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【インタビュー】Lenny code fiction、新曲「ビボウロク」で届けたい「スプーン一杯の優しい日々を思い出して生きている」とは…。

4人組ロックバンドのLenny code fictionが8月24日(水)に、6thシングルの『ビボウロク』をリリース。今回UtaTenでは、『ビボウロク』を含む収録曲3曲についてロングインタビューを敢行!
彼らにとって今作は2年半ぶりとなる6枚目のCDリリース。

コロナ情勢により思うように活動を歩み続けることも困難だったに違いないが、Lenny code fictionはこの2年半で待っていてくれたファンからの優しさを自分たちの音にして、『ビボウロク』という新作でこれからの幕を開け始める。

アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のエンディングテーマにも起用された、優しさと強さを兼ね備えた『ビボウロク』や、人生は“有限だから時間を無駄にはするな”というメッセージ性がある『Pretty Dirty』、そして、片桐航(Vo&Gt)が東京に上京したときに見えた『TOKYO』。

4人が語ったこの3曲への熱き言葉の欠片をお届けする。

99%で1%何かが足りなかった。

──『ビボウロク』は2年半ぶりとなるリリースですね。まずは久しぶりのリリースに至るまで、皆さんにとって備忘録となった日々が沢山あると思います。早速ですが、今回のリリースにあたっての心境をお聞かせいただけますか?


片桐 航:曲作りを色々していて、ようやくリリースできるっていう気持ちもあるんですけど、それよりも形にできた嬉しさの方が強かったです。今まで曲を作ってアレンジをしている中で、メンバーはみんな何十曲も知っているけど、リリースという形になっていないからファンのみんなには届いていなかった。それがすごくもどかしい感じではありました。「新曲を作っている」ってみんなには言っているけど、どこか99%で1%何かが足りなかった。


──形にできた嬉しさの方が強かったのですね。

片桐 航:完全に完成したっていう状態に久しぶりにできた気がしました。嬉しさしかなかった。悔しさとかは抜きにして、悲しさも吹っ飛ばすぐらい感情の中では「良かった!」っていう気持ちが一番強かったです。


──ソラさんはいかがですか?

ソラ:俺は感覚がバグっていたっていう話がまずあります。いざ「リリースします」ってなったときに、自分たちのJK写がサブスクで“ぽーん”って出てきて、再生ボタンを“ピッ”て押すというこの一連の作業が新鮮でしょうがなくて。初めて全国流通したときとか、初めてメジャーデビューしたときの感覚に今一度なりました。航と一緒ですけど、曲を出せる喜びをそういう所で感じたというか。CDを出せるっていう事実は知っていたけれど、実感は全然なかった。「サブスクに俺らの曲載っているよ!」ぐらいの感じでした(笑)


──(笑)初心のような気持ちですか?

ソラ:初心ですね。当たり前のことを当たり前に思わない人間になりたいなってすごく思いました。


──kazuさんはいかがですか。

kazu:今まで2年半リリースがなかったときに、苦肉の策ではないですけど新曲は作っていて、ファンクラブ限定で未発表の曲を聴いてもらうとかはありました。ただ曲を作ったとしても、ライブまでしか持っていくことができないんです。なので、パッケージとして世に出だすことができて、お客さんに聴いてもらえるっていうのが嬉しいって感じですね。

ライブで見せるってなってもライブでしかないので、音楽っていう作品には持っていけてなかったんですよ。僕らがどんな想いでこの曲を作ったかをやっと家でじっくり聴いてもらえることができるし、今まで待ってくれていたお客さんたちに僕たちの作品を届けられる嬉しさが1番僕の中では大きいです。


──ファンの方からも、「2年半ぶりですね」っていう声は大きかったですか?

kazu:そうですね。僕もはっきりと2年半って教えてもらったのってお客さんからなんですよ。「そんな出してなかったんや」って思いましたね。


──リリースされていない間もライブなどでは未発表曲の『Memento』や『the last words』などを披露されていたこともあるので、あまり久しぶりに出されるイメージが私もなかったです。

kazu:そうですよね。お客さんもよく今まで支えてくださっていたなってすごく感じました。


──KANDAIさんはいかがですか。

KANDAI:『TOKYO』や『ビボウロク』をサブスクでリリース出したときに、Instagramでもすごいメッセージがきたし、Twitterでも沢山の反応があって。なんなら友達とかからも「久しぶりのリリースだね!」みたいに言葉をくれたりもしていて、見てくれている人は見てくれているんだなって改めて実感しました。

