最初のお客はハト3羽。そしてここからというタイミングでのコロナ禍。波乱の3年間を支えたのは…。
──まさに運命の出会いですね~。そしてデビューまでが長い道のりだったのに反して、プロフィールだけ見るとデビューからここまではすごく順調なんですよね。
新浜:いや、本当にありがたいことなんですけど、そういう風に「レオン君はデビューから順風満帆だよね」って言われることが本当に多いんです。でもですね、実はそんなこともなくてですね。
本当に一番最初にデビュー前にやったイベントは、ハト3羽しかいなかったんです。
──人じゃなくハト! それはさすがにネタですよね(笑)。
新浜:ネタじゃない、ネタじゃないんです! これ本当なんですよ(笑)。御徒町パンダ広場という場所が僕にとって初めてのフリーイベントで、そこで新浜レオンという名前でやったんですけど、もちろん誰も僕のことなんて知らないわけですよね。で、20分前ぐらい前にスタッフさんが来て、「ごめんね、ハト3羽しかお客さんいないわ」って話をされるわけですよ、本番前に。けど、もうきっとこれが現実だよなって。そりゃ当たり前かと思ってステージに出たら確かに、本当にハト3羽しかいなかったんです(笑)。でも音が鳴ったら少しずつ人が寄って来て下さって。とはいえ10人とか5人とか本当にそういった人数でしたけれども。
──その時ご覧になった方々は伝説の10人ですね。
新浜:でも一番最初のそういう状況から今でも応援してくださっている方がいらっしゃったりするのでご縁ってありがたいなと思います。だから本当に日々、そういうパンダ広場みたいなイベントをはじめ、地元の千葉成田山新勝寺さんでデビューイベントをやらせていただいたりと小さくも大きくもコツコツと全国各地を回らせていただいて、本当に直接皆さんと会うことで少しずつ少しずつ応援してくださる方が増えてきた感じなんです。そのおかげもあって、その年の「第61回日本レコード大賞」で新人賞もいただくことができて、「さぁ、改めてここからスタートだ!」……というときにこのコロナ禍にぶつかってしまうんです。
──あー、まさにこれから!というタイミングで…。
新浜:そうなんですよ…。本当にレコ大の新人賞をいただいてから、ありがたいことに全国からいろいろなイベントや番組にお呼びいただいて、年明けからもう全国のイベントで年内のスケジュールもけっこう埋まってたりとかしていたんです。けれどもコロナ禍でパタッと全てが中止延期になってしまって。正直、僕としてはここからがいわゆる自分のスタートだと思っていた部分があったので、その時はもう「どうしよう、どうしよう」っていう不安な日々が続いたんです。
けれどもやっぱりその時に僕が長年やって染み付いていた“野球魂”みたいなものがムクムクと起き上がってきて。もうこうなったら下向いてても引きこもっていてもしょうがない、逆に言えばこのコロナ禍はいつかは終わる。そうしてみんなが一斉にヨーイドンで再スタートした時に、ここでどう過ごすかですごく差が出るんじゃないかと思ったんです。
──イベントや活動がしづらい時期だからこそ、自分が何をするかで差が出る、ということですね。
新浜:はい。しようと思えば休みにもできるし、逆を言えばみんなが休んでいる時だからこそチャンスだと思うこともできる。だから僕はこの時期に改めて腹式呼吸であったり、滑舌とか自分の歌を見つめ直してリモートのレッスンをしていただいたりとか、できる限りのところで徹底して準備に励みました。あと、歌はもちろんなんですけど、ギターであったり、ピアノそしてダンスとか、今年からはドラムにも挑戦したりとか。芸能に関わるもの、ステージに役立ちそうなものは全部やってみて、本当に真摯に自分と向き合ってこの時期を過ごして来たつもりです。その一方で活動についても配信で無観客コンサートやイベントをしたり、インターネットサイン会をしたりとやれることは全部やっていきました。
──ピンチをチャンスに変えるために。確かにその辺は野球魂が活きている様な気がします。

新浜:僕の母校である千葉英和の野球部が、“今できる100%”っていうモットーでずっとやっていたので、それは今も変わらず、常に今できる100%を尽くせるよう日々活動したいと思っていますし、そうやってやれることを常にやってきて今の僕があると思ってます。じっとしているのが性に合わないっていうのもあるんですけどね(笑)。
──そう考えると今回のシングルは本当に久しぶりに、リリースイベントなどができるシングルということになりますね。
新浜:そうなんです! デビューシングルではもう本当にありがたくも毎日、全国各地へ、千葉をはじめ全国各地へ行って歌わせていただいていたので、またそれができるかと思うと本当に嬉しいです。僕にとってはやっぱりこの『ジェラシー ~運命にKissをしよう~』から、本当にやっと改めてスタートだっていう気持ちですね。
