第2章で感じる手応えとは?
──まずは、IVVYの第2章の幕開けを飾ったアルバム『MONS7ER』のリリースから7ヶ月経過しました。第2章を始動してからの手応えはいかがですか?YU-TA:今までのIVVYで大切にしていた柱はそのままなんですけど、新たに3人のメンバーと始動したことで得られる化学反応というか。それによって今までとは違う楽曲を届けられると思うんです。可視化出来るものとしてはパフォーマンスの層が厚くなったのでやりたい事を実現できる幅が大きくなったのかと思います。
HIROTO:MONS7ERツアーを今年の前半にかけて完走して、このツアーでおそらく7人体制になってからの一旦の集大成というか。声出しもこのツアーから可能になったこともあって、お客さんとの一体感、新生IVVYとしてまとまった姿を見せることができたのかなと思います。ツアーが終わってからは、よりメンバーと話すことも増えましたね。これからのIVVYはどう進んでいくのか、最近はまた新しいことをやっていきたいという気持ちにもなっていてツアーを完走してからこそ、今までの枠にとらわれず、ライブの構成を1つとってもそうですし、曲のセットリストや新曲も含めて、1度型にとらわれないチャレンジをしようという共通認識が生まれています。
──新しいチャレンジとは、具体的にどういう?
HIROTO:3ヶ月連続リリースの曲に関してもチャレンジだと思います。新曲の『WHITE SNOW』は今時かと問われるとちょっとノスタルジックな。懐かしさというか、僕らが音楽を志した当時に聴いていた王道バラードなんです。他のグループが今やらないであろう楽曲をIVVYがやっている。音楽もファッションもそうですけど流行は1周回ると言うじゃないですか。その流れの中で、自分たちが「こういうのもやっぱりいいよね!」という新たな風を吹かせることができたらなと思っています。
2曲目3曲目に関しても今までIVVYではやらなさそうだけど、この7人ならできる。それは仕上げ方や、パート割も含めて今までと全く異なっていて。2曲目に関してはずっと7人が入れ替わり立ち替わりで歌っていたりします。今までにない試みで全てにおいてチャレンジしている。3ヶ月連続リリースに関しては、全て挑戦という意味を込めて制作していますね。
──なるほど。MASAKIさんは新メンバーとして加入され2年弱が経過しましたが、第2章についてはいかがですか?
MASAKI:正直、まだ2年しか経っていないのかというくらい新体制が始動して目まぐるしい日々でした。新メンバーみんなそうだと思うけど、元々形が形成されていたIVVYに加入することで、自分はその形にどうハマっていくのか、どう表現していくのか、元々の形を崩さないようにしないといけないのかなどたくさんの葛藤がある中での1年間を経て、MONS7ERツアーをやり始めたくらいから新体制としての形が自分たちの中でも見えてきた。正直、1年目は悩みながら、相談をしながらやらせていただいていた活動が自分たちの立ち位置やキャラクターが見えてきたことで2年目はIVVYのメンバーとしてしっかり立ち位置ができてきたなというのは感じていますね。
──実際、MONS7ERツアーはグループにとって大きなポイントだったと思いますが、どんなツアーでしたか?
YU-TA:IVVY史上最大公演数のツアー、かつ最大楽曲数でもあり最初は不安な部分も少しながらありましたね。でも、ツアーを回らせて頂く中で個々に成長し、ファイナルではかなりレベルアップした姿になれたと思います。
HIROTO:そうだよね。あとは、僕らオリジナルメンバーは「戻ってきた!」という感じだったけど、新メンバー3人とっては初めてIVVYのライブでお客さんが声出しているのを味わったと思う。実際、3人はどう感じた?
MASAKI:ずっとHIROTOくんに「早く、声出しライブを味わってほしい」と言われていたんですよね。実際体験すると、IVVYのファンの方は熱くてたくさん声を出してくれるので、初めて声出しライブをやらせてもらったときの圧はすごかったです。だから僕らも負けないように圧を出すといういい相乗効果を感じました。
HIROTO:熱いんですよ、うちのファンは。それが自慢ですし、1個1個のリアクションや、本当にライブを楽しんでいるファンの方がとても多いので、それを早く3人に味わってほしいってずっと言っていたので、やっとそれが叶いましたね。
TAICHI:僕は自己紹介のときの声援、「TAICHI〜!」というのが気持ち良すぎて。だから、またコロナ禍とかになってしまったら困っちゃうなって。本当に気持ちよかったです。テンション爆上げでした!