そしてお客さんには2年半も待たせてしまったっていう気持ちもありつつ、嬉しいっていう気持ちが勝ちましたね。久しぶりにバチバチの人たちが関わったレコーディングもあって、「そうそう、こんな感じ!!」みたいなのもあって(笑)帰ってきたな~っていう感じがありましたね。反応もらえるのが嬉しかったです。


──レニーさんは結構長い活動をされていると思うのですが、やはり今でも反応をもらえるのは嬉しいんですね。

KANDAI:やっぱ反応もらえるのは、いつまでも嬉しいですね。


この2年半がなければ書けていなかった歌詞

──『ビボウロク』は、1月に開催された未発表のみのセットリストで挑んだファンクラブ会員限定“先行試写会”ライブで披露された『流動』を再構築されたとのことですが、なぜ『流動』を元にしようと思ったのでしょうか。

片桐 航:どの曲をリリースするってなったときに、まず『流動』が全員気に入っていて。そして、20曲新曲ライブを行ったときに、みんなの投票でも結構上位に入っていたんですよ。メンバーと周りのスタッフさんを含めて全員で考えたときに、「この曲が良いんじゃないか」ってなったし。それで「『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のEDになります」っていうのも聞いた上で、全員が好きを一致させたこの曲をがっつり再アレンジするのもいいなって思いました。自己満では、曲は完成していたんですけど、ファンのみんなに届けるっていう意味ではもう少しできることがあるかなって。

▲『ビボウロク』Lenny code fiction 【テレビ東京系アニメーション「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」7月クールEDテーマ】

──届けるっていうところに重きを置いたのですね。

片桐 航:メンバーの中では満足いっていたけど、リスナーがそこにいるっていうことを考えると、もっと出来ることを最大限にアレンジしていこうって思ってこういう形になりました。


──ちなみに『流動』と『ビボウロク』は、歌詞などは似ている部分はあるのでしょうか?

片桐 航:結構似ているところはありますね。意味は同じだけど言葉は変えていたりとかはあります。


──今回のテーマは「もらった優しさ」ですね。レニーさんがこのタイミングで「もらった優しさ」に焦点をあてた部分がとても気になったのですが、その意味を教えてください。

片桐 航:歌詞を書くときに、ライブに来てくれていたみんなのことをすごく思い出していました。今まで反骨精神剥き出しみたいな曲が多かったんですけど、このタイミングでしっかりと感謝を伝えたかった。自分が今思い出して糧にしているものを書こうと思ったし、この2年半がなければ書けていなかった歌詞かもしれないですね。


──『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のタイアップが決まるにあたり、すこし歌詞も変化させている部分はあるのでしょうか?

片桐 航:言い回しを少し変えたりはしたけれど、そんなに悩んではないですね。

ソラ:俺が覚えているのは、「忍者の世界にコーヒーってあったっけ?」って質問は面白かったね(笑)

kazu:あーあったな(笑)

全員:(笑)

ソラ:最初はコーヒーっていう歌詞が入っていたんですよ!


──コーヒーが入っていたんですね(笑)

片桐 航:あとはあんまり恋愛っぽくさせないようにしているとか。恋愛感をなくしたのは、アニメへのリスペクトですね。


──メンバーの皆さんが一番に出来上がったものを受け取ると思うんですけど、『ビボウロク』を最初に聴いてみたときはどんな印象でしたか。


ソラ:『ビボウロク』って本当にすごくて。航から新曲5曲を送られてきた中で、一際光っていたというか。俺たちグループLINEがあるんですけど、その瞬間に「流動やばい!」ってLINEしたら、航から「せやろ」ってきて(笑)


──自信があったんですね(笑)

ソラ:本人的にも自信あったんだろうなって。みんなが「レニーってこういう曲が合うんじゃない?」って奥底に思っていたものが、体現化されたんだなって強く感じました。

kazu:全員、気に入った曲を作るときのスピードやばない?