──そんな今回のシングル『ジェラシー ~運命にKissをしよう~』はまず配信、そして次にDVDシングルとして発売されたということですが。
新浜:そうなんです! これが、演歌歌謡ではほとんどない形らしいんですね。僕としてもやはり演歌歌謡で育った分、新曲発売と聞いたらやっぱりCD盤として最初に発売することが普通だと思っていたんですけど、今回はその形ではまったくなく、まずは5月に配信シングルとして配信だけで発売で、7月1日にDVDシングル、最後にCD発売ということで。
あの…正直僕としては「あの、これ大丈夫ですかね? 本当に発売っていう形になりますか?」っていう(笑)。
──あー、わかります。サブスクや音楽配信アプリの普及で、配信でのリリースはいまや普通のこととはいえ、CDじゃなくていいの?って最初は思いますよね。
新浜:僕、本当にそういうのに疎いんですよ…。だからそういう売り方があるということを全く知らなかったんで、すごく不安があったんです。でも、先ほどおっしゃったように「J-POPではけっこう普通だから」って言われて、そうなのか~って、ある意味衝撃ですよね。でも、こういうことができるのもやはりビーイングならではだなと思いますし、僕は演歌歌謡曲でデビューしたんですけど、演歌歌謡の活動の枠にとらわれない活動をできるのがやっぱりビーイングからデビューできた強みだとも思っているので、こういったことはどんどん挑戦していきたいと思ってます。
それこそ“演歌歌謡界初”っていうものにもどんどんチャレンジしていきたいなと思っていて。
例えばサンリオさんとコラボさせていただいて、『れおすけ』っていうキャラクターを作っていただいたりとか、サンリオさんのテーマパークのピューロランドでイベントをさせていただいたりですとか。
──大分のハーモニーランドでもイベントされたんですよね?
新浜:そうなんですよ。ああいう場所で演歌歌謡曲が流れているというのは、ある意味すごく違和感があると思うんですけども、でもやっぱり歌がはじまると小さいお子さんとかもワーッと集まってきてくれるし、コール&レスポンスする曲もけっこう多いので一緒にご家族連れの方が見てくださって楽しんでくださったりもして。なんて言うんでしょう、「演歌だからここは無理」とかっていうのをどうにか打ち破る存在になりたいなという想いはすごく強いですね。そういった意味では今回の『ジェラシー』とかはそのきっかけになるんじゃないかなと心の中で思っていますね。
──レオンさんにとってもこの曲はまたひとつ新しい挑戦という形なんですね。
新浜:その気持ちはあります。楽曲や売り方ももちろんなんですが、振り付けも付いていたりして、そこもまた僕にとっては挑戦な部分で。
──MVを見ましたが、オープニングとかけっこうガッツリ踊ってらっしゃいますよね。見た時に、おおこれはアイドルだ!と。
新浜 わあ、ありがとうございます。それはですね、やっぱり僕の中で父への尊敬はあるんですけど、もうひとつ、西城秀樹さんへの憧れというのがすごく大きくて。
──DVDシングルのほうの特典映像にも西城秀樹さんメドレーが入っていますもんね。
新浜:はい、コットンクラブというところでやらせていただいた、『憧れの西城秀樹カバーメドレー』というのを入れさせていただきました。西城さんは本当に憧れで、今でこそ歌謡曲というジャンルになっていますけど当時のライブ映像とかを見ると、やはり小さいお子さんからお年寄りの皆さんまでみんなで「ヒデキー!」とかってすごくファンの方が熱狂的で、まさにアーティストでありアイドルなんですよね。僕はあの世界がすごく印象的で、だからこそ西城秀樹さんのようになりたいという想いがすごく強いんです。
秀樹さんのパフォーマンスって、歌うだけではなくて振り付けがあったりとか、何かそういったことが若い世代にも聴いてもらうきっかけになっているのかなとかというふうにも感じたので、積極的にそういう振りを取り入れるようにしています。けっして踊りが得意なわけではないんですけど(笑)。
──歌の最中も、見ている方が真似がしやすい振りがついてますよね。『ジェラシー』のサビの部分とかもそうですけど。
新浜:ありがとうございます。それもぜひ皆さんに一緒に踊ってほしいからこそなので、そういう風に感じていただけたのはすごく嬉しいです!
最新曲『ジェラシー ~運命にKissをしよう~』は切なさとポップがコラボレーションした幸せソング♪
──ではここで、UtaTenらしく、今回のシングルのタイトル曲でもある『ジェラシー ~運命にKissをしよう~』の歌詞にも触れていこうかと思うのですが。まずは今回の歌詞について全体的なところを教えていただけますか?
