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【インタビュー】the quiet room、初のアルバムで伝えたい「花束のかわりに僕らやみんなの日常を切り取って」 (1/2)

3人組ロックバンドのthe quiet roomが8月4日(水)に、1stアルバム『花束のかわりに』をリリース!初の集大成となるアルバムでは、日常に溢れる小さな奇跡を切り取った彼ららしい温かみのある作品に仕上がった。今回UtaTenでは、『花束のかわりに』に関してロングインタビューを敢行!

取り戻した先が新しい日常


──初の1stアルバムのタイトルが『花束のかわりに』ですが、クワルーさんらしい温かみのある作品名に仕上がっていますね。「花」という言葉はクワルーさんがとても鍵にしているワードだと思っていますが、このタイトルにしようという決め手を教えてください!

菊池遼:このタイトルは1曲目の『Leo(a new day)』の歌詞の中にある「花束のかわりにこの日々を贈ろう」にも書かれているんですが、花束のかわりに僕らやみんなの日常を切り取って、一つに出来たらなと思いまして。

本当は「花束のかわりに音楽を」とかにしたかったんですが、ちょっと押しつけがましいかなって思いまして…(笑)日々を送れたらなっていう意味を込めて、このタイトルにしました。


──the quiet roomさんにとって初の1stアルバムとなりますが、出来上がってみた率直のお気持ちからお願いします。

前田翔平:1stフルアルバムなので、1個の節目になるのかなって思っています。個人的には大変だったな、カロリー多いなとは思いました(笑)。でも思い入れのある良い作品に仕上がりましたね!

斉藤弦:ずっとフルアルバムを作ろうとしていたんですけど、今回やっと作れたという感じですね。メンバーが3人になってからサポートミュージシャンとかに入ってもらって、音源を作っていったんですが、それが今全部まとまっているフルアルバムなんです。

1stフルアルバムだから全部入れてやろう!っていうのではなくて、これまで出来上がってきたものがまとまってできた作品になっていると思います。元々ポップソングを集めたポップアルバムにしたいって話していたんですけど、それを思い出しつつ忘れながら作りました(笑)


──ポップさを忘れた一面もあるんですね(笑)

斉藤弦:菊池が作る曲はポップが多いので、大枠はポップですけどね。いろんなアプロ―チで様々な音楽の演出の見せ方をできた、聴きごたえのあるアルバムに仕上がったと思います。


──コロナの影響で音楽業界も思うように進むことができない部分もあると思ったのですが、皆さんはそのあたりはどうでしたか?

菊池遼:僕は個人的にはすごく楽しかった気持ちが強いです。コロナ過に入ったレコーディングではあったんですが、そんなに悪影響は受けなかったんです。前回のツアーもちょうど終わったタイミングでしたし、運が良くて。ある意味リフレッシュ期間だったんじゃないかなって感じています。


──そのお気持ちで取り組めたのは良かったですね。では、収録曲の中から新曲をピックアップさせていただきたいと思います!まずは、1曲目の『Leo(a new day)』ですが、『花束のかわりに』のプロローグのような立ち位置ですよね。ちなみにどういったことがきっかけでこの曲が生まれたんでしょうか。

菊池遼:そうですね。リフレッシュ期間とは言ったもののコロナ過に入った直後は、スタジオに入ることもできなくなってしまって、活動的には追い込まれた時期があったんです。

斉藤弦:4か月ぐらいはスタジオに入れなくて…。


──そんな期間があったんですね。

菊池遼:ただ気持ちとしては前向きに入れたんです。今は動けないけど、テレワークで曲を作ってみようっていうのがきっかけで、この『Leo(a new day)』はできました。すでに別バージョンでYouTubeにも上がっているんですけど、それをリアレンジしています。アルバムの制作をしているときに、『Leo(a new day)』という曲は、このアルバムにとって大事な立ち位置になるんじゃないかと思ったんですよ。


──テレワークで楽曲制作をするのって、すごく難易度高くないですか?

