旅立つ「君」の背中を押す歌詞
Mr.Childrenの『旅立ちの唄』は桜井和寿が作詞作曲した楽曲です。
冒頭の歌詞から見てみましょう。
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怖がらないで。
手当たり次第に灯り点けなくても
いつか 一人ぼっちの夜は明けていくよ
転んだ日は はるか遠くに感じていた景色も
起き上がってよく見ると なんか辿り着けそうじゃん
≪旅立ちの唄 歌詞より抜粋≫
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不安や孤独を抱える夜や、上手くいかなかった日に寄り添いながら、前向きな気持ちになれるよう、優しく励ますような歌詞ですね。
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Ah 旅立ちの唄
さぁ どこへ行こう? また どこかで出会えるね Ah
とりあえず「さようなら」
≪旅立ちの唄 歌詞より抜粋≫
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続きの歌詞からは、曲名通り、旅立ちを歌った曲なのだということが分かります。
とはいえ、「また どこかで会えるね」という歌詞を見る限り、永遠の別れではないようです。
別れの挨拶の前に「とりあえず」という言葉を添えているのも、“永遠ではなく、一旦のお別れだよ”というニュアンスを感じさせます。
前向きな言葉と再会への意志を伝えることで、旅立つ背中を押し、「君」のこれからの人生を応援するような歌詞だと考察できるでしょう。
「返事はいらないから」の理由は?
続きの歌詞を見てみましょう。
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自分が誰か分からなくなるとき君に語りかけるよ
でも もし聞こえていたって返事はいらないから…
≪旅立ちの唄 歌詞より抜粋≫
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「返事はいらないから」という歌詞が印象的ですね。
「君」に気を遣わせたくなくて、返事を求めないのだとしたら、一方的でも良いと思えるほどの深い愛情を表現した歌詞だと言えるでしょう。
しかし、気を遣わせたくないというよりかは、「君」が振り向くことすら求めていないようなニュアンスも感じ取れます。
「とりあえず さようなら」と言いつつ、本当は永遠の別れなのではないでしょうか。
「また どこかで会えるね」という歌詞は、「君」へ再会の意志を伝えるための言葉なのではなく、「君」が安心して旅立てるように言った言葉なのかもしれません。
あるいは、「君」に言ったのではなく、もう会えないという現実から目を背けたくて、「また どこかで会えるね」と自分に言い聞かせたのだと解釈することもできるでしょう。
「返事はいらないから」の理由は、「君」に気を遣わせたくないと思う、見返りを求めない大きな愛でしょうか。
それとも、もう会えない、つまり「僕」が返事を貰える状況に居られないからでしょうか。
「返事はいらないから」の理由をどう解釈するのかによって、曲の印象が変化しそうです。
「僕」と「君」の関係性を考察
最後は以下の歌詞で締めくくられます。
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自分が誰か忘れそうなとき
ぼんやり想い出してよ
ほら 僕の体中 笑顔の君がいるから
背中を押してるから
でも返事はいらないから
≪旅立ちの唄 歌詞より抜粋≫
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「背中を押してるから でも返事はいらないから」という歌詞を見ると、やはり「僕」から「君」へ向けられた思いには、一方的なニュアンスがあります。
「僕」と「君」は、見返りを求めない愛をもつほどの親密な関係性、つまり恋人同士や親子関係なのではないでしょうか。
逆に、「僕」と「君」は、一方的に想うしかないくらい、遠い距離感の関係性だと考えることもできます。
例えば、生徒と先生という関係性だと、卒業すると会う機会がなくなり、一方的に幸せを願うことしかできないように思います。
また、「僕」と「君」のどちらかが亡くなっていると考えることもできます。
そのように考えると、天国へ旅立つ「君」を見送る唄とも、天国にいる「僕」がこれからも生きていく「君」の背中を押す唄とも捉えられるでしょう。
「僕」=ミスチルで、「君」=聴き手という解釈もできるかもしれませんね。
音楽に一方的に背中を押してもらった経験のある方なら、そういった捉え方をして聴いても、腑に落ちる部分があるでしょう。
このように、「僕」と「君」の関係性や、「返事はいらないから」の理由は、様々な解釈ができます。
聴き手それぞれに思い浮かぶ人は違うかもしれませんが、振り返られることを求めずに背中を押し、次の一歩を踏み出しやすくしてくれる楽曲だと言えるでしょう。
1992年ミニアルバム「EVERYTHING」でデビュー。 1994年シングル「innocent world」で第36回日本レコード大賞、2004年シングル「Sign」で第46回日本レコード大賞を受賞。 「Tomorrow never knows」「名もなき詩」「終わりなき旅」「しるし」「足音 〜Be Strong」など数々の大ヒット・シングル···