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【インタビュー】ラックライフがTVアニメの主題歌となった「℃」、「しるし」を同時リリース。ボーカル・PONと共に楽曲について紐解く。

ラックライフが1月25日(水)に両A面シングルとして、「しるし」と「℃」をリリースする。2曲ともにTVアニメの主題歌に抜擢された本作。曲調の異なる2曲ではあるが、そこにはしっかりとラックライフがいままで築き上げてきたものが反映されている。今回はボーカルのPONと共に楽曲について紐解いていこうと思う。

心が元気になった2022年

──まずは、2マンツアー「TeToTeToTe」を完走されましたね。PONさんにとって、ラックライフにとってこのツアーはどんなものになりましたか?

PON:めちゃくちゃ良かったですね。対バンツアーが久々だったから、良かったという感想に尽きる感じです。人と一緒に、それもずっと仲の良かった仲間やずっと気になっていた人たちとツアーを回れることって、こんなにも幸せなことだったのかと思いました。

やっぱり僕はライブが好きなんやなって、特に対バンが好きなんやって。もちろん、ワンマンもワンマンで楽しいし幸せやけど、対バンって演奏するまでどういう気持ちになるか想定できないというか。人のライブを観てから歌うことやったり、リハを観て、人と喋ってから生まれてくる気持ちっていうのはすごくたくさんあると思うので、そういうのが好きでバンドをやっているんやなってすごく実感したツアーでした。



──2マンツアー経て、ワンマンライブも2日間開催されました。こちらはいかがでしたか?

PON:ワンマンは、「みんな甘やかしてくれるよね〜」みたいな(笑)。ワンマンならではの空気感というか。例えるなら、友達と旅行してきて、その思い出話を家族に話すじゃないですけど、そういう感覚に近いんかなって。「こういうことがあってさ!」って話を「うんうん」って聞いてくれる人たちがいることの温かさがすごく幸せやなみたいな。素直に目の前にいる人たちに思いを届けられる環境があることがすごく幸せなことやなって思いましたね。だから僕はワンマンも2マンも好きなんです。ライブが好きだなって改めて思えたツアーでしたね。


──いいツアーだったんですね。そして2022年がまもなく終わりますが、PONさんにとって2022年はどんな年でしたか?

PON:久しぶりにバンドができた年やったなって思います。ワンマンツアーもやることができたし、配信で曲もリリースできた。そこから対バンツアーも回ることもできたので、労働的にはめっちゃしんどい1年でしたね(笑)。バンドをやって追い詰められて、それを乗り越える快感というか。この2〜3年はそうではなかったから。やりたくても出来ないとか、そういう感じやったんで。そう考えるとこの1年はなんやかんやで、いろんなことにチャレンジさせてもらって曲も作ったし、ツアーも回れたし、人の大事なイベントにも呼んでもらって、バンドしてるな〜って。久々に実感した1年だったのかなって思います。


──それがバンドのあるべき姿ですしね。

PON:そうなんですよ! 「バンドはこうじゃないと!」ってことを2万回くらい思った感じ(笑)。しんどいけど心はすごく元気というか、忙しいスケジュールで走り回って、体もバキバキでしんどいけど心は立ち上がっている感覚。体と心の疲労具合は異なっていたけど、心が元気だからすごく楽しかった。


──ここ2〜3年は心がしんどかったですもんね。

PON:そうなんですよ。体は元気だったんですけどね。だから今年は「これやな〜」って思いましたね。頑張れるなって。

1月期放送のアニメ2作品で主題歌を担当

──2022年を振り返って頂いたので、早速、本作について聞いていこうと思います。今回の2曲、『℃』はTVアニメ第2期『ツルネ -つながりの一射-』、『しるし』は『文豪ストレイドッグス』の第4シーズンの主題歌に引き続き、抜擢されました。率直に今のお気持ちを教えていただけますか?

PON:そんな嬉しいことはないですよ。僕らも環境が変わったのでやらせていただけるか不安な部分もあったので。でも『ツルネ』に関しては、『Hand』で担当させて頂いて、そのときから「次もお願いします」と言って頂いたりしていて。『文豪ストレイドッグス』はどうなるんかな?って思ってはいたんですけど、今回も担当させていただけて嬉しいです。でも4期がやることをTwitterを見てから知ったから、正直ドキドキはしていましたよ(笑)。


──この2作品は2023年の1月期のアニメですよね。2作品共に主題歌を担当するって純粋にすごいことですよね?

PON:いいんかな?ってめっちゃ思いましたね。だから「そんなことってあるんですか?」って聞きましたもん。そしたら「あんまりないです」って言われて。蓋を開けてみたら放送日まで一緒でみたいな(笑)。水曜日の放送なんですけど、ラックライフの日じゃんって思いました。


──いやあ、本当にすごいですよ!

