ケツメイシの人気シングルは不倫ソング?
2011年発売のメジャー21枚目となるシングル『バラード』は、国民的グループ・ケツメイシの名曲。
男性目線の切ない歌詞が心に沁みる恋愛ソングです。
タイトル通り、持ち味のラップを控えしっとりと歌い上げるバラードナンバーとなっていて、ケツメイシの新しい魅力を知らしめた人気曲として定評があります。
どのような内容なのか、『バラード』の歌詞の意味を考察していきましょう。
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涙も乾かぬ 二人なら
いっそ 君を強く抱いて
夜風に二人 溶け合うまで
黙ったまま 愛を伝えたい
≪バラード 歌詞より抜粋≫
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冒頭の「涙も乾かぬ二人」というフレーズから、主人公とその恋人はいつまでも涙が止まらないような、切ない関係にあることが見えてきます。
そしてこの関係性は変えられないものだからこそ、今はただ夢中になって身体を重ね「愛を伝えたい」という必死な気持ちも感じられますね。
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別れた その夜 また夢に戻ろう
心ゆくまでも 二人で踊ろう
一人きりは寂しすぎて
どうしようもなく 君が好きで
部屋に残る 君の香りが
寂しさを増す 君去った後には
だから「次は君の家で」
なんて言葉 胸の中 秘めて
≪バラード 歌詞より抜粋≫
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「どうしようもなく君が好き」で相手も自分を想っているのに泣き濡れているのは、おそらく二人が不倫関係にあるから、と考察してみました。
また「次は君の家で」という言葉が言えないのは、相手の女性側が既婚者だからではないでしょうか。
そのため会うのはいつも主人公の部屋ばかりで、彼女が帰ってからも漂う残り香に一人きりでいることを痛感して寂しさが増していきます。
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逢えない夜を数えて
切なさのグラスに愛を注いで
こんなにも愛しく想えたのは君だけ
≪バラード 歌詞より抜粋≫
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二人が会えるのは、当然彼女の都合がいい時だけです。
主人公は会えない間、寂しさに耐えながら彼女のことをずっと想っています。
「切なさのグラスに愛を注いで」という美しい表現は、主人公の愛が幸せよりも切なさばかり募らせていて苦しい様子を伝えてきますね。
「こんなにも愛しく想えたのは君だけ」なのに、愛する人と普通に愛し合うこともままならないつらさは計り知れません。
ため息まじりのバラードじゃ踊れない
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僕が「逢いたい」と言ったら
もしも 僕がそう言っていいなら
でも 壊れてしまうの恐くて
臆病な僕はそらす目
離れれば 離れる程に
気持ちは溢れ 流れるように
逢えない夜をいくつ越えて
この気持ちは いつ 君に届ける
≪バラード 歌詞より抜粋≫
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ひたむきに彼女を愛する主人公。
「逢いたい」と正直な気持ちを伝えることが許されるなら、すぐにでも言ってしまいたいと思っています。
とはいえ、満足に会えない関係だとしても「壊れてしまうの怖くて」思わず現実から目を逸らしてしまいます。
会えない時間が長くなればなるほど高まっていく想いを、いつになったら彼女に伝えられるのだろうかと悩んでいるようです。
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ガラス越しに眠れない街並み
こんな夜は君に逢いたい
また静けさに 寄り添う程に
追いかける 甘いキスの余韻
記憶を越え 響くあの声
小さく遠く夜空に溶け
ため息まじりのバラードじゃ踊れない
君への想い 今届けたい
≪バラード 歌詞より抜粋≫
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眠れない夜に部屋から街並みを眺めながら、彼女のことを考えています。
思い出されるのはいつかの「甘いキス」や「響くあの声」。
時間が経つほどに「小さく遠く夜空に溶け」るように記憶が薄らいでいってしまいます。
「ため息まじりのバラード」のフレーズは、憂鬱な心情を音楽に重ねて表していると解釈できそうです。