菊池遼:そうでもないですね。いつもスタジオでセッションして、家に音源を持って帰って、修正してデータでやりとりとかはよくやっているので。そのセッションがなかっただけですね。でも会わないで作ったのは初めてだったかもしれません。


前田翔平:この曲の先の展開をどう飽きさせずに聴かせるかっていうのが、結構大変ではありましたね。でもワンコーラスだったので綺麗にまとまったと思います。


──今回、菊池さんから『Leo(a new day)』が上がってきて、皆さんはどんな印象がありましたか。

菊池遼:結構前の話なんで、2人は覚えてないかもしれないです(笑)

全員:(笑)

斉藤弦:そうなんですよね。一番初めに聞いたのは1年以上前とかでしたからね。

前田翔平:他の曲と同じで新曲きたな~っていう感じでした。それがたまたまテレワークになっているので、やってみようっていう感じでしたね。


──斉藤さんはどうでしょうか?

斉藤弦:このタイミングでこの曲の1番になっているのは、菊池が“いれたい”って言ったことがきっかけなんですけど、ずっといい曲だなとは思っていました。



──普段から菊池さんが曲を上げていたタイミングで、お二人から感想をもらったりはしないんでしょうか?

菊池遼:しないです(笑)

前田翔平:進めるか進めないかのジャッジをするだけですね…!

斉藤弦:歌詞が割と曲のイメージだけで最初は完成するんですけど、最後にできるのが歌詞なんです。結構これじゃないってやっていたりしていたから、『Leo(a new day)』も書き直していたんじゃないかと思います。

菊池遼:この曲をアルバムの1曲目にしようって決めたときから、歌詞はこだわって何回も書き直しました。始まりにふさわしい歌詞にしたいなって思っていたので、些細な変化ではあるんですが、語尾や言葉遣いなどをこだわりました。

菊池遼: (a new day)を付けたのは既にYouTubeで上がっているものとは別バージョンだよっていうことを説明したくて、掛けています。あとは、ちょっと前に“新しい日常”っていう言葉が世間的に流行ったじゃないですか、ただ、僕はその言葉に少し違和感を覚えたんですよね。

例えばですが、音楽をやるライブハウスとかそういうものを取り戻していきたいなって思っていたので、新しい日常を受け入れるのではなく、今までのものも見捨てずに取り戻していきたいなっていう気持ちが前提にあったんです。だから『Leo(a new day)』の歌詞に「さあ 取り戻すのよ 日常と愛の歌を」を入れているんですが、僕にとっては、取り戻した先が新しい日常だなと感じているので、それが一つの正解でもいいんじゃないかなって。そういう想いをこのタイトルに込めています。


わたしらしく胸を張って生きてきた

──2曲目『ノンフィクションの日々に捧ぐ』はカントリー調なイメージがあり、温かさがあるサウンドだなと思いましたが、ひとを好きになる感動を優しく教えてくれるなと思いました。


菊池遼:これは聴く人によって捧げる対象が違うなと思っていて、聴いた人がそれぞれ感じとってくれればいいと思っています。2曲目にしたのは、『Leo(a new day)』の後にぴったりだったなっていうのもあるんですよね。


──「歳をとるのは悲劇ですか」「後悔は付き纏うものよ」とかのフレーズがありますが、ここは、この主人公が誰かに言われた言葉を自問自答している感じがしてグッときました。
ちなみに、菊池さんが最近感じたことだったりするのでしょうか。

菊池遼:そうですね、この曲は自分の生き方とかが反映されていると思っています。そういう日常に転がっている言葉を拾って、自分の中で消化していったっていうのはあります。
歌詞にある「わたしらしく胸を張って生きてきた」って感じですね(笑)



──歌詞の語尾が「わ」とか「よ」とかがあって、少し女性の目線に近いのかなって思ったのですが、登場人物の目線は女性の割合が強いんでしょうか。

菊池遼:あんまり一人称にこだわりがないんですよね。自分を“僕”、“俺”とかでも話すんですけど、“私”とも使ったりするときが、日常の中にあるんですよ。だから、自分の中で一人称の決まりがないんですよね。今回の曲は“わたし”が合いそうだなって思ったので、こういった一人称の使い方をしています。


──『ノンフィクションの日々に捧ぐ』は歌詞も素敵ですが、サウンドもとても惹かれるものありました。中でもアラーム音を使われているのが、リアリティーがあっていいですね!

前田翔平:リアルな、アラームの音を使ってます!

斉藤弦:元々はこれ、ギターで弾いていたんですよ。


──え!アラーム音ってギターでできるんですか!?