PON:ね! だから嬉しかったですよ。違う人にお願いされてもおかしくない状況ではあるじゃないですか。でもどちらもラックライフがいいと言ってくれて、ランティス側もラックライフでいこうとGOを出してくれたわけで。僕らだけではどうしようも出来ないことじゃないですか。今までやってきたことがあって、そう言っていただけるのかなということですごく嬉しかったですね。


──なかなか経験できないことですもんね。

PON:そうですね。自分たちでも「すご〜!」って思いました。

“人”の存在の尊さを感じる2作品


──では、まず『ツルネ -つながりの一射-』のOPである『℃』からお話を聞いていきたいんですが、こちらタイトルの読み方って……?

PON:「ドシー」ですね。え、「ドシー」でいいんですよね(笑)。変換で出てくるし大丈夫ですよね(笑)。 いろいろ調べて、このタイトルにしました。


──あはは(笑)。『℃』に関しては前回の『Hand』と地続きの世界線というか、キーになるのは“手”なのかなと思うんですが、制作中にポイントを置いていた部分はありますか?

PON:『ツルネ』は3作連続でやらさせて頂いているので、サウンド的には差別化はしたいなと思っていました。監督とも話をさせて頂いたんですが、今回は駆け抜けたかったんですよね。今までずっしりしたものと広がるものだったから次は速いのがいいと思っていて。監督に「どこまで速いのがいいですかね?」みたいな質問をして、速い曲でもOKをいただけたので、攻め気で制作しようかなと思いました。最初は弾き語りのデモを聴いて頂いたんですけど、弾き語りだとゆったりして聴こえるから、「監督が思っているより速い曲になると思います」と自分の頭の中にあるアレンジ案を口頭で説明して、作っていきました。


──なるほど。頭の中で完成していたんですね。

PON:そうですね。サウンド面は突き抜けて爽快感のあるスポーツの感じというか。弓道って静かなスポーツではあるけど、スピード感があるものにしたかった。歌詞については、自分自身の歌というよりかは、サブタイトルが「つながりの一射」というくらいなので、繋がりをテーマに書いてほしいと監督に言われて、シンプルにいちばん繋がりを感じれるのって“手”じゃないですか。手を繋ぎあったときに1人ではなくなるというか、温もりを感じることができる。歌詞を書くときに思い出したのが、以前やった握手会で言われた言葉で、「PONさん、手が温かいですね」って言われたんですよ。そのときに自分って体温が高いんやって思ったんですよね。でもこれって人と触れ合わないと分からないことで、比べるものがあって自分を知ることができる。


──確かにそうかもしれない。

PON:それってよくも悪くもだと思うけど、「あの人いいな」と羨んだりする気持ちはもちろん誰しもあると思うけど、それと同時に自分を知るキッカケになるというか。「自分は少し違うな」、「僕は私はこう思うな」と自分に気づいていくことって結局誰かと繋がったときとか誰かと自分を比べたときやなって。よくも悪くもやけど、それをすごく感じて。ひとりじゃないからこそ生まれる感情があったから、そういうことを描いていこうかなと思って書きました。自分はひとりぼっちとかではなくて、ひとりなんだぞというかね。

いままでもそういう歌はたくさん歌ってきたけど、改めて誰かがいるからこそ自分はひとりになれているわけであって、この世の中に僕しかいなければひとりって言わないと思うんですよね。たくさん周りに居てくれるからこそ1人、2人、3人と呼ぶわけで、それが手を繋ぐからこそ1つになれる。考えることが違うからこそ同じ方向を向いたときにすごく嬉しいし、同じものをいいなと思えたときにすごく幸せな気持ちになれる。そういう思いを歌に込めたいなと思いながら作りました。


──やっぱり、PONさんは“人”なんですね。

PON:結局そうなんですよね。そんなことばかり歌っているな〜って最近思うこともあるんですけど、それが全てやなっていう開き直りというか、それを歌にしたいんですよね。



──『しるし』もキーになってくるのは“人”ですもんね。

PON:そうなんですよ! だから面白いなって。作品が全然違うのに、根っこが同じというか。血が通っているんやなって思います。作品は違えども、誰かが生きていて、一生懸命生きているっていうのがすごく通じる部分なんやろなって書きながら面白いなって思いましたね。


──2曲ともに共通しているのは、“僕”という主人公がいて、必ず支えてくれる“君”という存在がいると思うんです。前回のインタビューでPONさんがおっしゃっていた「人の存在」についての言葉が今回でより腑に落ちたというか。嘘偽りのない、PONさんから滲み出てくる言葉なんだなって思ったんです。

PON:こいつマジで言ってたんやみたいな? でもそうやって分析されると恥ずかしい(笑)。


──どちらにも希望があるし、言葉選びもシンプルだからすごく胸に刺さるというか。

PON:ナチュラルな言葉ですよね。自分が分からない言葉や普段使わない言葉はあんまり歌いたくないなっていう気持ちがあって。ただたまにはね、カッコいい言葉とか比喩したような言葉も書いたりするんですけど、すぐ消すんですよ(笑)。「何言うてんねん!」と思って。


──なるほど。『しるし』についてはいかがですか?