気分の沈むようなバラードでは楽しく踊れないように、こんな暗い気分でいては彼女は自分の元に来てはくれないと考えているのかもしれません。
だから「君への想い」をはっきり伝えたいという気持ちがますます強くなります。
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一人きりより 二人寄り添い
一人きりの日には 電話するよ
寂しいくせに 何食わぬ顔で
僕を見送る君が愛しくて
≪バラード 歌詞より抜粋≫
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「一人きりより二人寄り添い」合うことを心から望んでいます。
続く「一人きりの日には電話するよ」という言葉は、彼女が一人きりでいる時には電話をしてあげるという意味なのでしょう。
主人公は彼女が「何食わぬ顔で僕を見送る」姿の裏で、寂しさを抱えていることに気づいています。
だから、彼女が一人の時に寂しさで苦しまないように、電話をしてあげたいと思っているようです。
彼自身が寂しく時間を過ごしている時に彼女は夫と過ごしていることも分かっているのに、彼女を気遣う様子に胸が絞めつけられます。
訪れる別れの時
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君と出逢ってから僕は
本当の切なさ覚えたよ
逢いたくて震える
肩を今 押さえながら
君の影を抱きしめたなら…
一人酔いしれる
鳴らないケイタイのそば
≪バラード 歌詞より抜粋≫
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「君と出逢ってから僕は本当の切なさを覚えたよ」という歌詞が、この恋のつらさを物語っています。
「逢いたくて震える肩」を押さえつけながら抱き締めるのは「君の影」。
どれほど強く願っていても彼の元に彼女はおらず、残像を追いかけるばかりです。
彼女の方からは決してかかってこない「鳴らないケイタイのそば」で、主人公はまた一人の夜を過ごします。
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逢えない夜を数えて
切なさのグラスに愛を注いで
こんなにも愛しく想えたのは君だけ
今も心の中で
≪バラード 歌詞より抜粋≫
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楽曲の中で三度繰り返されるこの歌詞は、最後に「今も心の中で」と付け加えられます。
これは切ない想いも愛しさも、結局言葉にできなかったことを表しているのではないでしょうか。
既婚者と恋をしてはいても、相手の夫婦関係を壊したいわけではないのです。
愛は強まるのに踏み切れない複雑な感情が感じられます。
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電話を切ると静寂の雨
「またね」と何度も響く夜の果て
寂しさ隠して 何も言わず
無邪気な声には心が痛む
逢いたくても 逢えなくて
この想いは晴れなくて
あぁ 夜空の向こうの神様
時を戻して 本物の愛なら
≪バラード 歌詞より抜粋≫
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最後に歌われるのは、二人の電話の後のシーンです。
電話の最後に彼女が言った「またね」という言葉が何度も頭の中で響き、寂しい気持ちを隠した「無邪気な声には心が痛む」想いがします。
それは逢いたくても逢えない関係で、互いの気持ちを公にできないからでしょう。
ここだけ読み取ると次に会う日までの何気ない挨拶のようにも思えますが、ラストで「時を戻して 本物の愛なら」と歌われている点に注目できます。
時を戻したいということは今の状況が良くないことを指しているため、彼女の「またね」は別れのサインと解釈できるでしょう。
別れを迎えたことで、主人公はたとえ世間的には認められなくてもこれが本物の愛なら時を戻してほしいと願っています。
時が戻れば、今度こそ本当の気持ちを伝えたいと想っているのかもしれません。
しかし実際に時間が戻ることはないので、この恋は元々いつか終わるはずの関係だったんだという諦めの気持ちも込められているような気がします。
好きなだけでは遂げられない恋の難しさが伝わってきますね。
ドラマ仕立てのMVも必見
ケツメイシの名曲『バラード』は大人のラブソングであり、寂しい関係の果てに別れを迎える失恋ソングです。MVは“叶わない恋”をテーマにしたドラマ仕立てで、歌詞とは違い既婚者の男性との恋に苦しむ女性にスポットを当ててストーリーが展開していきます。
どちらの目線で見ても切なさに心を掴まれる作品となっているので、ぜひ合わせてチェックしてみてくださいね。