「ちいかわ」の人気曲「ひとりごつ」とは
毎週日曜日に『めざましテレビ』内で放送されている人気アニメ『ちいかわ』。
イラストレーターのナガノが「こういうふうになってくらしたい」という願望を描いたことで生まれた「なんか小さくてかわいいやつ」、通称“ちいかわ”たちが見せるかわいくも現実的でシビアな世界観に引き込まれる作品です。
そのエンディング曲として注目を集めたオリジナル楽曲が『ひとりごつ』で、アップテンポのメロディとハチワレの声を務める田中誠人の愛らしい歌声が明るい気分にしてくれます。
また、アニメ本編ではハチワレがアコースティックギターを手に弾き語りをすることもあり、こちらはしっとりと哀愁を感じる雰囲気が漂っていて一味違う魅力があります。
気になるタイトルの「ひとりごつ」とは、古語で「独り言を言う・呟く」という意味がある言葉です。
よく言い間違いをするハチワレですが、これは「ひとりごと」を言い間違えているわけではなく、あえて古くからある言葉を使っているようです。
ハチワレの独り言から生まれた曲と思われますが、どんな内容なのでしょうか?
聴けば聴くほど深い歌詞の意味をじっくり考察していきましょう。
疲れが残る憂鬱な朝
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なんだ~もう
朝…かと…ひとり‥ごつ…
焼けたパンにバタァ ぬり…ぬり…
やんだ~雨はなんか‥しめって…
なま…がわぁ…き‥
≪ひとりごつ 歌詞より抜粋≫
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1番の歌詞では朝目覚めた時の様子を歌っています。
誰でも朝を迎えて「なんだ~もう朝…か」と思ったことがあるでしょう。
もっと寝ていたかったのにもう朝が来てしまった、また今日も頑張らないといけないという少し疲れた気持ちが表現されているように思えます。
朝食の準備をして「焼けたパンにバタァ ぬり…ぬり…」。
『ちいかわ』のアニメを見ながら、そんな風に過ごしている人も多いのではないでしょうか?
窓の外を見てみると昨日降っていた雨は止んでいます。
それでも「やんだ~雨はなんか‥しめって…」、あまり明るい気持ちにはなれません。
そんな疲れの残る朝と雨上がりのジメジメとした雰囲気を「なま…がわぁ…き‥」と表現しているところが秀逸です。
変な足跡は昨日の自分がつけた足跡
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へんな~あし…あと…だと
思っ…たらァ
きのう晩につけた あし…あと…
やけに…土が… 水をふくんで
なま…がわァき…
≪ひとりごつ 歌詞より抜粋≫
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家を出て湿った土に残る「へんな~あし…あと…」と思ったものは、自分が「きのう晩につけた あし…あと…」でした。
きっと昨夜雨の中を帰ってきた時に、家の前の土が柔らかくなっていて足跡が残ったのでしょう。
これは主人公が毎日頑張っていることと、その頑張りが思うように評価されていないことを表していると考察しました。
雨に濡れながら帰ってきたことは足跡が示してるので、足跡を見ればその努力は明白です。
しかし自分でも変な足跡だと思ってしまったということは、ほかの人も同じように主人公の頑張りに気づかなかったり軽く見たりする可能性があるということかもしれません。
「やけに…土が… 水をふくんで」いるように感じるほど足取りは重くなり、もっと暗い気持ちになっていることが読み取れます。
働く人の苦労を表している?
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あァ~~~キンと冷え~てるゥ
缶カンがァ
あァ~~ なん~か 冷~たくゥて
あァ~~ 汗ェと結露が~
混じってェ
あァ~~ 靴ゥを ぬらしてェる
しめっ…てェる…
なま…がわァ‥き…
≪ひとりごつ 歌詞より抜粋≫
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3番の歌詞は特に感情がこもっている印象を受けます。
「キンと冷え~てるゥ缶カン」自体はいつもと変わらないのに、いつもよりも冷たく感じているようです。
それは自分自身の心が切なさや寂しさといった感情を持っているからだと解釈できそうです。
自分の汗と缶の結露が混じった水滴が「靴ゥをぬらしてェる」という表現から、労働中の大変さとひと時の休息の様子が描かれているように感じました。
現実と同じように『ちいかわ』の世界でも労働は重要な意味を持つため、ハチワレも労働の大切さや苦労について思うところがあるのでしょう。
キャラクターたちは靴を履いていないので、『ひとりごつ』の歌詞は様々な業種で働く人たちにハチワレ自身の気持ちを投影して歌っていると考えられます。
誰もが少し暗い気持ちで独り言をこぼしながらも日々頑張って働いていることを認めてくれているようで、心に沁みますね。
1日を元気に乗り切ろう!
ハチワレが歌う『ひとりごつ』は働く人たちの苦労や頑張りに寄り添ってくれるような歌詞で、『ちいかわ』らしいリアルな世界観を感じます。少し気持ちが沈む朝でもハチワレの歌声に癒されることでしょう。
その人気ぶりから弾き語りver.とバンドver.のどちらも配信リリースされているので、その日の気分に合わせて聴いてみてはいかがでしょうか?