大人気アニメを上手く表現した主題歌
L'Arc~en~Cielの『READY STEADY GO』は2004年発売の楽曲。このバンドの代表曲として愛されている曲です。アニメ「鋼の錬金術師」オープニング曲だったこの曲。
「鋼の錬金術師」通称ハガレン。これは、錬金術師であるエドとアルの兄弟が己の失われた身体を取り戻す為に旅をする物語です。
作品がもともと持っているテーマが重く、暗い展開も多い作品。この主題歌は、そんなハガレンの明るい側面、主人公たちの強い前向きな姿勢にスポットを当てた楽曲とも言えます。アニメのOP曲としても大変人気があったんですね。
「よーい、ドン!」を意味するタイトル。そのタイトルどおりに、冒頭から非常に勢いがある曲です。
READY STEADY GO
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READY STEADY CAN'T HOLD ME BACK
READY STEADY GIVE ME GOOD LUCK
READY STEADY NEVER LOOK BACK
LET'S GET STARTED READY STEADY GO
≪READY STEADY GO 歌詞より抜粋≫
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冒頭の英語はいずれも、「準備はできた」と言っている歌詞。
もう後戻りはできない、幸運を祈ってくれ、決して振り返らない、さあスタートだ、と歌う勇ましいスタート。この徐々にテンションを上げていく冒頭から見事ですね。
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埋もれた真実 この掌でつかみ取ろう
≪READY STEADY GO 歌詞より抜粋≫
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この歌詞が良いですね。埋もれた真実をこの掌でつかみ取るというのは、アニメの主人公たちが錬金術の秘密を探し求め、その真実を手にする展開を指しています。
アニメのOP映像でも印象的な掌を握り締めるカットが入ります。歌詞の「てのひら」を「手の平」ではなく、手の平を意味する「掌」の字をあてています。「たなごころ」とも読むこの字。「手の心」なんですね。
「鋼の錬金術師」の鋼は、主人公エドの鋼の腕からきています。掌はこの物語の象徴。この失った腕を取り戻そうとする物語なんですね。「この掌でつかみ取ろう」のフレーズに物語の核心を込めています。
これは同時にこのバンドが自分達の掌で、様々な成功をつかんでいくことも表しています。
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数えきれない傷 抱え込んでいても
ちょっとや そっとじゃ 魂までは奪わせない
≪READY STEADY GO 歌詞より抜粋≫
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ここの歌詞もすごいですね。「数えきれない傷」はエドの腕であり、アルの鎧の体を指しています。
「魂までは奪わせない」という歌詞は、まさにアルというキャラが肉体を持っていかれたけれど魂だけは鎧に封じ込めたことを指しているんですね。
そしてこの歌詞もまた、バンド自身の表現。数えきれない困難があっても自分達の音楽の魂までは奪わせないという強い意志を表しています。
アニメの域を超えた名曲
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夢中で (早く) 駆け抜けて来た
うるさいくらいに張り裂けそうな鼓動の高鳴り
響いて (呼んで) いる君の声
ここで立ち止まるような時間は無いさ READY STEADY GO
≪READY STEADY GO 歌詞より抜粋≫
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夢中で駆け抜けて来たアニメの主人公二人。歌詞どおりにOP映像で走っています。響いて、呼んでいる声もこの兄弟が互いを呼んでいることを表しています。
この曲のサビは掛け合い。これが複数の人数でやるバンドらしさであり、観客が参加できる仕組みでもあります。「夢中で駆け抜けて来た」に「早く」が加わることで、より夢中な気持ち、はやる気持ちが強調されるんですね。
「響いている君の声」も「呼んで」が加わることで、歌詞だけでなく音的にももう一人の存在が「呼んで」いることになり、意味がより強くなります。
ライブで演奏される際、ここでの歌詞の「君」はアニメの域を超え、メンバーのことになり、そして一緒に合唱してくれる観客のことになるんですね。サビ終わりの「READY」のあと「STEADY GO」をファンが合唱するのも定番になっています。
この曲はアニメの内容に沿っていて、かつバンドとファンの曲になっているんですね。
TEXT 改訂木魚(じゃぶけん東京本部)
1991年tetsuyaを中心に大阪で結成。 1993年アルバム「DUNE」がインディーズ チャート1位を獲得。 1994年ビデオシングル「眠りによせて」(Ki/oon Records)にてメジャー デビュー。 1996年アルバム「True」で初のミリオンセラーを達成。 1997年12月に行われた東京ドーム(キャパシティ:5万人)のコ···