7人のルーツを反映した至極のバラード
──収穫のある7ヶ月間だったんですね。それでは、早速新曲『WHITE SNOW』について聞かせてください。拝聴して感じたのは、IVVYの音楽性がより開けたなということと、ここで王道バラードをリリースすることで、IVVYの音楽が確実に大衆にタッチしたなと思ったんです。HIROTO:これが僕らのルーツ。特にEXILEさんというか、みんなそこから音楽を始めたと言っても過言でないくらい、メンバー全員世代ではありますし、自分たちの元々音楽を始めるキッカケになったルーツを表現できた曲。学生時代にカラオケで歌うような曲を今だからこそ表現できるんじゃないかなと思ったんですよね。だから今回は“歌”で魅せたかった。ラップパートに関しても今回は「俺らはあまり前に出なくていい」と言ってくれましたし、“歌”がメインにということをメンバーの共通認識で制作できたことは大きなポイントですね。
特にメインボーカルライン3人に関しては、今までの音楽活動、ルーツも含めて自分の原点として歌えたらいいなと話しました。あとは、音源として聴いてもいいけど、ライブだったらもっといいよねという風にお客さんにも捉えていただけたらいいなというのは意識しましたね。
YU-TA:冬のバラード曲として自惚れる程、最高な楽曲に仕上がったよね。先ほど、言っていただいた大衆にタッチしたっていうのはまさにだと思っていて。どの層の方にもスッと入る楽曲になっていると思いますし、この冬、必聴の一曲になっています。
──TAIYUさんはいかがですか?
TAIYU:楽曲制作に入る以前から、メインボーカル3人の歌声がいちばんはっきりするような曲をやりたいとメンバーで話していたので、それがいざ実現するとこのグループの一番の武器がすごくお客さんに伝わるいい楽曲だなと。あくまでも僕の分担的にはメインとは別ですけど、3人の伸びやかな歌声がより表現できる楽曲ができて嬉しかったです。
──今回は制約がある中でのラップだったと思いますが、ラップパートのお二人はいかがですか?
KEY:冬の恋愛ソングってところで、普段はこういうリリックは書かないんですけど、いつもより感情を込めて、切なさも入れたりしました。「この感情はなんでやろな?」と訴えかけるようなリリックというか……。
HIROTO:限られた中でどれだけ表現できるかっていうのが鍵になってくるしね。
KEY:そうですね。短い分、グッと感情をつめて書いた感じはありますね。
KENTO.I:俺もKEYと同じ気持ちですね。ラップにはボーカルパートのリリックでは伝えることのできないもっと細かいところを伝えられると思っているんですけど、今回は4小節で完結しないといけないわけじゃないですか! まあ、でも感覚で降ってくるものをそのままリリックにしているので、今こうやってみたら自分の今までの経験が反映されているのかなって思います。
──でも、このラップの入り方が絶妙にいいんですよ。
HIROTO:そうなんですよ! 実は2サビを削ったのは自分たちの意志で。あえてサビに行かずにラップに入るっていうのが、この曲のミソというか。「ここがいい!」と思っていて。2サビに行くんだろうなというところで、このラップの感情、言葉の並びっていうのがより鮮明に届くっていうのが狙いでもあったので、こだわったポイントではありますね。
──そのこだわりに、まんまとやられてしまったわけだ……(笑)。
全員:あはは(笑)。
TAIYU:まんまとですよ(笑)。ありがとうございます!
KENTO.I:嬉しいです。
──それでは、今回の制作ではメンバーとディスカッションを重ねながら?
HIROTO:そうですね。まずはラップの配置についてだったりとか。普通であれば、1番と2番、Aメロ、Bメロと均等に入ってくるパターンがあるんですけど、この曲に関しては、“歌”で行ってくれという感じだったから、あえてラップを散りばめるのではなく、IVVYのバラードとしてラップも表現したかった。ただラップは僕らにとって鍵の部分ではあるので、例えば2サビが終わって間奏部分がラップという今まで通りのセオリーは一旦やめようということで2サビを削ってラップもサビのような扱いしてというところもみんなで話したりだとか。
パートに関してもどうやっていくかというのは相談しましたね。新体制初になると思うんですけど1番はメインボーカル3人でしか歌ってないんですよ。これもわざとで、3人がメインでこの曲を届けるという、見ているお客さんに聴いているお客さんにもっと分かりやすく伝えるために3人で完結するというのも自分たちで決めました。
各々の好きなフレーズに共感の嵐
──完成度の高い楽曲に仕上がったと思いますが、ここで恒例の質問。皆さんの好きなフレーズについて教えていただこうと思います。HIROTO:僕は、自分が歌っているところになっちゃうけど、1番のBメロの<騒がしくなる街は温もりで溢れていくのに まるで僕だけが止まったままみたいだね>という歌詞があって。ここはいまだに情景を思い浮かべながら歌ってしまうんですよ。クリスマスというか、外が賑やかで街灯がバーッとあって。完全に海外の風景なんですけど、映画でありそうな感じというか。分かるかな?
