気付いたら、芸能界に興味を持っていた
──まずは、小関さんがなぜアイドルを目指したのかというところから聞かせていただきたいのですが、いかがですか?小関舞(以下、小関):物心ついたときから、自分は芸能界で将来頑張っていくんじゃないかという思いがあって。両親も、私が幼い頃から「芸能活動を頑張ってみたら?」と勧めてくれていたこともあり、小学生の頃から劇団などでレッスンを受けたりしていたんです。だから、何か大きなキッカケがあったというよりかは、気付いたら芸能界に興味があったという感じですね。
──なるほど。当時、憧れていた存在はいましたか?
小関:幼少期はアイドルよりも女優さんになりたいと思っていて。レッスンも歌やダンスというよりお芝居のレッスンや日本舞踊もやっていました。だから、アイドルに憧れがあったというわけではなかったし、アイドルソングを聴いて、歌ったり踊ったりすることは幼少期の頃はなかったと思います。
──そこからどういう変遷を辿って、アイドルに興味を持つのですか?
小関:お芝居のレッスンを受けていたのが小学校低学年。そこから高学年になっていくと世間ではアイドルブームがやってくるんです。AKB48さんを拝見したときにアイドルって楽しいって思ったんですよね。ファンとして応援することがすごく楽しかった。ライブに行ったりすることはなかったんですが、グッズを買ったり、MVをたくさん観てそれに合わせて歌ったり、踊ったりし始めたのがちょうど高学年の頃でした。
私は“自分が大好きな美人アーティスト”
──そこから小関さんはハロー!プロジェクトに加入してアイドルとして歩みを始めるわけですけど、その背景は?小関:ハロー!プロジェクト加入のキッカケは、母がオーディションに応募したからなんです。私はアイドルを応援する側の人間だったから、自分がなりたいという発想はなかった。でも、母が応募してくれたことによって火がついたというか。どんどんオーディションが進んでいって、もしかしたら受かるかもしれないと思い始めた時「よし、やってやろう!」とスイッチが入ったんですよね。
──やるからには、ちゃんとしたいという気持ちがあったんですね。お話を聞いていると負けず嫌いな性格でもあるのかなと思ったのですが、どうですか?
小関:小学生の頃は、すごく大人しい子どもでした。クラスの男子が怖かったりもして(笑)。今でこそ意外と思われるかもしれないけど、小さい頃は本当にそんな感じで。だから自分でも負けず嫌いだなんて思ったこともなかったんですけど、いざオーディションを受けてみると「この中で選ばれるのは数人しかいないんだ」という考えに至り、ここで自分を出さないとこのまま終わってしまって、届きそうだった夢に届かなくなってしまうと気付いたんです。そこでメラメラと今まで持ったことない負けず嫌いな部分が前に出てきたんですよね。
──オーディションが自分の性格を再認識するいい機会でもあったんですね。そんな負けず嫌いな性格が功を奏して夢を叶えられたわけですけど、アイドルになって感じたことはありましたか?
小関:ステージに立っているアイドルの姿ってとても輝いていたから、ステージ裏でも皆さん楽しんでいるんだろうなと勝手なイメージがあったんですけど、やっぱり華やかなステージの裏にはたくさん苦労や大変な場面があって。私は歌もダンスも好きだったけど、ちゃんと習ったことはない状態で、加えて研修生を経験せず本当に素人な状態でグループに参加したということもあり、そういう部分で苦労しましたけど、そりゃそうだよなと。皆さん、努力しているからこそ私が見ていた華やかで綺麗なステージが出来上がっていたんだと、アイドルをやってみて改めて感じました。
──カントリー・ガールズ時代でいちばん学んだこと、今の活動に通ずる教訓みたいなものはありますか?
小関:歌やダンスはもちろんなんですけど、ももち(嗣永桃子)先輩がプレイングマネージャーとしてリーダー的存在でグループにいらっしゃったので、MC力をすごく鍛えられました。こういった取材やイベントのMCでもそうですけど、キャラクターを全面に出さないとやっていけないし、ひと笑いは絶対取らないといけないみたいな!
──そんな芸人さんみたいな教えだったんですか?
小関:いや、本当に!「ただ穏やかに楽しく取材をするのじゃ何の意味もないよ」「最後はちゃんと落とさないと」みたいなことを毎回言われたりもして、最初はどういうこと?と思ったんですけど、それってすごく大事なことなんですよね。アイドルをやっていく上で、歌やダンスが上手いというのはもちろん大事だけど、キャラクターもすごく大事な部分だと思うので、そういう部分で個性を出して磨いていくということをももち先輩には教わりました。今でも生かされているなと思います。
──なるほど。小関さんのキャラクターをひと言で表すなら、何でしょうか?