全員:(笑)


──そんなに早いんですか!?

kazu:グループのLINEとかで、かんちゃん(KANDAI)とかが、「この流動、めっちゃ良いからやろう!」って言ったときに、次の日にはファーストデモができていたんです。気合いの入り方が違うし、イメージが湧きやすい。シングルになる曲は僕たちの中ではかなり早くできますね。


──いつも曲作りをするときって、平均でどれくらいかかるんでしょうか?

kazu:かかるときはかかるよな~

片桐 航:3日ぐらいちゃう?


──3日!?早いですね、もっと3カ月とかかかるのかと思っていました(笑)

kazu:3カ月だったらアルバム2枚ぐらいできちゃいますね(笑)

全員:(笑)


──KANDAIさんはどうでしょうか?

KANDAI:俺も「この曲めっちゃ良い!」ってLINEしたのは覚えていますね。デモが沢山送られてくる中で航が気合入っている曲と入っていない曲ってなんとなく、見分けがつくんですよ。だから「今回は気合い入っているな~!!」みたいな(笑)すぐ取り掛かったのを覚えています。


──皆さんの推し曲だったんですね!

KANDAI:そうですね!『流動』の時からライブでやるのが楽しかったです。みんなで歌う系の曲って、今までなかったので楽しいなって!


最終的には自分で一歩進んだ強さに変わっている

──サウンドはノスタルジックなミディアムバラードですが、「もらった優しさ」というテーマをイメージしながら作曲されたんでしょうか。

片桐 航:序盤は静かなテイストで、サビになったらしっかり勇気を出している感じで作りました。優しさがテーマやけど、最終的には自分で一歩進んだ強さに変わっているっていう曲なので、その表現はデモ段階からこだわり続けましたね。最初サビで広がりが少なくなった気がしたので、そこはこだわりとしてコーラスを重ねたりして、広がりを持たせる部分は何回も話し合いました。最終的に悲しく終わらないで欲しいでというか。


──最終的に悲しく終わらないという部分はとてもわかりました。

片桐 航:そうですね。というので、サビの広がりは特にストーリー性としてこだわったところですね。


──今回、優しさと力強さが思い切り伝わる最高なサウンドですが、特にソラさんのギターのアルペジオがゆったりと流れる部分が、すごく優しさ溢れる感じで心地よかったです。

ソラ:嬉しいです、ありがとうございます!曲を演奏する上でメリハリをすごく大事にはしていて。Aメロの部分は一人で悩んでいる感を出すので、あんまり音は歪ませないようにして、クリーンな透明感を意識します。サビはみんなのコーラスも入ってくるので、ギターの歪量もサビに向かって上がっていくというイメージですね。


──kazuさんとKANDAIさんは今回演奏していて、意識された部分はありましたか?

kazu:初期のデモではベースが主張している激しめなフレーズを入れていたんですけど、話し合いの結果、ベースはもっと落ち着いて渋くいこうってなりました。あえてベースで主張するという考え方ではなく、どっしり下のコードを支えて隙間を生むっていうところに持っていった感じがあります。今回は、今までの僕たちの曲の中でも、サウンドでは隙間が生まれているので、これまでの作風とか変わってきているのかなって思います。


──隙間を生むっていうところが重要だったのですね。

kazu:そうですね、メリハリをつけていた部分も大きいですけど、僕たちが変化していったのが入っている1曲ですね。

KANDAI:ドラムで言うと過去一簡単な曲でした(笑)今までで一番コピーしやすくなったんじゃないかなってすごく思います。


──簡単な曲なんですか!!


KANDAI:そうですね(笑) 突き詰めていくとこういうシンプルな曲の方が、レコーディングは難しかったんですけど…。今まで手数も多くて、早くてっていうのが得意分野ではあるんですが、こういうのをやってみると「ちょっと大人になったな」じゃないですけど。シンプルなものを淡々とやる難しさや面白さを感じた楽曲でした。今までは、どれだけ派手で、どれだけカッコよくみたいなものを考えていたんですけど、最近はカッコいい音と良い音は別だなって思っていて。


──結構変わられたんですね。

KANDAI:変わりましたね。今回で言うとカッコいい音というより太く良い音にしたいっていうのをコンセプトに、テックさんとも話をしました。レコーディングの叩き方も変えたし、挑戦もしつつ、新たなドラムの一面を出せた曲だなと思っています。


独り言っぽいのが良くて

──『ビボウロク』は漢字のイメージがありますが、なぜ今回カタカナで進めようと思ったのでしょうか?