PON:『文豪ストレイドッグス』に関しても、5曲目の担当曲なので手札がなくなってきたなという感じは正直あるんですけど(笑)。だから制作中は何度もアニメタイアップを手掛ける諸先輩方ってすごいなと思う瞬間でもあるというか。その中でやってきてなかったこと、3連というか6/8みたいなことをやってみようかなっていうのもあって取り掛かったんですけど。ちゃんと前作から通づる部分もあって、ラックライフが『文豪ストレイドッグス』を歌っている、僕らを選んでくれている理由みたいなところも崩したくはないな、でも裏切りたいなという思いでサウンド面は挑戦しましたね。


──ミドルバラードじゃないですか。ロックとミドルバラードだとどちらが書きやすいとかってあるんですか?

PON:ミドルの方が断然書きやすいです。こっちの方が聴いてきた音楽というか、J-POP育ちなので、これくらいのテンポ感の曲の方が書きやすいですかね。


──そうなんですね。歌詞についてはいかがですか?

PON:『文豪ストレイドッグス』に関しては2曲目くらいときからお任せしますと言って頂いているので、アニメでやる箇所を読んで、自分の人生と照らし合わせてみたいな感じなんですけど、キッカケがあるんですよね。アニメの中の探偵社にいるみんなやポートマフィアにいる人たちとか、出てくるキャラクターそれぞれにそこにいる意味やそこにいるキッカケみたいな背景があって、それと同じように僕自身もここにいる理由があるわけですよね。キッカケがあって歌を始めてバンドを始めた、ライブハウスに出るようになった、いまの事務所にいること、『文豪ストレイドッグス』をやらせてもらっていることとか、背景があるなと感じまして、そこにいる理由というか、ラックライフのPONである印みたいなものをもらっているなと思った。


──その印がタイトルに繋がってくる。

PON:そう。それでそんなことを考えていると、ライブハウスの風景が想起されるんです。全ての始まりであり終わりの場所でもあると思うあの場所にどれだけ救われてきたのだろう、どれだけしんどくても歌を歌っているうちに元気になっていく、やる気が出てくるというか。正直、いつでも元気なわけではないし、プレッシャーを感じたり、不安になったりすることもあるけれど、歌を歌っているうちに、ライブをしているうちに元気をもらっていて。ライブハウスでの経験があるからステージではないところでも戦っていけるし、嫌なことやしんどいことがあっても「PONなんやから頑張らなあかんやろ」って自分に言い聞かせることができる。ラックライフのPONという存在に励まされる部分もあって、それが僕が僕である印というか、あなたが僕を見つけてくれたから僕が僕であり続けられる。そういうことを感謝しながら書いた歌詞ですね。


──こんなに素直に〈宝物〉って歌詞が出てくるのがいいなって。

PON:書きながら恥ずかしかったし、言い回しも考えたけど、それ以外の言葉が見つからなかったですね(笑)。


──ストレートに自分の思いを紡ぎ出すということに関しては意識されているんですか?

PON:分かりやすければ分かりやすい方がいいと僕は思いますし、なかなか言えないじゃないですか、ストレートには。曲げていう方がある種簡単というか、心を使わないというか。やっぱり僕は歌い手なんですよね。書き手ではなく歌い手なので、シンガーソングライターのシンガー強めなので、周りくどく言うことがおもんないんですよね。自分の使っている言葉でまっすぐ歌った方が僕は気持ちいいと思うし、届くと思っています。確かに、みんなにある気持ちをみんなと違う風に歌うことも素敵やと思うけど、僕には向いてないというか、いまの自分の形が好き。誰にどんな風に伝えたいかが優先順位的にはいちばん上。やっぱり人のことを考えながら歌っていると思います。



歌っていて泣きそうになるフレーズ


──それでは、好きなフレーズについても教えていただけますか?

