デビュー25周年を飾る新曲のテーマはコロナ禍の日常
2022年でデビュー25周年を迎える大人気フォークデュオ・ゆず。
全公演中止となった2020年の全国アリーナツアーから約1年越しで開催されたアルバム『YUZUTOWN』の世界観を届ける2デイズオンラインライブ「YUZU ONLINE LIVE 2021 YUZUTOWN / ALWAYS YUZUTOWN」は、多くのサプライズと考え抜かれた演出でファンを大いに喜ばせました。
そのラストナンバーとして披露され、3月23日発売のニューアルバム『PEOPLE』にも収録されている新曲『ALWAYS』は、北川悠仁による作詞作曲のしっとりとしたバラードナンバーです。
コロナ禍をテーマにしたゆずらしさを感じるフレーズ満載の歌詞が魅力的で、岩沢厚治との美しい歌声のハーモニーにも心を掴まれるでしょう。
全編ピクセルアートアニメーションで制作されたMVは、今大注目のピクセルアーティスト・maeによって制作されました。
主人公の男の子と影をモチーフにしたキャラクター・モラモラとの心象風景を描いたストーリーで、春らしい爽やかさと温かみを感じる作品に仕上がっています。
「いつも・いつまでも」という意味を持つ「ALWAYS」というタイトルにどんなメッセージが込められているのか、歌詞の内容から考察していきましょう。
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ガードレールに寄りかかって 夕陽に影が伸びてゆく
もうすぐ夜が 飲み込んでゆくまで ほんの僅かなこのとき
嗚呼 特別悲しいわけじゃない
閉じ込めていた衝動が疼いた あなたに逢いたいと
≪ALWAYS 歌詞より抜粋≫
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冒頭からぼんやりと時間を過ごしている主人公の様子が描かれていて、どこか寂しい雰囲気がありますね。
夕陽に照らされて赤く染まっていく景色を見ながら夜が忍び寄っているのを感じ、すぐに終わってしまうこのひと時を大切にしたいと思っているようです。
「特別悲しいわけじゃない」というフレーズは、悲しみに打ちのめされてしまうほどではないけれど、心の隅に引っかかりを覚えるようなくすぶる思いがあることを伝えています。
誰もがコロナ禍の日常を耐えているのだからと考えないように閉じ込めていた「あなたに逢いたい」という衝動が、夕焼けの切なさに触発されてふと疼き出します。
「ALWAYS」に込められた意味とは
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ALWAYS この街もそして僕らも変わり続ける
また聴こえるけど サヨナラの足音
表現ことの出来ない 空の色が美しすぎて
立ち止まっている 見せたいよあなたに ALWAYS
≪ALWAYS 歌詞より抜粋≫
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街も人も常に変わり続けるものです。
「サヨナラの足音」が近くで鳴り続けていて、別れの連続に心が疲れ切ってしまうこともあるでしょう。
それでも空の色の美しさだけは少しも変わりません。
どんな色でも表すことのできないその美しさに思わず足を止めて目を奪われます。
そんな時、最初に思い浮かぶのは大切な「あなた」のこと。
美しい景色を見せたいという気持ちの中には、一緒にこの景色を見て気持ちを共有したいという想いも込められているのではないでしょうか。
「ALWAYS」のフレーズが示すように、人はいつも変化を繰り返す毎日を受け入れなくてはなりませんが、愛する人を大切に思う気持ちはいつまでも変わらないのです。
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街路樹揺れる馬車道に ガス灯の明かり灯される
別れ際いつも 名残り惜しくなって またねって何度も振り返った
嗚呼 今更戻りたい場所はない
扉の向こうに 待ってる日々 少しだけためらうんだ
≪ALWAYS 歌詞より抜粋≫
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そよぐ風に街路樹が揺れる馬車道にも夜が近づき、薄暗くなってきた景色にガス灯の明かりがぼんやりと灯る様子がイメージできます。
その情景を見て思い出しているのは、子どもの頃に経験したシーンです。
友達と楽しく遊んだ日の帰り道、「またね」と言って別れてからも名残惜しくて何度も振り返ったことがきっとあるでしょう。
また会えると分かっていても、楽しい時間が終わってしまう時の寂しさは抗いようのないものです。
続く「今更戻りたい場所はない」というフレーズは、ふと思い出を振り返ってしまうのは過去に戻りたいからではないことを意味していると解釈しました。
時間が常に前に進んでいるように主人公も前を向いていて、いつかの自分に戻りたいわけではありません。
ただコロナ禍の期間から抜け出した先にある見えない未来に、少しためらってしまっているだけ。
誰しも持つ心の隅の不安をそっとすくい上げて認めてくれるような歌詞ですね。
いますぐにでもあなたに会いたい
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ALWAYS 名前の無い心模様 なんて呼べばいい
言えばよかったな あなたになら
思わず駆け出しそう 手を伸ばしたその先には
消えない面影 あの日のままで
会いたい人がいる いますぐにでも
≪ALWAYS 歌詞より抜粋≫
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自分の中にある形容し難い想いを人に明かすのは気が引けるものです。
それでも本当に大切で一緒にいたいと思える「あなたになら」言えばよかったと思っています。
まさかこんなにも長い間親しい人たちとも満足に会えない日々が続くとは誰にも予想できず、同じような後悔をした人は少なくないでしょう。
目の前にはいないのに、思い返す記憶では「あの日のまま」の姿が鮮明に蘇ってきます。
「会いたい人がいる いますぐにでも」というストレートな言葉は、ゆずからファンに向けた一番大切なメッセージです。
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ALWAYS この街もそして僕らも変わり続ける
また聴こえるけど サヨナラの足音
表現ことの出来ない 空の色が美しすぎて
立ち止まっている 見せたいよあなたに
指折り数える 微笑む明日へ ALWAYS…
≪ALWAYS 歌詞より抜粋≫
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最後に1番と同じサビの歌詞が繰り返されます。
街の移り変わりも自分たちの変化も止めることはできません。
どれほど大切にしていても様々な形で別れはやってきます。
だからこそ、そばにいる大切な人を一層大切にしたいと願うのではないでしょうか。
美しい空を見ながら思い浮かぶその人が、きっと自分にとって本当に大切な人です。
北川悠仁はコロナ禍に空を見上げ、ファンのことを思い浮かべて「みんなどうしてるかな」と考えていたそうです。
ファンにとってゆずが大切な存在であるように、ゆずにとってもファンの存在が力になっていることを感じられますね。
曲の最後には「指折り数える 微笑む明日へ」とあり、大切な人と直接会える日を期待して待っていることが分かります。
そして会えた時には思わず笑顔になることも想像できるでしょう。
状況がどう変わっても、大切な人を想う気持ちだけはいつまでも心に強く刻んでいたいと思える楽曲です。
「ALWAYS」がコロナ禍の支えになる
『ALWAYS』のゆずらしい音楽と歌詞には、路上ライブから始まった彼らを支えてきたファンへの想いが詰まっていました。つらく悲しい出来事も少なくはないですが、それでも大切な人と会いたいという願いは日常の希望になるはずです。
ぜひ『ALWAYS』を聴きながら、ゆずと直接会える日を心待ちにしてコロナ禍を乗り越えていきましょう!