SEKAI NO OWARIを知っていますか?
SEKAI NO OWARIはバンドサウンドにEDMやテクノボイスを取り入れキャッチーなメロディにファンタジーな歌詞を乗せた、売れ線要素満載なのに"唯一無二"なバンドである。紅白歌合戦にも出て幅広い世代に認知されていったセカオワ。その反面アンチな人も増えてきている。
しかし、そんなあなたは、今日からSEKAI NO OWARIを馬鹿にできなくなるだろう。
今回の記事では、馬鹿にできなくなる理由を証明すべく、SEKAI NO OWARIが一躍有名となった「RPG」という楽曲を取り上げ、彼らが売れた理由を分析していく。
計算されつくした仕掛け
まず、一度楽曲を聞いていただきたい。イントロが大太鼓とは何事だ。
いくらファンタジー感を出したいとはいえ思い切りすぎだ。肝が据わりすぎ!しかも、イントロどころか永遠に大太鼓なのだ。
と思いきや、いつの間にか小太鼓でマーチングしてる。それどころかサビでは大太鼓の音がバスドラム代わりになっている。
しかも聞けば聞くほど管楽器からバイオリンまで隠れており、楽器が沢山入っている。
コーラスに関してはハモリが一箇所も登場しない。主旋がとても良いメロディなので敢えてハモリを付けなかったのだろう。
ただSEKAI NO OWARIはハモリの代わりに、なんと、オーケストラばりの壮大なコーラスを付けてきた。しかもコード進行に合わせて目立たないように。壮大なのに目立たないなんて器用すぎる。
悔しい…!このように、無意識では気付かない部分にまで沢山計算ずくの仕掛けが施されることが、ファンタジーを感じる仕掛けなのだ。
一度聞いたら、離れない中毒性
----------------「RPG」は全編日本詞である。しかも、ただの日本詞ではない。クサい言葉。いわゆる厨二、、いや失礼、ファンタジー満載な日本詞だ。このファンタジーな言葉の使い方がSEKAI NO OWARIはとにかく上手い。
空は青く澄み渡り 海を目指して歩く
怖いものなんてない 僕らはもう一人じゃない
≪RPG 歌詞より抜粋≫
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歌詞に出てくる言葉に注目して頂きたい。「空は青く澄み渡り 海を目指して歩く」「悪魔」「ペルセウス座流星群」「煌めき」などなど。くさい。
でもなんかカッコイイ気がする…。そう、これがファンタジーだ!そもそもこれらの言葉というのは凄くわかりやすく、明確に何かを指している言葉ばかりだ。
何も考えずに聞くとすごくわかりやすいようだが、じっくりと考えれば考えるほど、何について歌っているか全くわからない。
この不完全さが中毒性を生む最大の武器なのだ。
リスナーの参加によって完成される
わかりやすい言葉が並んでいるのに、全体を見ると抽象的になる。歌詞のストーリーがわかるようでわからないのだ!もはやリスナーのイマジネーションがあって初めて歌詞の世界観が完成するといっても過言ではない。そう!いわば全員参加型の楽曲なのだ。現にSEKAI NO OWARIのファンは様々な曲の意味を分析し、それぞれの説を立てている。
この、「全くわからない」でもなく「完璧にわかる」でもない、「わかるようでわからない」という歌詞の不完全さが、潜在意識下でも中毒性を生み「もう一度聞きたい」という気持ちにさせる。それに加えて「怖いものなんてない 僕らはもう1人じゃない」だ。
この歌詞ですら、なんだろう、普通すぎて歌おうと思わない。
このファンタジーな歌詞に隠されたダサさが、作り込まれた楽曲と見事にマッチして「かっこ良い」になる。
「キモカワイイ」と同じように、一見マイナスな部分や独特さが癖になり、一周してプラスに変わるという高等技術をSEKAI NO OWARIは持っている。
魅惑のセカオワ ワールド
さあ、アンチの鎧を脱ぎ捨て、煌びやかな聖剣エクスカリバーを持ち、壮大な宙を彷徨いながら、もう一度SEKAI NO OWARIを聴いて、楽になってみてはいかがだろうか。TEXT:ヤキニク
2010年、突如音楽シーンに現れた4人組バンド「SEKAI NO OWARI」。 同年1stアルバム「EARTH」をリリース後、2011年にメジャーデビュー。 圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感、テーマパークの様な世界観溢れるライブ演出で、子供から大人まで幅広いリスナーに浸透し、「セカオワ現象」とも···