“心の見えなさ”から生まれたラブソング
島根県発の3ピースバンド・Omoinotakeが2024年1月24日に配信リリースした『幾億光年』は、二階堂ふみとチェ・ジョンヒョプ主演のドラマ『Eye Love You』の主題歌として書き下ろされました。
『Eye Love You』は、目が合うと相手の心の声が聞こえてしまうテレパスの能力を持っているために恋愛を諦めている主人公の侑里が、超ストレートな年下の韓国人留学生テオと出会い新たな恋に踏み出していくファンタジック・ラブストーリーです。
その主題歌として台本を読み込んで制作されたという『幾億光年』は、ドラマのストーリーが持つ明るくポップな面を表現しつつも、切なさが滲むメロディが心に響きます。
また、作詞にあたっては愛する人だからこそ想いを伝えられない“心の見えなさ”を意識されたそう。
どのようなメッセージが綴られているのか、歌詞の意味を考察していきましょう。
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もう一度さ 声を聴かせてよ
めくれない ままでいる
夏の日の カレンダー
ただいまってさ 笑ってみせてよ
送り先も わからない
忘れもの ばかりだ
≪幾億光年 歌詞より抜粋≫
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1番冒頭の歌詞から、主人公にはもう一度声を聴きたいのに聴けない相手がいることが読み取れます。
ある夏の日にその大切な人を失ってから心は囚われたままで、カレンダーすらめくれずにいるようです。
「ただいま」と言いながら笑ってくれた何気ない姿を、今も繰り返し思い出しています。
何かを伝えようにも「送り先もわからない」状態で、あの夏にたくさんのものを置いてきてしまったという気持ちが「忘れ物ばかりだ」という言葉に表れていますね。
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ココロが壊れる 音が聴こえて
どれだけ君を 愛していたか知って
もう二度とは 増やせない
思い出を 抱いて 生きて
≪幾億光年 歌詞より抜粋≫
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主人公は大切な人を失った時、自分の「ココロが壊れる音」が聴こえたと語っています。
そうして初めて「どれだけ君を愛していたか」を知りました。
もうそばにいない人と思い出を増やすことはできません。
だから、これまで積み重ねてきた過去の思い出を大切に抱えて生きていくことを決めます。
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デイバイデイ
どんなスピードで 追いかけたら
また君と 巡り逢えるだろう
寄り添った日々 生きている意味
くれたのは君 なんだよ
だから
いつもココロで 想い続けてる
まだ僕の 声は聴こえてる?
止まらない日々 君に逢う旅
よく似合う笑み 浮かべて 待ってて
≪幾億光年 歌詞より抜粋≫
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「どんなスピードで 追いかけたらまた君と巡り逢えるだろう」というフレーズは、会いたいのに会えない現実の厳しさやもどかしい想いを物語っていると言えるのではないでしょうか。
主人公は彼女のおかげで「生きている意味」を見つけられたことを「デイバイデイ(day by bay)」、つまり日増しに確信しています。
それでももう会えないから「いつもココロで想い続けてる」のです。
「まだ僕の声は聴こえてる?」との問いかけからは、君も自分のことを思い出してくれているのではないかと期待する気持ちが垣間見えます。
また時は決して止められないから、彼女に巡り逢うことを諦めず進み続けることを決意していることも分かるでしょう。
そうしていつか再会できたならいつもの「よく似合う笑み」で迎えてほしいと願う姿に、愛の深さが感じ取れます。
幾億光年先も変わらない想い
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囁けばさ 届けられた距離
ゼロセンチの 指先で
渡せた気に なってた
どうしてかな 離れている方が
言葉 溢れだすのは
いまさらと 笑って
≪幾億光年 歌詞より抜粋≫
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失ってしまうまでは囁き声でさえはっきりと伝わるほど近くにいました。
いつでも触れ合える2人の距離は「ゼロセンチ」だったので、彼は自分の気持ちを全て彼女に「渡せた気になってた」と後悔しています。
恋人だけでなく、家族や友人など身近にいる相手ほど素直に気持ちを伝えるのが照れ臭く思えたり、いつでも言えると思って言葉にしなかったりする人は多いでしょう。
この主人公も離れてから伝えたい言葉があふれ出すのを感じています。
そんな不器用な自分を「いまさらと笑って」とまた彼女を想います。
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君だけ見つけた いつかの流星
どんな願いを 浮かべていたのかな
あの日君が 見上げてた
藍色の 先を 見つめ
≪幾億光年 歌詞より抜粋≫
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一緒に夜空を眺めていたある日、彼女は流れ星を見つけました。