片桐 航:字ずらを並べたときに、独り言っぽいのが良くて。自分に対しての自分の歌やったので、そんなに大々的にならないとも思うし、漢字だと堅苦しいし、説明っぽいし。ひらがなだと柔らかすぎてしまうし、優しすぎるし。なんかボソボソと呟いている感じが欲しくてカタカナにしました。


──『ビボウロク』は、特に歌詞が人生の悩みを美しく表現しているイメージがありましたので、ここからは歌詞に関して掘り下げていきます。冒頭に、「人生の体温が、上昇と下降繰り返している」という一節がありますが、人の体温ではなく、人生という部分にフォーカルされたのがとても気になりました。

片桐 航:「体の体温」を言っても意味ないし、悩んでいる事を「体温」に掛けてみるのも使えるやんって。結論、「体温」って言葉がポピュラーになりすぎているから、使ってみようかなって思いました。



──それを「人生の体温」って表現したのがさすがですよね。日常生活で使わないですよね(笑)

ソラ:使わないですね(笑)

全員:(笑)


──続けて「夕陽なんかに涙する」っていうフレーズがありますが、これはご自身が体験された部分なのでしょうか?

片桐 航:これはちょっとしたことでも感情が揺さぶられる部分を表現したかったんです。夕陽というものに涙するっていうよりかは、普段夕陽を見ても涙も出てこんのに、そんな普遍的な景色を見て、涙するぐらい色々悩んでいるっていうところを表現したいっていう部分ですね。


──そういうことだったんですね。

片桐 航:なので「夕陽」っていう部分が重要なのではなくて、「なんか」っていう部分の方が重要な歌詞ですね。


──めちゃくちゃ面白い解説ですね!

ソラ:そうだったんだ~(笑)俺、夕陽にフォーカスあてちゃっていたわ(笑)

全員:(笑)


──「悩みの多い日常を嫌って音楽で泣くけれど」っていうフレーズは一般社会で誰もが共感する部分だなと思うのですが、ここは誰かがこのような体験をしているところをインプットしたわけではなく、航さん自身が感じた部分が強いですか?

片桐 航:そうですね。音楽って一番感情を揺さぶってくれるというか、ライブ以外では一人きりで聴くことが多いと思うんです。そういうときに音楽を聴いて感情を整理するっていうのが多いんじゃないかなって。自分もそうだったし。昔高校時代に、友達に曲を聴かせたら「曲の歌詞に音楽って入っているのはダサいな」って言われたから、良いとこで使ったろって(笑)

全員:(笑)


──絶対に使いたかったフレーズなんですね!

片桐 航:そうですね。音楽っていう言葉をちゃんとした意味で使いたかったんです。

「スプーン一杯の優しい日々を思い出して生きている」のフレーズにちなんで…

──「スプーン一杯の優しい日々を思い出して生きている」というフレーズが、今回の楽曲でキーパーソンになるなと思ったのですが、コーヒーが大好きな航さんらしいフレーズだなと思いました。ちなみに、スプーン一杯じゃなくて二杯でもいいと思うんですけど、ここの部分に込めた想いを教えてください!

全員:(笑)

片桐 航:それこそ最初に「コーヒー」っていう歌詞もあったから出てきた歌詞なんですけど、コーヒーから繋がってみて表現として良い言い回しやなって。ただスプーン一杯がよくて、二杯じゃダメやった(笑)

全員:(笑)


kazu:でも結構このフレーズ、フォーカスあてられているよね。『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のアニメサイドもJK写でスプーンを持たせてくれていたりとかしていました。


──「スプーン一杯の優しい日々を思い出して生きている」のフレーズにちなんで、今回スプーンを大中小(※小だけミッキーマウスの柄)の大きさのを持ってきたのですが、皆さんがスプーン一杯の優しさを誰かに捧げるとき、この大中小の中だとどれになりますか?

全員:(笑)

ソラ:面白いですね~(笑)大さじなのか小さじなのか…。確かにスプーン一杯の優しい日々って難しいですよね。俺は決められないな~!航どうですか?

