映画「TANG タング」主題歌を徹底解釈
人気シンガーソングライター・miletの新曲『Always You』は、2022年8月11日全国公開の二宮和也主演映画『TANG タング』の主題歌として書き下ろされました。『TANG タング』はイギリスの小説家デボラ・インストール著『ロボット・イン・ザ・ガーデン』を原作とし、三木孝浩監督がアレンジした実写映画です。
ゲーム三昧で妻から家を追い出されたダメ男・春日井健が、記憶を失くした旧式ロボットのタングと出会ったことで、徐々に自分を取り戻していくというストーリーになっています。
その主題歌である『Always You』は、人とロボットの絆を描く映画のストーリーにぴったりの心温まる楽曲です。
英語詞を和訳しながら、全体の歌詞の意味を考察していきましょう。
----------------
It's always you, always you 誰よりも
I know it's you, know it's you 近付いて
君がいたら変わる世界まで変わる
≪Always You 歌詞より抜粋≫
----------------
タイトルでもある「always you」というフレーズは、直訳すると「いつも君」となります。
絆というテーマから考えると「僕のそばにいてくれたのはいつも君だった」というメッセージが込められていると解釈できますね。
「君がいたら変わる 世界まで変わる」と、主人公にとって相手がいかに大きな存在であるかが示されています。
----------------
あと一言 迷子のまま
着地もせずに (Where you at? Where you at?)
空回りばっかも悪くないかな
君が笑うから
時を止めるように 夢が解けないように
そんなバカみたいなことを本気で願ってしまうよ
All I want
All I want is you
≪Always You 歌詞より抜粋≫
----------------
「あと一言 迷子のまま着地もせずに」の歌詞から、主人公は言葉足らずで自分の気持ちや伝えたいことをうまく言えない人物と想像できるでしょう。
「Where you at?」は「君はどこにいるの？」という意味です。
これは自分を助けてくれる存在を探し求めている気持ちが表れているように思えます。
決して順風満帆とは言えない人生だったようですが「空回りばっかも悪くないかな」と現状を前向きに受け止めていることが分かりますね。
その理由は「君が笑うから」で、そばにいて自分の失敗も笑い飛ばしてくれる陽気な友に心が救われている様子です。
そんな素敵な日々がずっと続いてほしいという願いさえ浮かんできて、「All I want All I want is you（僕が望むもの、僕が望むのは君だけ）」と心から大切に思う気持ちを伝えています。
僕が本当に必要なのは君なんだ
----------------
君も知らない君のこと
教えたくないの誰にも
ここだけの秘密
You're the one that I really want
≪Always You 歌詞より抜粋≫
----------------
「君も知らない君のこと」を知っているのは、それだけ長く親密な時間を過ごしてきたからです。
本人すら気づいていない良いところも悪いところも、きっと知っているのは自分だけ。
ずっとそうありたいから「教えたくない誰にも」と正直な気持ちを歌っています。
また、そうした本心も「ここだけの秘密」にして、2人だけで共有したいと思っているようです。
「You’re the one that really want(僕が本当に必要なのは君なんだ)」という言葉に込められた想いの強さが感じられます。
----------------
Hurry up 足りない 機械仕掛けnight
Build it up 消えない 重なるfootmarks
All I want is you
見つめていたいの
'Cause it's the way we go now
≪Always You 歌詞より抜粋≫
----------------
ここでは「足りない機械仕掛けnight」という歌詞が印象的ですよね。
部品が足りない機械は正常に動かず、動いたとしてもその動作はぎこちなくなってしまうものです。
そして、夜は暗く寂しいイメージを伝えてきます。
この歌詞では、自身の人生がうまくいかないことを例えていると解釈してみましょう。
続く部分では「消えない重なる足跡を作ろう」と伝えています。
「Build up」は「築き上げる・積み上げる」という意味なので、やはり人生の歩みを表現しているのではないでしょうか。
足跡がすぐに消えてしまうようなたどたどしい歩みではなく、しっかりとした足取りで一歩一歩進んで行こうとする力強いイメージが伝わってきます。
人生は良い時ばかりではありませんが、懸命に歩み続けることが大切です。
そして、隣には信頼できる存在が必要です。
「’Cause it’s the way we go now」は日本語訳では「それが今の僕たちのやり方だから」となります。
つまり、行く先を見つめて前進していくことこそが、自分たちにできる最善のことだと言っているのかもしれません。
前向きなメッセージに力をもらえますね。
どこにいても君を想う
----------------
誰のせいにもできないこと
飲み込んで大人に(Where I'm at? Where I'm at?)
なった気がしてた
錆びついた足で背伸びして覗いて
一人じゃないのに もう帰れないのに
どんな場所にいたって
いつでも君のことを想ってしまうよ
'Cause all I want, all I want is you
≪Always You 歌詞より抜粋≫
----------------
人は歳を重ねるにつれ、現実には「誰のせいにもできないこと」があると学んでいきます。
そして、やり場のない気持ちを飲み込むことが増えていくでしょう。
そうすることが大人になるということだと諦める一方で「Where I’m at?(私はどこにいるの？)」と自分の本心はどこにあるのか自問しています。
無邪気に自分の気持ちを吐露していた頃とは違い、今は自分の心さえ「錆びついた足で背伸びして覗いてる」状態です。
主人公は支えてくれる存在がいるので、一人でいるわけではありません。
もちろん願っても子どもの頃に戻れるわけではありませんが、ふとこんな自分でいいのだろうかと思い悩んでしまうのでしょう。
そんな時、いつも想うのは君のこと。
どんな瞬間も頼れる存在がいるから、何もかもを諦めずないで生きていけると感じられます。
----------------
You're always you
That's why I'm with you
I know it's you
It's you
≪Always You 歌詞より抜粋≫
----------------
「You’re always you That’s why I’m with you(君はいつも君 だから僕は君と共にいる)」というストレートなフレーズも魅力的です。
そばにいてくれたのが君だったから一緒にいたいと思ったんだ、という真っ直ぐな気持ちが読み取れます。
誰でもいいのではなく、自分を支え力づけてくれる人だから大切にしたいのです。
ここまで想い合える関係を育める相手がいるのは素敵なことですね。
----------------
君も知らない君のこと
目には見えないその本当
何度でも言うよ
You're the one that I really want
≪Always You 歌詞より抜粋≫
----------------
主人公は目には見えず本人も気づいていない本当の君を知りたいと願っているようです。
大切な人だからこそいくつもの面を知ってもまだ足りない、余すことなく知りたいと感じます。
繰り返し伝えられる「You’re the one that I really want」のフレーズが心に響きますね。
大きな愛を歌う歌詞に感動！
miletが映画の脚本から受けた感動を落とし込んで作詞作曲された『Always You』は、普段は照れくさくて言葉にできないような、大きな愛を綴ったポップナンバーです。日本語詞と英語詞を織り交ぜた歌詞により、miletらしい心に染み込むような美しい世界観が広がります。
ぜひ映画『TANG タング』とマッチする楽曲の魅力を存分に感じてくださいね。