TAIYU:分かるよ。EXILEさんの『Lovers Again』みたいな感じでしょ? あのヨーロッパっぽい感じというか。
HIROTO:そうそう! それがめっちゃ出てくるんだよね! フリで歩くじゃん? 毎回出てくるんだよ、その情景が。
MASAKI:そこを歩いているんだ。でも分かるな〜。
HIROTO:その後、温もりは溢れているんだけど、僕だけ時間が止まっている、ポツンとした感じ。そこもフリに表現されているんですけど、いきなり賑やかなところから孤独への移り変わりみたいなところがすごく好きです。
TAIYU:僕は、ラストサビ前の……。
HIROTO:そこが好きっていうメンバー、いると思ったよ(笑)。
KEY:おーい、被ってる!
TAIYU:<あまりに鮮やかに映って 泣きたくなるけど>。ここは、一切振り付けがない箇所で、ただみんなで歩いて移動するだけのセクションなんですけど、その歌詞とその歩みはもう泣けてくるくらい鮮やかなんですよ!
HIROTO:歩いているときにあんなに感情が入ることないよね!
TAIYU:うん。あの一歩一歩ほど重たい歩みは人生、日常生活でないので。僕はこの歌詞を聴くと本当に涙と鮮やかさと綺麗さによりこの曲の悲しみをグッと感じてしまう。
KEY:切なすぎるもん。
TAIYU:あまりに鮮やかっていうのがいいんだよね。「あまりに?!」ってなるというか、泣きながら笑っちゃう感情というか。
HIROTO:分かるわ〜。でもここはみんな好きなんじゃない? だから俺は他の歌詞にしてみた。
──MASAKIさんはどこがお気に入り?
MASAKI:俺はサビのふた回し目の<嫌味なくらいにねぇ綺麗で 触れたくなるけど>というところがすごく好きで。
TAICHI:それは俺と全く一緒だわ!
MASAKI:嘘?!
TAIYU:いやあ、ここも結局さ〜(笑)。
MASAKI:いや、お前が喋るんかい!
全員:あはは(笑)。
MASAKI:ここは、人間と雪を表しているようなダブルミーニングというか。その感じがすごく好きで。前の主語だったら雪はって言っているけど、君のことも表していると思うから、それがいいなっていう。
HIROTO:ごめんね。ここ、歌っているけど、いいよ。
MASAKI:でしょ?! 俺、ここ歌えてないんだよ〜。
HIROTO:しかもさ、“ねえ”っていうのがいいじゃん!
MASAKI:そこがなくても文は成立するんだけど、この2文字で切なくなるというか。
HIROTO:なかなか書ける歌詞じゃないないなって思うよね。
──なるほど。結構被っちゃっていますね。
KENTO.I:じゃあ、俺はラップから<思えば思うほど 想い 強くなるもの 二人で描いた 明日をもがいた、、>が一番感情が入りますね。しかもこの後にKEYが入ってくる入れ替わりの感じもすごく好き。
HIROTO:ちなみに踊っている側も結構気合いが入るからね!
KENTO.I:ゴリゴリのイメージがあるかもしれないけど、俺は感情を込めてラップするのも得意なので、ここはめっちゃ感情が入りますね。たまに涙が出てきちゃうんじゃないかくらい。
──いやあ、普通な感想になっちゃうけど、今回のラップはリリックもしかりはかなりいい。
KENTO.I:ありがとうございます。でも今回超少ないですけどね。普通は8小節ずつなんですけど、今回は4小説ずつで半分なので制作として速攻で終わりました(笑)。
──KEYさんとTAICHIさんは好きなフレーズが被ってしまったのか。
TAIYU:被ったなりにちょっと、ちょうだいよ。
KEY:とにかく切ないっすね!
MASAKI:うっす! 小学生じゃないんだから!
KEY:泣きたくなるけど、きっと君には届かへんねんな〜っていう。届かへんのは分かっているけど、君のことを思っちゃうところが切ない。
TAICHI:急に情景が関西になった(笑)。
──冬の御堂筋を歩き出したね(笑)。
KEY:イルミネーションもありますしね(笑)。君とはもう歩かれへんな〜っていう感じ。
TAIYU:なるほどね〜。
──TAICHIさんはどうですか?