片桐 航:俺は元々決まっているから(笑)

KANDAI:俺は一番大きいスプーンですね!優しさって最大限に渡したいので、これに決めました!

kazu:サイズ的には一番小さいやつなんだけど、キャラだもんな~(笑)キャラなしの一番小さいスプーンでちょこっと入れて、気付かれないくらいの優しさをあげたいかな。我に返ったときに、そんなことをしてくれていたよな~って思えるくらいがちょうどいいです。あんまり厚かましく「わー」ってなるよりかは、これくらいがいいですね。


──キャラなしのスプーンをご用意すればよかったですね…すみません(笑) KANDAIさんがこういうの好きそうだなって思って!

全員;(笑)

kazu:全然、大丈夫ですよ!

KANDAI:確かにこういうキャラ系の好きですね(笑)


──では、航さんはどうでしょうか?

片桐 航:これはkazuが正解というか…(笑)。イメージしていたのはティースプーンです。コーヒーに砂糖を入れるとき、ティースプーン一杯じゃないと甘すぎるじゃないですか?
コーヒーの味は変えずに、風味だけ変えたいっていうのが元々あって歌詞に書いていたから、kazuが正解です。

ソラ:いつの間にかクイズになってるよ(笑)

全員:(笑)


『ビボウロク』で一番お気に入りのフレーズは?

──それでは、毎度お馴染みのコーナーですが、UtaTenは歌詞サイトなので、『ビボウロク』の歌詞の中で一番好きなフレーズを教えてください!


ソラ:過去一難しいですね。めちゃくちゃ良いワードがいっぱいあるからな~。一番好きなワードとはずれちゃうけど、この「夕陽なんかに涙する」がすごく好きで。一気に情景が浮かぶというか。俺、実は情景が浮かぶ曲が基本的に好きなんですよ。航の曲は情景が見える曲が多いし、それが航の曲を好きになった瞬間でもあるので。せっかく情景が見えたんだったら、ギターソロもその時間帯で弾こうと思ったんですよね。


──おお、その発想すごいですね。

ソラ:俺の家、すごく陽が射すのが強いんですけど(笑)それで、当時ギターソロを考えているときに、ちょうど16時ぐらいに夕陽が落ちてきたんです。夕陽が見えているときにギターソロを考えようって思った記憶があるので、このフレーズはすごく好きですね。このワードがなかったらあのメロディーとあの弾き方にはならなかったなって。

kazu:あのソラ、夕陽なんや(笑)

ソラ:夕陽っぽくね?俺の中であのフレーズは最大限のエモなんだよ(笑)テクニカルなソロとか好きじゃないんですよ、自分の技術を見せびらかすフレーズって全然好きじゃなくて。ちゃんと曲を体現するメロディーとかが好きなので、今回『ビボウロク』でできたなって思います!

KANDAI:俺はサビ頭の「手の中にある 意味のある寂しさに ひとり、負けなかった日々を 忘れず生きていたいだけ」が、上京してくるときの気持ちを思い出しましたね。お世話になっていたライブハウスの店長に、「東京に負けんなよ!」って言われたんですよ。


──「東京に負けんなよ!」(笑)

KANDAI:(笑) でもやっぱ寂しいじゃないですか?ただその気持ちは忘れてはいないから、その気持ちを忘れずに生きているなって思ったときがエモかったですね。

kazu:僕はサビ終わりの「弱さなんてみせられない そんな頑固な性格でも たったひと握り優しい日々を誇らしく握ったまま 生きている」が好きです。ここは楽曲も相まってなんですけど、サビが終わったあとに音数が減って、ドラムと歌とギターだけになったときに、割と「弱さなんてみせられない」っていう歌詞がスパーンって、抜けてきて聴こえていて。見せられない頑固な性格なんだけど、葛藤もありつつ、たぶんこの主人公は弱いんですよ。


──弱さなんてみせられない主人公ですね。

kazu:だから悩みとかある人に、マッチしやすいですよね。通して聴いたときにはその時の僕にはすごく響いたんです。

片桐 航:俺は「スプーン一杯の優しい日々を思い出して生きている」がいいですね。この曲を一行で表せって言われたら、そこになるというか。それを歌っている曲なので、ここが一番タイトルみたいな感じで気に入っています。


──タイトルにはしなかったんですね(笑)

片桐 航:タイトルには長いかな~(笑)


