いられている「‘Cause we don’t need permission to dance(僕たちが踊るのに許可はいらないのだから)」という歌詞が、この楽曲の最も大切なメッセージです。
言葉は通じなくても一つの音楽さえあれば世界中の誰もが楽しむことができ、その楽しみを奪うことはコロナですらできないのです。
J-HOPEは誰の前にも「There’s always something that’s standing in the way(いつも邪魔する何かがある)」と現実の厳しさを伝えています。
しかし、同時に「But if you don’t let it faze ya You’ll know just how to break(だけど怖がらなければどう乗り越えればいいのか君に分かるようになるさ)」とも歌います。
見えない未来を怖がらずに前を向いて今を懸命に生きていれば、問題を乗り越える方法は自ずと見えてくるでしょう。
SUGAが伝えるように「We don’t got this on lock yeah(ただぶつかってみるんだ)」という、ポジティブな気持ちで行動すればいいのです。
コロナ禍でも変わらず街のために働く清掃業者や散髪屋の主人も、健康の不安がある年配の夫婦や子どもたちも、思い思いに踊っている姿は楽しげで何の不安も感じられません。
音楽を楽しむこと、そしてポジティブでいることは、どの世代のどんな立場の人にも共通する毎日を明るく生きるためのヒントなのではないでしょうか。
また、街を歩く人たちの頭上や掃除のワゴンなど様々なシーンで紫色の風船が映り込む演出から、希望はすべての人の日常の中にあるということにも気づかされますね。
「That we can keep the fire alive(僕たちが火種を絶やさず、燃やし続けられることを)」見せてあげようという歌詞は、BTSが音楽で希望を可視化させ、気持ちを奮い立たせてくれる存在であることを想起させます。
BTSが希望を見せてくれるように、子どもが持っていた紫色の風船も空へ飛んできっと別の誰かの希望になるのでしょう。
人との繋がりや希望の連鎖が、幸せな未来を引き寄せてくれると感じさせます。
国際手話とタイトルから伝わるBTSからのメッセージ
BTSのメンバーの元に白い衣装を来た人たちが集まって全員で踊り出し、楽曲の盛り上がりは最高潮へ。
そこから繰り広げられるのは、国際手話を用いたパフォーマンスです。
まず、親指を伸ばし残りの指を半分曲げた状態で、体を掻くように上下させる動作は「楽しい」を表しています。
次に出てくる片方の手を舞台に見立て、もう片方の手の人差し指と中指を左右に動かす動作の意味は「踊る」。
そして両手でVを作る動作は「平和」の象徴です。
つまり、世界中の人たちが楽しく踊るその先に平和があるということを表現しているのでしょう。
手話は基本的に国によって表現が異なりますが、国際手話は全世界で使える共通語のようなものです。
音楽を楽しむのに国籍や人種が関係ないように、聴覚障害があるとしても一緒に踊ることができます。
音楽があれば、全世界の人が繋がり打ち解け合うことができるはずです。
人々はマスクを取り、カップルがキスをしたり思い切り踊ったりする様子は、コロナ禍が収束する日を表現しているのでしょう。
いつかまた、ツアーで自由に世界を飛び回るBTSにまた会えるようになります。
最初から最後まで暗い雰囲気を一切感じさせないポジティブな楽曲なので、そんな日々がすぐにでも訪れそうな期待感に心が晴れやかになるでしょう。
MVの最後には「PERMISSION TO DANCE」と楽曲のタイトルが表示されますが、文字の大きさが不揃いである点に注目できます。
実はこれにはアナグラムの仕掛けが施されていて、大きい文字を並び替えると「PNDMC」となり「PANDEMIC(パンデミック/世界的大流行)」を表す単語に。
残りの文字も並び替えると「STORIES ON PANDEMIC (パンデミックに関するストーリー)」となり、この楽曲がコロナ禍の現実を描いた楽曲であることが示されます。
秀逸なのが、さらに入れ替えることで「NO PANDEMIC STORIES(パンデミックが終わるストーリー)」とも読めることです。
世界で猛威を振るうコロナ禍もいつか必ず終わりを迎え、待ちに待った自由な日々がやって来ることを確信させてくれますね。
「Permission to dance」が未来への希望を与えてくれる
BTSの『Permission to dance』は、コロナ禍の現在と収束した後の未来を描いた楽曲です。
今はまだこのMVのように何も気にせず肩を寄せ合って踊れる日はまだ遠く思えます。
それでも、そんな時だからこそこんな未来を迎えたいと強く願い、希望を捨てないでいることが大切なのではないでしょうか。
眩しい未来を想像しながら、ステイホームでBTSと一緒に思い切りダンスを踊りましょう!