独りになって夜空を見上げる彼は、あの時願い事をする彼女の姿を思い出して「どんな願いを浮かべていたのかな」と考えます。
そうしながら、もっと彼女の話を聞いてあげられたのではないか、もっとお互いの想いを語り合えたのではないかと後悔し続けているのかもしれません。
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デイバイデイ
幾億年の 距離をこえて
輝きを伝う 星のように
変わらない愛 確かなヒカリ
届くまで願い 続ける
だから
いつか僕ら 巡り逢えたなら
輝きの中 待ち合わせよう
君が迷子に ならないように
瞬きもせず 照らして 待ってる
≪幾億光年 歌詞より抜粋≫
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タイトルの「幾億光年」は天文学で使われる長さの単位である光年を用いており、どれほど距離が離れていても永遠と言えるほど長い時間が経っても「変わらない愛」があることを表現しているそうです。
ここで出てくる「幾億年の距離」という表現も、年月と距離の点で2人の間に計り知れない隔たりがあることを感じさせます。
それでも決して手の届かない場所で輝く星のように、自分の心に彼女への強い愛があることを伝えています。
言葉にせずに後悔した今があるので、この気持ちが届くまで「願い続ける」つもりです。
いつか彼女が迷わず自分の元に戻ってこれるように愛を輝かせ続けて待っているという約束からも、自分の想いはこの先も揺らぐことはないと確信していることが分かります。
巡り逢えたらありのまま伝えたい「I Love You」
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消えやしない 君がくれた温もり
抱きしめ 僕はいまを 生きていくから
名前を呼ぶよ 来る日も来る日も
たえず叫ぶよ あのままの 二人でいようよ
≪幾億光年 歌詞より抜粋≫
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いくら月日が経っても「君がくれた温もり」は心に刻まれ、少しも消えずに残っています。
その温もりを抱きしめて「いまを生きていく」というフレーズは、時間が止まったままだった主人公が前を向き再び歩き始めたと解釈できるでしょう。
とはいえ、それは彼女との決別を受け入れるためではなく、また彼女と日々を生きるための前進です。
繰り返し名前を呼び、「あのままの二人でいようよ」と叫び続けます。
彼にとって彼女はそうまでして手放したくないと思える、何よりも大切な存在であることを感じさせます。
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デイバイデイ
どんなスピードで 追いかけたら
また君と 巡り逢えるだろう
わけあえた日々 季節はふいに
君だけを乗せ 彼方へ
だから
いつもココロで 想い続けてる
まだ僕の 声は聴こえてる?
進み出す日々 目を開けるたび
近づいていく 運命と 信じて
≪幾億光年 歌詞より抜粋≫
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彼女と過ごし分け合ってきたはずの季節は、主人公を置き去りにして遠のいてしまいました。
新しい季節をいくつ迎えても諦められず、「まだ僕の声は聴こえてる?」と問いかけ続けています。
「幾億光年」というタイトルからも分かる通り、彼は自分の遥か遠い先に彼女がいると考えています。
2人の関係が運命なのであれば、日々が進めば彼女との距離は近づいていくはずです。
だからまた必ず出会えるはずだと信じ、強い希望を持って今日を生きています。
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言えなかった 胸の奥の言葉
いまなら ありのまま 君に渡せる
どれだけの 時が流れても 永遠に
過去形に ならない「 I Love You」
≪幾億光年 歌詞より抜粋≫
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彼女が目の前にいる時には、自分の気持ちを伝える大切な言葉を胸の奥にしまったまま言えずにいました。
しかし、想っていても声にしなければ伝わらないことに気づいた今は「ありのまま君に渡せる」と自信を持っています。
もう二度と巡り逢えないとしても彼女のことを今なお愛し続けているので、その想いが過去形で表現されることはありません。
幾億光年先の未来でも変わらず「I Love You」と伝えたいのだというひたむきな愛情が伝わってきますね。
ストーリー仕立てのMVにも注目!
Omoinotakeの『幾億光年』は、メロディアスな音楽と真っ直ぐに想いを表現する歌詞が魅力的な楽曲です。YouTubeで公開されているMVは数々の映像作品を手掛けてきた気鋭の映像ディレクター・大久保拓朗が監督を務め、いま話題の若手俳優である高石あかりと宇佐卓真が演じる恋人たちの物語が描かれています。
ぜひドラマやMVの映像に込められた恋模様と歌詞を重ねながら、人を愛する気持ちの尊さを感じてください。
冨田洋之進/ドラゲ(Dr) 藤井怜央/レオ(Vo&Key) 福島智朗/エモアキ (Ba) ■Official web site ■Official YouTube Channel ■Official Twitter ■Official Instagram ■Official TikTok