無駄な時間過ごしたくないわ

──『Pretty Dirty』は、直訳をするとかなり汚いっていう意味だと思うんですけど、歌詞を見るとすごく気怠い感じがありますよね。

片桐 航:汚いとか、愚かとかまさにそうなんですけど、「一番愚かなことってなんやろう?」みたないことを考えたときに、無駄な時間を過ごしていること=めちゃくちゃおもんない人生みたいな。「こんな世界にいたくないわ」っていう想いと「無駄な時間過ごしたくないわ」っていうのをひたすら歌っている曲ですね。



──歌詞を見た時に、少し闇落ちしている印象があったのですがそれよりかは無駄な時間を過ごしたくないとか、そういう方が強いのですね。

片桐 航:そうですね。「無駄な時間を過ごさせるなよ俺に!」みたいな文句というか。そんな感じですね。


──歌詞で気になったフレーズがあるのですが、「無理矢理連れて行かれた謎のパーティー」って一旦どんなパーティーなのでしょうか。

ソラ:これ俺も気になってた!


KANDAI:俺も!そんなパーティーあるのかなって(笑)

片桐 航:俺が上京してきたときに、「俺、東京知っているぜ!」みたいなやつに連れていかれた場所とかが面白くなかったなっていうことですね(笑)

全員:(笑)


──「あり得ない人に気を配らない 入れない輪には入らない」のフレーズが、未発表曲の『Memento』の歌詞にも似ている気がしたのですが、これは何か繋がっているのでしょうか。

全員:おおお!

片桐 航:『Memento』と言っていることはほぼ一緒なんです。『Memento』は時間をちゃんと使って、自分の生きた証を残したいっていうところを言っているんですけど、『Pretty Dirty』はその前段階になります。「どうするべきかわからんけど、この状態は嫌」っていうのが全面に出ていて、時間軸でいうと『Pretty Dirty』の方が『Memento』より前になっています。『Pretty Dirty』の悟りを開いたら『Memento』になるっていう感じですね。繋がっているというより、自分が思うことが変化しているという。結局自分が歌いたいことって今言ったような「無駄な時間過ごしたくない」っていうのがところが一番大きくて。

だからそういう歌は、今後も言っていることが被っていたとしても、出していくと思います。


──『Pretty Dirty』を演奏する上でポイントにした部分はありましたか。

kazu:ふざけてやろうという感覚で弾いていました。「ベースなんかこれ?」って思うぐらいベースを歪ませて弾いていたんですよ。タイトルも『Dirty』だから汚い音でガッツリだしてやろうって思っていました。なので、さっきの『ビボウロク』とは対極ですね。
歌詞もまんま片桐航っていう歌詞なので(笑)特に「占いは嫌い」っていうフレーズも、「アイツ、そうやったな~」って思ったし。

全員;(笑)


──たしかにそんな感じしますね(笑)

kazu:なので歌詞に合わせて俺らもふざけてやろうっていう感覚でしたね。

KANDAI:俺も細かいことを気にすることなく、いつも通りカッコよく思い切り叩きました。


──ちなみに『TOKYO』よりも叩いているイメージは強めですか?

KANDAI:そうですね。技術的な事で言えばツインペダルで「ドコドコ」って踏んだりとか、結構ハードな部分を入れつつでした。音とかは昔に比べて大分まろやかですね。フレーズフレーズをハーフで録ったりとか、8とビート(8分音符をベースとしたリズムのこと)でさらっと録ったりとかもしたし。音の緩急がすごくある曲で、そこをすごく気を付けました。お客さんがどういう風に乗ってくれるかも考えましたね。


MELLOW DROP CITYは朽ち果てていく街

──『TOKYO』は、先日代官山UNITで行われたONE MAN LIVE TOUR 2022「ロックの復権〜再再演〜」のMCにて、過去に航さんがkazuさんと共に秋葉原に訪れた際に、10代ぐらいのメイド服を着ていた女の子たちが客引きをしている姿をみて、「なんでこんなに若い子たちがこんな事をしているんだろう…?」と東京へ抱かれたエピソードが印象的でした。『TOKYO』のイメージのきっかけはそこだったのでしょうか。

片桐 航:『TOKYO』の汚い部分を思い出そうとしたら、一番に出てきたところでした。

全員:(笑)



──やはりそこは滋賀県とは違うんでしょうか?

