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【インタビュー】足立佳奈3rd Alテーマは“たくさんのあなた”

シンガーソングライター足立佳奈が3枚目のオリジナルアルバム『あなたがいて』をリリースする。wacci、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、澤村一平(SANABAGUN.)などを迎えて制作された今作は、足立佳奈が自身と向き合うことで見つけた“様々な感情の次にある笑顔”が、12曲収録されている。

初挑戦!曲先と一発録り

──アルバム『あなたがいて』のテーマは?


足立佳奈:私がこれまで生きてきて、出会った人々だったり、その方々との思い出を曲にしたいと思って。タイトルの『あなたがいて』にもある通り、不特定多数の“いろんなあなた”に向かって曲を書きたいと思ったんですね。


──それはコロナ禍で、人とのつながりや、自分を振り返る時間があったことなどが影響してますか?

足立佳奈:そうですね……。コロナ禍で自分がなにを考えて生活してたのかとかは、その最中は、正直、具体的に気づくことは出来なかったんです。でも、アルバムを作りたいって思ったときに、スタッフの方から“佳奈ちゃん、『I』(セカンドアルバム。足立が20歳のときに制作された)のときとは、考え方がちょっとずつ変わって来てるんじゃないの?”って言われて。“そっか変わっているかもしれないな”って、改めて自分を振り返ることが出来たんです。

それで思ったのは、これまでのアルバムは、私の思いがすごく強くて誰かが出てくるって隙がなかった、でも、今は違う、これまで出会ったいろんな人たちとの思い出を書きたい、この人と出会った嬉しい気持ちを書いてみたい……って思ったんです。そこで初めて、コロナ禍の中、相手を思って、人との繋がりに触れて、その気持ちを自分の考え方に落としこんでいたんだなって気が付きました。


──音楽制作を通して、これまでの自分の楽曲に対する向き合い方、そして新しい向き合い方を見出すことが出来た。素敵ですね。実際に曲を作るにあたり、今までとの違いはありましたか?

足立佳奈:私1人で曲を作るときは、基本的に歌詞とメロディーが一緒に出てくるんです。それでまとめていくんです。だから詞先とか曲先とか無かったんですね。でも、今回いろんな方と一緒にやらせていただいて。例えば『ライオンの居場所』は、ハマ・オカモトさんと澤村一平さんが、一緒に先にメロディー考えてくださって。そこから歌詞を書きました。『ライオンの居場所』は、初めて楽器のレコーディングにも初めから最後まで立ち会うことが出来て。それがすごく嬉しかったですね。

あとは、レコーディングで初めて一発録りに挑戦しました。『二歳の記憶』は、ピアニストの渡辺シュンスケさんと、いっせいのせで録っては聴いて、録っては聴いてを何回かやって。その中で1番良かったものを選んだんです。両方とも、自分だけじゃ出来なかったし、すごく新鮮で刺激になりました。


──楽器のレコーディング初めて同席して、どんなことを話したりしました?

足立佳奈:皆さんの方が圧倒的に音楽の知識があるから、私が言わせてもらったのは“これ好きです、こっちの方が好きです”っていう感覚的なところで(笑)。好きかどうか、そんな感じでした。

▲足立佳奈 『あなたがいて』SPOT

口癖が「なんかさ」

──1曲目『なんかさ』と、最後の曲『雨の日は』は、ご自分でプログラミングもやられてますよね。

足立佳奈:それも初めての経験で。すごく楽しかったです。これでいいのかなって思いながら手探りなところもある反面、でも逆に自分1人だからこそ、全部が正解なんだって思って。まだプログラミング……とまでは言えないレベルで、MIDIでピアノを弾いてるくらいなんですけど、今後、自分が挑戦していきたいなって思っていたことをやらせてもらえたってことは、すごく大きなことだと思うので、これからもっともっとやっていきたいなと思っています。あの……私“なんかさ”って言葉が口癖なんですよね。


──なるほど。その口癖の自覚はあったんですか?

