きっかけはインターハイ
温かく語りかけるような歌詞とメロディーが印象的な『back number』の『水平線』。この楽曲はインターハイの出場を目指していた高校生に向けて書き下ろされました。
というのも、水平線がリリースされた2020年8月は新型コロナウイルスの流行真っ只中。
その影響でインターハイが中止になってしまい、涙を飲んだ高校生がたくさんいたのです。
大会を運営していた学生がメンバーに手紙を送ったこと、大会が彼らの出身地である群馬県で行われる予定だったことなどがきっかけとなり、この楽曲が生まれました。
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出来るだけ嘘は無いように
どんな時も優しくあれるように
人が痛みを感じた時には
自分の事のように思えるように
≪水平線 歌詞より抜粋≫
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それを踏まえると、冒頭の「人が痛みを感じた時には自分の事のように思えるように」というフレーズはメンバー・清水依与吏の想いそのものが表れているようですね。
サビの歌詞に多くの学生が涙
----------------この楽曲で特に学生への想いを感じるのが、サビの「水平線が光る朝にあなたの希望が崩れ落ちて」という歌詞。
水平線が光る朝に
あなたの希望が崩れ落ちて
風に飛ばされる欠片に
誰かが綺麗と呟いてる
悲しい声で歌いながら
いつしか海に流れ着いて
光って
あなたはそれを見るでしょう
≪水平線 歌詞より抜粋≫
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出場が決まっていた学生たちは、結果を残すためにたくさんの努力を重ねてきたはずですよね。
しかしまさかの「中止」で報われぬ結果になってしまい、悲しみや絶望にくれた人も多かったことでしょう。
それを励ますわけでもなく、ただただ現実に寄り添うような表現をしている点に清水依与吏の優しさを感じます。
コロナ禍で様々な競技会やコンクールが中止になったため、この歌詞に共感する学生はとても多く、SNSを中心に「泣ける」と大変話題になりました。
歌詞に込められた意味が泣ける
----------------水平線では学生の悲しさや悔しさを無理やり明るくするのではなく、ひたすらに寄り添い、悔しさを代弁するような歌詞が歌われています。
誰の心に残る事も
目に焼き付く事もない今日も
雑音と足音の奥で
私はここだと叫んでいる
≪水平線 歌詞より抜粋≫
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そのため「涙を拭いて」ではなく「泣いていいんだよ」と言われているような気持ちになれるのが魅力的。
特に後半部分の「誰の心に残る事も 目に焼き付く事もない今日も 雑音と足音の奥で 私はここだと叫んでいる」とい歌詞は、学生の気持ちや怒りを代弁しているように思われます。
これまでの努力を発揮する場を失ってしまったことで、大きな喪失感に駆られたことでしょう。
世間やマスコミはそれを「涙の物語」として騒ぎ立てました。
しかし、学生の努力や喪失感はそれで消化されるわけではありません。
やりきれない想いが「私はここだと叫んでいる」という歌詞に集約されているように思います。
コロナ禍で悲しい思いをした人必聴
『水平線』はインターハイの中止がきっかけで作られた曲ですが、コロナが理由で何か大切な機会を失ってしまった人みんなに響く曲です。もちろん、やさしい言葉やメロディーは夢に敗れた人や傷心中の人の心にも響くでしょう。
ぜひゆっくりと聴きながら、心身の傷を癒してくださいね。
Vocal & Guitar : 清水依与吏(シミズイヨリ) Bass : 小島和也(コジマカズヤ) Drums : 栗原寿(クリハラヒサシ) 2004年、群馬にて清水依与吏を中心に結成。 幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年現在のメンバーとなる。 デビュー直前にiTunesが選ぶ2011年最もブレイクが期待でき···