TAICHI:僕は、サビ全部です!
HIROTO:それは欲張りすぎだろ。
TAICHI:いや、全部が良すぎて! 自分は歌ってないけど、聴いていて気持ちいいですよ。歌詞も細かい部分で切なくするポイントが入ってくるから、それを感じながらみなさんにも聴いていただきたいですね。
──YU-TAさんはいかがですか?
YU-TA:僕は1Aの歌詞全てかな。情景が秋から冬へ変わる感じがするというか。歌詞を追うことで景色を思い浮かべることができるのがいいなと。冬へ季節が変わり寒さを感じ、心がキュッとなるシーンも見えてきて大好きなパートなんです。
グループとして脱皮をしていきたい
──チャレンジングな3ヶ月連続リリースということですが、第2弾、第3弾と言える範囲でいいので、どういうテイストの曲なのか教えていただけますか?HIROTO:2曲目は、「え、『WHITE SNOW』を歌っていた人たちですよね?」という真逆なテイストでIVYYではかなり攻め攻めなアゲアゲな楽曲になっていますね。これに関してはラップがメインになるという感じです。
TAIYU:一気にパートが増えた感じがありますね。
KEY:がっちゃがちゃやな。
TAIYU:レコーディングブースでめっちゃ、汗をかきました。
HIROTO:ちょっと今回で寒くさせてしまったので、2曲目では熱くさせようかなと。
──第3弾はどんなテイストになりますか?
HIROTO:これも2曲とまるで異なるというか。おしゃれさもあって爽やかさもあって。ちょっと大人の要素も入っていたり、もう少しダンスにフォーカスされるんだろうなと。グループとしての一体感を表現できる楽曲になっています。だからまるで違う3曲を連続リリースすることになりますね。
──今回の3ヶ月連続リリースを経てまたグループとして大きくなっていくと思いますが、最後に今後の展望を教えていただけますか?
MASAKI:今回、3作連続リリースという面白い形を取らせていただいて、1曲でも刺さってくれる人がいたらいいなというので、幅広いジャンルを選ばせていただきました。1曲でも聴いていただいて多くの人にIVVYという名前を知っていただいて、来年地方などを回るツアーができるのであれば、皆さんに会いに来てほしいと思っています。
そして今年やってきたツアーもそうなんですけど、それに加えてもっと大きい場所でもしたいと思っていますし、それと同時に元々IVVYがやっていた箱に戻りたいと思っている。Zeppや新体制初お披露目で1曲だけやったことのなるLINE CUBE SHIBUYAには早いうちに帰って、ファンの皆さんと一緒に新たな景色を作りたいなと思っています。
YU-TA:多くの人に知っていただくには、まず僕たちの魅力を伝える楽曲とパフォーマンスのレベルアップに精進しなきゃいけないと思う。そこ経て、レベルアップをした先にいる応援してくださる皆様たちにたくさんのパワーを与えられるように頑張りたいなって思っています。
KENTO.I:曲も含めて、今までのIVVYというよりは変わっていくIVVYになっていきたいし、世間に対してもIVVYが変わってきたなと思わせたい。大きい夢はたくさんありますけど、まずはZeppツアーを回りたいですね。会場をパンパンにして、近い夢だと武道館にまずは行けるように頑張らないとな。率直に目の前にある一番大きい目標。そこに行くために自分たちがもっと進化していかないといけないと思います。
HIROTO:新体制になって2年弱、MONS7ERツアーをファイナルまでやってきて思うのは、今までのIVVYをしっかり守りつつファンの皆さんに新生IVVYというのを受け入れてもらって新たな基盤を作っていく作業がメインになっていたと思うんです。だから、今年の年末から来年1年間にかけて脱皮をしたいなと。しっかり守ってきた土台だったりを来年にかけて脱皮して、新しいことにチャレンジしていったり、今までのありきたりな動きではないことをしてみる。ライブの演出も含めて、常にお客さんをワクワクさせたいんです。
そう思うのは、それが出来ない期間もあったから。どうしても守りに入ってしまったり、新しいことをすることによって新生IVVYが受け入れらないんじゃないか、ファンを裏切るんじゃないかという不安もあったから。ただ今の7人であれば、いろんなことに挑戦できる気がするんです。IVVYってあんなことをするんだ、こんなことをするんだとファンの方がいい意味で驚いてくれるような1年にできればいいなと思います。
TEXT 笹谷淳介
PHOTO Kei Sakuhara