現在、テレビアニメ『おそ松さん』が大ヒット中です。もともとは赤塚不二夫の大ヒット漫画『おそ松くん』。かつて大ヒットを飛ばし、日本中の子供が「シェー」をやったほど影響力を持った作品です。そんな『おそ松くん』が赤塚不二夫生誕80周年を記念し、27年ぶりの再アニメ化。大人になった六つ子を描いた『おそ松さん』はなんと女性人気を獲得してしまいました。松ガール急増中という現象を起こしている『おそ松さん』。
公開日:2016年3月16日
現在、テレビアニメ『おそ松さん』が大ヒット中です。もともとは赤塚不二夫の大ヒット漫画『おそ松くん』。かつて大ヒットを飛ばし、日本中の子供が「シェー」をやったほど影響力を持った作品です。そんな『おそ松くん』が赤塚不二夫生誕80周年を記念し、27年ぶりの再アニメ化。大人になった六つ子を描いた『おそ松さん』はなんと女性人気を獲得してしまいました。松ガール急増中という現象を起こしている『おそ松さん』。
この『おそ松さん』のヒットの流れで、『おそ松くん音頭』も知ってもらいたいと思います。80年代の平成版『おそ松くん』のエンディング曲である『おそ松くん音頭』。作詞はなんと大御所森雪之丞。ベテラン演歌歌手の細川たかしが歌います。ちなみに平成版のオープニング曲『正調おそ松節』も細川たかしが歌っています。こちらの作詞はなんと秋元康!
"おそ松のズボンを カラ松がはいて チョロ松のシューズを 一松 取っ替えて
とど松の眉毛を 十四松に描いても シェー! やっぱり同なじ六つ子さ" おそ松のズボンをカラ松がはいて、チョロ松のシューズを一松と取っ替えて、トド松の眉毛を十四松に描いても、やっぱり同なじ六つ子である、という歌詞。六つ子が皆同じであることを歌詞で示しています。『おそ松さん』とはまさにここが最も異なる点。
原作、および過去2回のアニメでは六つ子のキャラクター設定は細かく分かれていなかったのです。『おそ松さん』では初めて成長した六つ子のキャラクターを設定。これがウケて『おそ松さん』はヒットしています。更に言えば、おそ松が長男であること以外、兄弟の順番すら決められていませんでした。『おそ松さん』では兄弟の順番がおそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松に設定されています。この順番にそうと『おそ松くん音頭』では十四松とトド松の位置が逆ですね。しかもトド松が「とど松」表記になっています。これで良いのでしょうか?赤塚の言葉を借りれば、「これで良いのだ」。「十四松の眉毛をとど松に」とすると語呂が悪いからです。また、六つ子は誰が誰でも問題なかったので、「とど松」とひらがな表記されても気にされなかったのです。
2番、3番の歌詞も面白いこの曲。
“デカパンのパンツを ハタ坊がはいて チビ太のオデンを ニャロメに食べさせ
イヤミの出っ歯をケムンパスにはめたら シェー! ぐちゃぐちゃ これまたオソマツ” デカパンのパンツをハタ坊がはき、チビ太のおでんをニャロメに食べさせ、イヤミの出っ歯をケムンパスにはめるという内容。ぐちゃぐちゃでこれもまたオソマツである、と言っています。それぞれのキャラのトレードマークを入れ替える内容ですが、それほどキャラクターの見た目の特徴が明確に浸透していることが分かります。ネコのニャロメや毛虫のケムンパスといったキャラが登場しているのも良いですね。『おそ松さん』のほうにはまだ出てきてない赤塚キャラです。
“ライオンのたてがみ チビ太にかぶせて 富士山の裾野に デカパンはかせて
ドラキュラにイヤミの 丈夫な歯をあげたら ニャロメ……目出たく皆様 シアワセ” さらにスケールが大きくなり、ライオンのたてがみをチビ太にかぶせ、富士山の裾野にデカパンをはかせ、あげくドラキュラにイヤミの出っ歯をあげる内容。イヤミの出っ歯は2回もネタにされています。そう、これこそ『おそ松くん』なのです。
『おそ松くん』は原作も過去2回のアニメもイヤミがほぼ主役と言ってもいいポジションでした。悪いことを企み、六つ子をだますイヤミというパターンが主流だったのです。
このエンディング音頭から『おそ松くん』という物語が本来どういうものだったのかが分かります。『おそ松さん』の六つ子で手描きアニメでこの曲を再現しているファン動画も存在します。『おそ松さん』でおそ松ワールドにハマった人には、ぜひこの名作音頭も知ってもらいたいですね。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)