新浜:今回の曲は“幸せソング”という風に謳われているんですが、実は歌詞だけを見るとそう幸せソングでもなくてですね。
──確かに。<ジェラシー泣きながら>とか、<もっと違う夢 上書きしてみせる>とか、どちらかというと切なさや情念を感じさせます。
新浜:まさに! それはよく言われるところでもあります(笑)。この曲って幸せソングという割には歌詞がかなり切なくて哀愁があるというか大人っぽいんです。
この曲は松井五郎さんに書いていただんですけど、いわゆる詞先、歌詞が先にあがってきてそれに曲をつけるという形で作られたんですね。
で、実は今回のこのシングルは、最初バラードでいこうと思うってスタッフさんからも話があってたんです。ずっとけっこうアップテンポな曲が続いていたので、もう4枚目だし、ちょっと大人っぽい魅力もというところで、次はバラードだよってお話で、松井さんにお願いして詞が来たんですね。で、歌詞を見た時には「うわー、大人っぽいなカッコいいな」なんて言ったんですけど、作曲の長戸さんが曲をつけてくれたら幸せソングになっていて(笑)。
──あれ? と(笑)。
新浜:でも、でもですね! 僕、長戸さんとも今回初めてお仕事させていただくので、この作品を作る前にお話しさせていただいて、僕の生い立ちから「何をやってたの?」「野球やってたんです」とか、「好きな食べ物は?」とか本当にそういうたわいもない話をたくさん聞いていただいたんですよ。で、そんな中で自分に合う曲をっていうところでこの曲をくださっていて。この切ない、そして大人っぽい詞ではあるんですけれども、やはり僕の中でもモットーとしているみんなの希望であったりとかみんなの太陽でいたいみたいな、すごく僕が大切にしてるその部分を汲み取ってこの曲を作ってくださったんです。
しかもこの<ジェラシー>ってヤキモチとか嫉妬とかで連想されると思うんですけど、すなわちそれも含めて僕の中では“憧れ”だと思って。誰しも生活している中であるじゃないですか、恋愛でもなくて、あの人格好いいな自分は負けてるなとか、何か生活する中でそういう気持ちが芽生えることってあると思うんですね。でもそれを言葉に出すのではなくて、ちょっと内に秘めて“絶対に上書きしてやろう”というような意味を込めて、このジェラシーというのになっているので、ただ恋のヤキモチという意味ではなく何かそれが前向きなメッセージとして伝わればいいなと思ってます。
──曲はポップだけれども歌詞が切ない感じなのはそういう理由なんですね。
新浜:そうなんです。なのでまさにさっきちょうど言っていただきましたけれど、僕としてもこの歌詞の<上書きしてみせる>というのは、すごく大切にしている歌詞のポイントですね。
やはり今日より明日、明日より明後日みたいな、本当に常に明るい未来でいたいという想いもあるので、悔しい思いを糧に常に昨日を超えていってみせるっていうメッセージをお届けできるような気がして、この部分はすごく僕の想いとぴったりで気に入っています。
なのでこの部分は歌っていてもすごく気合が入る部分でもあります。ぜひ聴いていただきたいです。
これからも“がんばレオン”でどんどんチャレンジしていきたい!
──演歌歌謡界としてたくさん新しいことを試みてらっしゃるレオンさんなんですが、今後の豊富を込めて、読んでいる方に最後にメッセージをお願いいたします!新浜:今、まだコロナ禍で大変な状況が続いてはいますが、僕の歌を通じて、この『ジェラシー』を通じて皆さんに笑顔であったり希望を、そして“幸せ、あふレオン”がたくさんお届けできるように“がんば、レオン”でいきたいと思います。
──はははっ! そんな決まり文句が(笑)。
新浜:すみません(笑)。ぜひ、これからもよろしくお願い致します! これからもたくさん挑戦して、たくさん精進して皆様に良い歌をお届けできるようにがんばります。
──あ、そこは“がんばレオン”じゃないんですね(笑)。でも、本当にレオンさんは演歌歌謡界に新しい風を吹かせられる存在だと思います。実はこのUtaTenが運営しているチェキチャ(1対1のオンライン特典会)も演歌歌謡界ではレオンさんが初となるらしいですよ。
新浜:本当ですか!? それはうれしいですね~。こんな機会をいただいて本当に嬉しく思います。
僕、ファンの方もすごく幅が広くて、今はイベントとかでもけっこうご家族連れの方が多かったりするんです。小さいお子さんとお母さんと、そしてそのお母さんのお母さん。しかもきっかけはお母さんのお母さんがテレビで見て、とか。なので、配信イベントなどをやると「娘にやり方を聞いて見ました」なんてお話もよく聞くので、それもすごく嬉しいなと思ってるんです。これからもどんどんこの業界に風を吹かせられるように、がんばレオン!します!!
──期待しております! 本日はどうもありがとうございました。
新浜:こちらこそ、本当にありがとうございました!

TEXT 川畑貴美代(マイリブズ)
PHOTO Kei Sakuhara