足立佳奈:はい、ありました。よく“なんかさ”って言っているなって(笑)。前から、自分のつぶやきから始まるアルバムって素敵だなと前から思っていて、まだやったことがなかったので、じゃあ今回のアルバムでやろう、と。アルバムはたくさんのあなたに向けて歌っているけど、そこを歌い始める前に、自分でこういうことがあって、こんな人生だなぁって思いながら、じゃあいくね……って感じで2曲目に入る……そんなアルバムにしたかったんです。


──つまり『なんかさ』は、1曲目に入れるのを前提に作った曲だということでしょうか?

足立佳奈:というよりは、1曲目を空けておいたんです。つぶやきになるような曲を入れたいなと思ったから。それで、他の曲を全部作った上で、全部トータルして、私はなにを言いたいのかなと考えて、そこから作りました。



歌う姿勢を学んだ高校時代

──高校で声楽とミュージカルを学ばれたということですが、授業ではどういうことを?例えば、身体を鳴らすみたいな……そういうことを学んだりは?

足立佳奈:ありましたね。身体はこことここがつながっている、でもお腹が起き上がってないよね、とか。だからまだストレッチがなってない、と。それで身体のストレッチからはじめて、それで足の付け根から背筋、腹筋が起き上がってきたから、ちょっとハミングでとか、ラで歌ってみようか……。歌う姿勢を習いました。


──なるほど、姿勢か!だから優しいけど、包容力ある響く声が出てくるんですね。

足立佳奈:そうですか?

──はい。アルバムを聴かせていただいて、声を張ってないのに、しっかり響いてくる優しい声だなと思って。その秘密は喉や身体の鳴らし方が独特なのかなと不思議だったんです。

足立佳奈:わぁ、ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。


歌詞に寄り添って歌いたい

──今、歌うときに意識していることは?


足立佳奈:デビュー当時から、だいぶ変わって来てるなぁと思うんですけど、今は、歌詞の気持ちに寄り添うことを心がけていますね。今回のアルバム『あなたがいて』は、自分と関わってきた人との思い出を書いたりもしているので、歌詞には、嬉しいときも、ちょっと辛いな、苦しいなと思う部分もあるんです。だから嬉しいことのときは、笑顔の見える歌い方をしていますし、辛いときは一旦落ち着いて冷静になっているときもあれば、エモーショナルになっているときもある。


──心境の変化もあると思いますが、歌詞に寄り添って歌うことを意識するようになった要因は他にもありますか?

足立佳奈:今、イヤホンとかで1対1で聴くことが多いんじゃないかと思うんですね。そういう中で、素直に私の気持ちを届けるには、語りかけるように歌った方が、よりすんなり受け止めてくれるんじゃないかなと。例えば(元気にちょっと早口で)“これが足立佳奈です!”っていうよりは(ちょっと声のトーンを落としてゆっくり)“これが、足立佳奈です”っていう方が届くんじゃないか、と。本当に普段自分が語っているような口調で歌うのが、1番、今の私らしい表現になると思ってレコーディングに挑みました。


──足立さんが曲を書く際に原動力になっているものは?

足立佳奈:……ありがとうっていう気持ち。例えば、駅にいる駅員さんがいるから、私はこうやって電車に乗っている、それでありがとうって気持ちから歌詞を書いたり。


──つまり、周りの人に対する感謝?

足立佳奈:そうですね。それはすごく普段から強いと思います。曲を作っているときも、歌っているときも、いてくれてありがとう、出会ってくれてありがとうって気持ちが、いつもあるんですね。その感謝の気持ちを大切にしてますね。


どうしたら笑顔になれるのか

──どういうときに曲を書きたくなります?


足立佳奈:心が動いたときなんですけど、幸せで心が動くよりかは、寂しいって思ったり辛い、苦しいって思ったときに曲を書きたくなります。自分の中になんかもやもやしているものがあって、そのもやもやを整理したい……だから曲を書くんですよね。


──なるほど。でも、寂しくても、辛くても、そのまま寂しい、辛い、じゃないですよね、足立さんの曲って。

足立佳奈:寂しかったり、辛いとき……そのときは、どうして私はこんな気持ちにならなきゃいけないんだろうって思うんですけど、じゃあ、今の自分はなにを言って欲しいのかな、どうしたら笑顔になれるのかなって考えるんです。例えば、ある人と悲しい思い出があるとして、でもその人を傷つけずに、笑顔になってもらうにはどうしたらいいんだろうって。そう考えて曲を作っています。


──自分の人生の中でやっぱり「笑顔」のポテンシャルは大きい?