斉藤弦:できるんです(笑)だけど色々やっていくうちに、携帯のアラーム音っぽい方がいいよねっていう話になって、ああいうサウンドができあがりました。


──『ノンフィクションの日々に捧ぐ』を演奏している中で、特にポイントを置いた部分はありましたか。

斉藤弦:この曲は跳ねた曲調なんですが、こういうのってうちの曲で多いんですよね。だけど、速い跳ねた曲ってあんまりなかったので、ギターのフレーズを演奏したときは大変でしたね。ただカントリーっぽいアプローチもいっぱいできたし、民族楽器のマンドリンを入れたりするチャレンジもできたと思います。僕にとって、この曲は1,2を争う大変さだったかもしれないです…!

菊池遼:歌も歌うのが大変だったんですよ…。口が回らないです(笑)

斉藤弦:ライブでは爽やかに演奏ができないと思います(笑)


フリーウェイで流したいとっておきのプレイリスト

──それもノンフィクションでいいかもしれないですね!3曲目の『(168)日のサマー』は個人的にもイチオシのナンバーで、夏にぴったりなライブ映えする曲だな~と!

全員:ありがとうございます!!


──夏×男女の片想い感も描かれていて、青春を感じますね。

菊池遼:『ノンフィクションの日々に捧ぐ』は割と主観的な歌詞でしたが、『(168)日のサマー』は割とストーリーテイストの歌詞ですね。妄想が膨らみましたね(笑)


──『(168)日のサマー』のタイトルにも深い意味が隠されてそうですね…!

菊池遼:歌詞に関しては、響きだったり口ずさみやすさを意識して書いたんですが、タイトルもあんまり意味がなくてもいいんじゃないかって思ったんです。「(500)日のサマー」っていうお気に入りの映画があるんですけど、オマージュでタイトルをつけようとひらめきまして、今回の曲のテンポが168なので、それを組みあわせて『(168)日のサマー』にしました。

前田翔平:1回『(166)日のサマー』に変わった瞬間もあったよね(笑)

菊池遼:曲作りの最中でテンポの調整をしたのですが、結局168が一番しっくりきましたね。



──そういうエピソード面白いですね(笑) 歌詞は夏に纏わる単語が沢山散りばめられていますが、中でも「君に伝えたい 炭酸が抜けてしまう前に」や「君に伝えたい 太陽が沈んでしまう前に」っていう表現が景色や現象の時間の経過と告白を掛けていて、ここが素敵だなと思いました。

菊池遼:おっしゃって頂いたように、時間の経過を感じとって、聴いて頂いたら嬉しいなと思います。


──「アイスでも食べない? シェアしませんか?」や「ひと夏の経験をシェアしませんか?」っていう表現方法が、アイスの半分こと、ひと夏の思い出を共有しようっていう夏らしい胸キュンエピソードを掛けられていて、これもまたグッときちゃいますね。

全員:(笑)

菊池遼:ここは割とふざけて頭空っぽになって書いたんですけど、そう捉えていただけると嬉しいですね(笑)


──『(168)日のサマー』は読み解きたくなる歌詞が沢山入っているので、歌詞を考察するのは楽しいですね。

菊池遼:この曲、アルバムの推し曲にもなっていてMVもできているんですけど、監督もそうおっしゃってくださっていて、歌詞に沿ったストーリーのギミックを入れてくれているんです。なので歌詞の考察をしてそういってもらえるのはとても嬉しいです。

▲the quiet room - (168)日のサマー [MV]

──なかでも「フラッシュ」の部分は、全員で歌唱していて、ここを強く伝えているところが気になりました。

菊池遼:ここに関しては、アルバムのテーマになっている「さあ 取り戻すのよ 日常と愛の歌を」から続いているので、ライブを想像してみんなで歌える環境を取り戻せていたらいいなっていう希望を込めてみんなでコールアンドレスポンスできるようなアレンジにしました。


──サウンド面も夏をかなり表現しており、序盤の前田さんのベースラインや、跳ねるような齋藤さんのギターのイントロが、この登場人物のドキドキ感が出ていいですね。音作りに関して特にこだわった部分はありますか。

前田翔平:歌詞の冒頭で、「灼熱の太陽に」って言っているんで、最初“バカじゃん”って思ったんです(笑)なので、良い意味でバカっぽくしようって思って、普段あんなベースラインはやらないですけど、今回はそういうイメージを込めて弾いてみました!