小関:難しいな〜! “自分が大好きな美人アーティスト”でいかがでしょうか!
──いいじゃないですか! その心は?
小関:その心は、やっぱり私が培ってきたキャラクターって自分に自信があるということを全面に出しているというキャラだと思うんです。世間的に言えばナルシストみたいなキャラではあるけど、アイドルって絶対自分のことが好きだと思うんです。私は、それを隠さずに「私は自分のことが大好きだよ」って「自分にはこんなにいいところがある」ってことをただ単に自分の口で言っているだけというか(笑)。
カントリー・ガールズが結成された当時は12歳で、若さも売りにしていたし、グループの中でいちばん可愛くて美脚ということをアピールしてきた。そこから約10年が経って22歳になったんですけど、当時あった幼い可愛さも残しつつ、美人度が年々増していって!「舞ちゃんって子供のイメージがあったけど、すごく綺麗になったね」とソロデビューしてから言ってもらえるようになり、「最近、舞ちゃんの可愛さや綺麗さに気付いた」と言ってくださる人もいて。遅いよ!と思っているんですが……(笑)。年齢を重ねるたびに魅力が増していくし、スタイルの良さもどんどん磨きがかかって、自分でも困っているくらい。
自分に自信を持つことでさらに磨きをかけることもできるし、周りにも魅力的に思ってもらえることができるから、“自分が大好きな美人アーティスト”と、一言でアピールするならそこかなと思います!
──あの先輩があっての、この後輩な感じがしますね(笑)。自信に満ち溢れている!
小関:そうなんですよ! DNAが受け継がれているんです。
ソロとして歩み出した小関舞
──すごいな(笑)。今の話を聞いていたら、ソロでも全然やっていけるなと確信したんですけど、いざ1人で活動することになって、いかがですか?小関:ソロデビューする少し前は、ハロプロのOGが集まる、M-line Specialというライブでパフォーマンスをすることがたくさんあったりして、卒業して4年くらい経っているんですけど、1人でライブやイベントをすることがなかったんです。だから、寂しさや孤独を感じる場面というのが少なくて。でも、やっとソロシングルのリリースイベントやラジオや番組に出させていただくことも多くなっていく中で、私ってこんなキャラだから常にヤバい奴って感じになりつつあるんですよ(笑)。そこでやっとメンバーのフリって大事だったんだなと思いました。
ソロになって1人で活動していくことによって、さらにトーク力などを学ぶことが多くなったし、パフォーマンス面でも1人ってすごく大変だなと本当に感じました。ただ、大変ではあるけど、リリースイベントで私1人、小関舞だけに会いに来てくださっているというその事実がすごく嬉しくて。こんなに嬉しいことがあるんだと感じれたので、ちょっとソロ活動にハマっちゃってますね(笑)。
──流石ですね。ソロデビューが決まったときの気持ちって覚えていますか?
小関:大々的に発表があったわけではなく、「してみよっか?」みたいな感じでヌルッとお話があったので、最初はあまり実感がなかったし、本当にデビューするのかなという感じ。2024年に入って、楽曲制作の準備が始まったりしてから徐々に実感が湧いてきたんですが、2月にサプライズでファンの皆さんの前で発表したときに不安な感情やドキドキ・ワクワクな感情が一気に押し寄せてきて。ファンの皆さんが万歳して喜んでくれている姿を見たときに絶対に良い作品を届けられるように頑張ろうと決意しました。
──そんな状況の中、『涙のTomorrow / Yes! 晴れ予報』が完成したわけですが、どのような作品仕上がったと思いますか?
小関:ひと言で言うなら、今までの小関舞も新しい小関舞も魅せられる1枚になっていると思います。2曲、それぞれ異なるテイストで、それがこのシングルの良さだと思っているんです。『涙のTomorrow』という曲は、すごく大人っぽくて色気もあるんですけど、歌詞は切なくて、失恋ソングになっています。女性からしたら悲しいを通り越してムカつくという部分も表現されている歌詞で、歌うのには苦労した部分はありましたけど、そこをレコーディングでこだわるのも楽しくて。切なさを多めにするのか、怒りを多めにするのか、そういう塩梅を決めるのも楽しかったです。
──なるほど。アイドル時代にはなかったテイストでもありますよね?
小関:そうですね。カントリー・ガールズでは、可愛くてポップな楽曲を歌っていましたし、今回もそういった曲が来ると勝手に思っていたので。でも、私の大好きな失恋ソングがやってきて、最初の感想が“大好き”でした。
──音楽的にも面白いというか。歌謡曲っぽさもありながらハウスのビートを用いた仕上がりになっていますよね。制作は楽しかったですか?