足立佳奈:そうですね。すごく大きいと思います。私が曲を聴いたり作ったり、ライブをやったりするときには、最後にやっぱり良かったなって思ってもらえたら、それがいいなと思うんです。ネガティブな瞬間があったとしても、今、こうして自分がいられるのはそれがあったからで、そこも含めて、今、こうしていられるのは幸せだなって。私の曲を聴いた後、そういう気持ちになってもらいたいなと思っていて。そこを歌詞で表現するときもあれば、曲によっては歌詞でネガティブなことを言っているならサウンドで……。例えば、ピアノを温かみのある音にするとか、そういうところで、少しずつ、棘を柔らかく、丸くしていくっていうのを気を付けています。


──その細やかさがアルバムの包容力、さりげない優しさになってますね。

足立佳奈:ありがとうございます。


どっきり企画で「笑顔」満開!!

──アルバム『あなたがいて』の中で自分が好きな歌詞は?

足立佳奈:アルバムのリード曲でもある『This is a Love Story』のサビの最後の「あなたがいて今日も幸せよ」ですね。この言葉が今回のアルバムのすべてを語っている、象徴的なフレーズだと思っているんです。いま、私が笑顔でいられるのは、いろんな人たちと出会えたから。あなたと出会えて、みんなと出会えて、私は幸せっていう。アルバムのテーマにもなったし、ここが1番表現したかったことなんですよね。

▲足立佳奈 『This is a Love Story』Official Music Video


──では「笑顔」という言葉にちなんだ質問を。最近、足立さんが1番笑ったエピソードを教えてください。

足立佳奈:ファンクラブの企画だったんですけど、スタッフさんにどっきりを仕掛けられたことですかね。その日は、収録のお仕事をしていて、私、台本を見ながら1人で話していたんです。途中、1人のスタッフさんが突然マスクを外してお水を飲んだんですね。そしたらその人の唇が紫色に塗ってあった(一同爆笑)。“なんでその唇なんですか(笑)”っていう。びっくりしましたよ~。

その日は、細かいどっきりをいろいろ仕掛けられて。“このお水、飲んでいいよ”って飲んだら砂糖水だったとか(笑)。ペンを使おうを思ったらビリビリしたりとか(笑)。そのいたずら自体が企画だったんですけど、大きな仕掛けじゃなくて、ちょいちょい驚かされて、その日はすっごい笑いましたね。あれは楽しかったです。今までそんなことされたことなくて、私も全然構えることなく、毎回、きれいにひっかかったので(一同大爆笑)。


──では最後に。読者の皆さん、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

足立佳奈:10月に22歳のバースデーイベント「ADACHI KANA BIRTHDAY PARTY 2021」を東京、大阪、名古屋でやらせていただいて、久々にファンの方にお会いして、やっぱり生で歌や言葉を届けられるのって嬉しかったですね。観客の方はマスクもして、声も出せなかったけど、皆さん笑顔なのはわかるし、そこにほっこりして。やっぱりここが私の居場所だなと思いました。



TEXT 伊藤亜希
PHOTO Kei Sakuhara

ライブ情報

■「ADACHI KANA LIVE TOUR 2022~あなたがいて~」

2月26日(土)東京・shibuyaWWW
3月11日(金)大阪・umeda TRAD
3月12日(土)石川・金沢AZ
3月20日(日)東京・EX THEATER ROPPONGI
3月21日(月・祝)札幌・cube garden
3月27日(日)宮城・仙台MACANA
4月2日(土)広島・SECOND CRUTCH
4月3日(日)福岡・DRUM Be-1
4月8日(金)名古屋・DIAMOND HALL

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