斉藤弦:こういう所謂、ノリやすい4つ打ちってなるとギターのプレッシャーがあるんです。ギターのキラーフレーズを言われなくても持ってきてねっていう感じの曲って、割と久しぶりに作ったんですよね。だけどすぐに作ったフレーズが採用されたので、それは良かったです。

菊池遼:太陽が沈んで行ってしまう前に感がギターで表現できているよね!

斉藤弦:そうだね!!ギターソロのセクションだけ広くとって、哀愁を漂わせる感じにはしています。


──「フリーウェイで流したいとっておきのプレイリスト」という歌詞にちなんで、皆さんが夏に好きな人とフリーウェイを通ったときに流したい、とっておきのナンバーを教えてください(笑)

全員:(笑)


斉藤弦:僕はベタにORANGE RANGEさんの『上海ハニー』ですかね!カッコつけるとかじゃなくて、夏に車で遊びにいっているならみんな知っていてテンション上がる曲を選びますね!

菊池遼:俺も今、ORANGE RANGEさんの『イケナイ太陽』って言おうとしてた…(笑)


──皆さん、夏といえばORANGE RANGEさんなんですね!

菊池遼:ORANGE RANGEさん世代ではあるかもしれないです…!!

前田翔平:俺も2人とめちゃくちゃ被っている気がするもん。

菊池遼:全員ORANGE RANGEさん聴きたいです!!(笑)

夢を追い続けようとしている人は、きっとそのとき、靴紐を固く結んでいる

──4曲目の『フローライト』はアルペジオが心地よくて、打ち上げ花火が上がるまでの瞬間がイメージできる曲だなって思いました。

全員:ありがとうございます!


菊池遼:自分たちは奇跡的にコロナのダメージは受けてないんですけど、僕の周りにいるバンド友達も活動休止や解散とかに追い込まれてしまってまして。すごく悲しかったし、もう少し続ければいいのになって思ったりもしたんですけど、そういう選択もある訳で。

だけど覚悟を持って決めた選択を否定するわけではなく、前向きに肯定したいなって思って作った楽曲です。


──そうだったんですね。先程打ち上げ花火がイメージできるとお伝えしましたが、何か光のような煌めきを感じる曲だとも思ったので、今のお話しを聞いてより一層深みが増しました。

菊池遼:『フローライト』は流れるという意味を持つ宝石なので、大きな流れみたいなのを曲に閉じ込めたくて、そういう要素も描いています。


──歌詞の中に「固く結んだ靴紐を解くように君の手を離すよ」とありますが、解けないように頑丈に靴ひもを結んでいるのに、それを技と離すのと同じように好きな相手の手も離してしまう描写がとても儚くて、様々な感情が伝わりますね。

菊池遼:「君の手を離すよ」っていうフレーズだけだと、伝わらないなって思って、上手く想いを言葉にできないかなって悩んでいたんです。その時に出てきたのがこのフレーズでした。夢を追い続けようとしている人は、きっとそのとき、靴紐を固く結んでいるじゃないですか?それを解く瞬間もきっとあるんだろうなって、ライブを見ているときに感じたんですよ。



──冒頭でお話しした通り、アルペジオの音が今回すごく綺麗なメロディーですよね。
サウンドのイメージは歌詞の前にできていたんでしょうか。


菊池遼:この曲に関しては全編アルペジオでいきます!ってメンバーに話していたので、アレンジに関しても幻想的なアレンジにしたいっていう気持ちは、全員に伝わっていたと思います。

斉藤弦:この曲を作る当初、仲間のバンドとかが解散してしまうっていう話は聞いていたので、一緒に対バンをやっていたバンドがやっていた曲の雰囲気に寄せたいなっていう気持ちはありますね。

前田翔平:今回、最初からイメージは伝わりやすかったです。個人的にデモを作る段階で、色々な声を足しちゃったりしていたので、それがなんか楽しかったです(笑)あと、これ年末に作っていたので、年が超える瞬間まで作業していた思い出があります。

次ページ : 『やわらかな気配』に込められた意味とは?

茨城県水戸市にて結成。 『表情豊かに生きる』をテーマに活動する 3 人組ロックバンド。 「閃光ライオット」ファイナリスト選出や「RO69JACK」で優勝するなど、新人発掘オーディションで注目され、2015 年 shibuya eggman 内 murffin discs のレーベル mini muff records より、2nd ミニアル···

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