片桐 航:滋賀はほとんどいないですね(笑)


──ちなみに< MELLOW DROP CITY >っていうフレーズがすごく気になったのですが、これって一体どういう意味を持つのでしょうか。

片桐 航:これは造語ですね。東京を見たときに思ったことで、それをイメージした名前です。MELLOW DROPはゆったりと落ちていくっていう意味になるらしくて、いきなりガーンって失望するっていうよりかは、蝕まれていってどんどんやばいやつになっていく。夢破れたり、朽ち果てていく街ですね。


──イヤホンで『TOKYO』を聴いたときに、< I don’t care I don’t care >のところが、左右それぞれで一言ずつ聴こえてくる手法が洗脳されている感じがあって、気になりました!

全員:おおおー!

ソラ:あれはギターのフレーズを作るときに左右で音を振ったんですよ。それをエンジニアさんにリンクさせて頂いた感じです。アレンジに対して歌が乗っかってくることもあるんだなと個人的には思いました。サウンドとリンクする感じですね。


──『TOKYO』のMVは考察したくなるほどのシネマティック要素満載の作品ですね。撮影場所は廃ビルだったのでしょうか?

片桐 航:廃ホテルですね。スタッフさんから沢山候補が送られてきて、全員一致で決まった場所です。ストーリーとかは監督さんが曲を聴いた上で脚本を書いてくださりました。それで気になる部分は質問をして、納得した上で撮影スタートしましたね。

▲『TOKYO』Lenny code fiction Official Music Video

レニーから送るファンの皆さんへメッセージ

──最後にこの3曲通して、ファンの皆さんにどんな風に聴いてほしいかメッセージをお願い致します!


KANDAI:2年半お待たせした部分もありつつ、ようやく『TOKYO』と『ビボウロク』のMVと音源を出すことができます。この2年半はコロナで辞めていったバンドとか、解散したバンドとかいっぱいいるんですけど、俺たちは耐え抜いてかなり成長したと思っています。そういうのも含めて我々の歴史の一部をみんなに聴いてもらって、色々感じてもらったら嬉しいです。ここから第2章が始まります…!!

kazu:僕もほぼほぼかんちゃん(KANDAI)と一緒の感覚なんですけど、今回の1枚で第2章が始まるなって思っています。歌詞も前の僕たちよりかはダイレクトに、素直なことを書いていくことが多くなりました。楽曲の音も先程お伝えしたように、隙間や人間らしさができている音にもなってきた感じがします。この一枚から「Lenny code fictionが人やったんや」って思ってもらえたらなって思うので、第2章のLenny code fictionを聴いてください。

ソラ:お客さんと繋いだ2年半でした。お客さんが0人になった場合、僕たちはバンドを続けてられなかったと思うんです。だけど曲を出さなくてもライブ会場に来てくれていた方たちを勿論大切にしたいなと。今年の頭に開催した「先行試写会」で『ビボウロク』も『TOKYO』も披露したんですけど、そこで自信をもらえました。『ビボウロク』も投票結果で2位でしたし、お客さんと作った曲だなと思うので、誰一人もおいていかずに行きたいです。

片桐 航:3曲に共通しているのは1人で家でも聴けるし、ライブハウスでみんなで共有できるというか。『TOKYO』は飛び跳ねられるし、『Pretty Dirty』はみんなで歌える場所もあるし、『ビボウロク』は一人で聴いていたものを全員で共有ができる。1人じゃない感じをライブハウスで出せる曲だと思っているから、全員で聴いてもらいたいなって思っています。


おまけエピソード

ソラさんが7月27日にお誕生日を迎えたこともあり、ささやかですがUtaTenからお祝いのケーキをプレゼントさせていただきました!改めてソラさんお誕生日おめでとうございます!

終始、ソラさんは「ええええ!」とケーキに驚かれており皆さん大爆笑でしたっ!!(笑)

その時に撮影したお写真をお届けさせていただきます!!



TEXT みなちょ
PHOTO Kei Sakuhara

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【応募締め切り】
9/4 21:00まで

【当選の通知方法】
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片桐 航を中心に滋賀で結成された4人組ロックバンド。 Vo.片桐が映画から影響を受け、「欲望」「反骨」「愛おしさ」のような誰しもが持つ感情にフォーカスを当てた歌詞とバンドアンサンブルを軸にした楽曲が魅力。それらを表現し観客と共有するようなライブを追求している。全国ツアーの開催や大型···

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