PON:そうですね、『しるし』だったら〈君と僕が続くように〉というフレーズが好きなんですけど、ここのメロディと歌詞とサウンドの感じがすごくいいなといつも練習しながら思うというか。〈君と僕が続くように〉ってシンプルやけどいろいろ想像できるというか、歌っていると泣きそうになるんですよね。MVの撮影のときでも泣きそうになりました。だからホンマのことなんやろなって。続くようにって願いじゃないですか。願いを歌に込められているなって思えたというか。「いま、幸せだよ! ありがとうな!」って気持ちで書いたけど、それ以上のこと、これから先のことも信じている希望が見えるフレーズだなって思いますね。


──いまの幸せのあとも希望が続いていくってことですもんね?

PON:そうですね。いまの幸せで終わりではなく、ちゃんと一緒に描いていく、関係性が続いていく未来が見えるなって。願いを歌にすることって怖いじゃないですか。嘘をつきかねないですからね、曲作りって。僕が書いた言葉が嘘になるかもしれない。でもちゃんと願いを込めて書けているのは嬉しいなって思いましたね。


──『℃』はいかがですか?

PON:『℃』も歌っていてすごい泣きそうになるんですけど、やっぱり〈僕らになにができるのだろう/頭で考える前に今/心はどこへ向かおうとしてる?〉かな。特に〈心はどこへ向かおうとしてる?〉がいちばんやと思うんですよね、何をするにも。そこを大事にしたいよねみたいなことをすごい思うし、ここもメロディとのハマり方がナイス!みたいなことを思いながら歌っていますね。実態がなくてあるのかないのか分からないけど絶対にあるものじゃないですか、心って。


──確かに、心ってどこにあるんでしょう。

PON:不思議ですよね。心ってどこにあるんやろ?って考えると胸なイメージがあるけど、でも頭なんじゃないかなとか。ホンマにどこにあるんやろみたいな。でも、胸がぎゅーってなることもあるよな?みたいなことも思うし、心ってどんな形をしてるんやろとか、そういう話をみんなでできるじゃないですか、だから心ってちゃんと存在してるんですよ。心に導かれて、冒険するしチャレンジするし、失敗していくしということをすごく思うので、〈心はどこへ向かおうとしてる?〉というのは大きなテーマやなと思いますね。

──ご自身で歌っていて2曲とも泣きそうな作品が生まれたことはすごくプラスなことでもありますよね。

PON:そんなに幸せなことはないですよね。ナルシストなわけではないですけど、自分の作る歌が好きでここまでやってこれたというのはすごく、ホンマに幸せやなって。ホンマにしんどくてキツいって思いながらやってきたけど、その完成品に自分が救われるってめっちゃエコだと思いません?


──心の循環的にもいいですよね。

PON:そうそう! 自給自足してるような感じですけど、ホンマに思いがこもっていろんな人の顔が浮かんで、ホンマにアホみたいやけど自分の歌をめっちゃ聴いたりするんですよね。挫けそうなときに。昔の自分にけつを叩いてもらうみたいなことがいままでもたくさんあって。「お前、ホンマ眩しいこと言うよな」って昔の自分に消されそうになりながら、でも言ってることは間違ってないよと自分自身を奮い立たせてもらってきた。だからこそ自分に嘘をつきたくないし、ちゃんと生きていたいなと思うのは昔の自分がいるからこそなんだと思います。


──曲を作り始めてから、いまもなお根幹にある部分がブレてないってすごくカッコいいと思います。

PON:恥ずかしいなと思うこともあるけど、全然、自分間違ってへんで!って思えるというか、自分に嘘をついてないから16年くらい前に初めて作った曲もいいなと思えるし。根っこが変わってないのは確かですね。もうちょい成長しろよって思うこともありますけどね(笑)。

──最後になりますが、2023年はどんな年にしたいと考えていますか?

PON:ラックライフの15周年イヤーなんですよ。歳に換算するともう中学校3年生ですよ! すごいですよね。ただ全くそんな感じはしてないんですけど、思い返すとめちゃくちゃ濃いし、15年って人生の何よりも続けてこれているものなので、せっかくなので派手にやろう!って思っています。

そういうタイミングでこの2曲ができて、アニメのタイアップとして作らせて頂いてすごく嬉しいし、15周年にふさわしいスタートダッシュが切れると思うので2023年も駆け抜けたいですね。しっかりバンドができるように頑張ります!



TEXT 笹谷淳介
PHOTO Kei Sakuhara

高校の同級生PON(Vo&Gt)、ikoma(Gt&Cho)、たく(Ba)、LOVE大石(Dr)の4人からなる大阪・高槻出身のギターロックバンド。 人と人との繋がり、ライブハウスとオーディエンスへの思いを真っ直ぐに歌い続け 「100万枚売りたいのではない。100万人の心に届けたい。」をスローガンに東京大阪···

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