小関:楽しかったですね。好きだと、どんどん捗るというか。こだわりたいという気持ちが湧いてくるので、レコーディングも3〜4時間くらいかけて、ディレクターさんとたくさん話し合いながら、テイクを重ねていった感じでした。実はダンスに苦戦して…私、手足が長くてスタイルがいいんですけど〜(笑)。
──うん、存じ上げておりますよ(笑)。
(笑)。事務所の方たちもそこを理解してくださっているので「小関には手足の長さを生かしたダンスをやってもらいたい」ということで、今までハロプロでお世話になったことがない先生に今回は依頼して、ワックという腕をたくさん振るダンスとか、女性らしいラインを意識したしなやかな動きを取り入れたダンスに挑戦したんです。ハロプロとは異なるダンスをするというのが、すごく難しかった。基礎からたくさん練習して筋肉痛になりながら、ずっとレッスンした思い出がありますね。
──なるほど。『Yes! 晴れ予報』はいかがでしょう?
小関:これはもうとにかく明るくて、今まで応援してくださっているファンの方が聴いたら「いつもの舞ちゃんだ!」と思ってくださる作品だと思います。『涙のTomorrow』が失恋ソングなので、この曲を聴いて『涙のTomorrow』の主人公には元気になってもらいたいなという感じではあるんですけど、そういう部分でもこの2曲は繋がっているのかなと。
──確かに地続きのストーリーでもおかしくない。
小関:『Yes! 晴れ予報』は恋愛とかではなく、誰にでも当てはまるというか、誰でも元気づけられる歌詞になっていて。〈人生一回きりのカーニバル〉なんて普段言わないじゃないですか。毎日仕事をして学校に行って、代わり映えしない生活を続けていたら、人生がカーニバルなんて到底思えない。人生って短いし、楽しい時間は気付いたときには終わってしまっていると思うんです。
学生時代によく思っていたけど、中学より小学校の方が楽だったし楽しかったと思ったり、高校に上がれば、中学の方がよかったって思ったりしたけど、これって大人になっても思うことだと思う。時が経つのはあっという間だからこそ、今を楽しんでいきたいということを歌詞で表現しているので、それぞれ疲れや悩みがあると思うけど、この曲を聴いて元気になってほしいなと思いを込めて私は歌っています。
──確かにそうですよね。小関さんは今楽しいですか?
小関:楽しいです!めっちゃくちゃ充実してる!
──よかった!そういう方が歌うべき曲だと思うし、小関さんだからこそ表現できる曲だと思いますよ。
小関:そうなんです!ありがとうございます!
──ちなみに、小関さんとって、歌って踊ることはどういう意味を持っていますか?
小関:そうですね〜。歌とダンスは、その時々の感情や気分によって変えられるものだと思っていて。歌も生歌だと聞こえ方が変わりますし、ダンスも力加減によって見え方が変わると思うんです。それがライブ、生の良さだと思っているので、お手本通りにやろうとは思っていなくて、その日の自分の気分とか、お客さんの盛り上がりの感じで歌い方や踊り方を変えていくというのが大事で。ひと言で言うなら、今の感情を出すことができるものかな。
──小関さんが人生を歩む上で、ダンスと歌は欠かせないものになっている?
小関;間違いないです。今後も続けていきたいです。もし今後、歌やダンス以外のお仕事をすることになっても、歌って踊るということは続けていきたいですね。
──歌って踊る以外のお仕事は何をやってみたいですか?
小関:うーん、このキャラクターなのでバラエティーに向いていると思うんですけど、なんでも向いてると思っていて。それこそスタイルがいいからモデルも出来るし、美人だから女優さんも出来るし、歌もダンスも上手いからアーティストにもなれるし、話も上手いからラジオも出来るし、可能性は無限大。だから、私が決めるのはもったいないかなと。
──あなたたちが決めてください、という感じ?
小関:皆さんからのオファーには、なんでも答えられますので!という感じです(笑)。
──あはは(笑)。望み通りの解答をありがとう!さすがです!
小関:ずっと笑ってらっしゃったので、何か期待されているなと思いました(笑)。
想像を超えるパフォーマンスを続けていく
──UtaTenでは恒例の質問がありまして、好きなフレーズや歌詞を聞いているのですが、『涙のTomorrow / Yes! 晴れ予報』の2曲で、好きなフレーズはありますか?小関:難しいな〜。『涙のTomorrow』は、〈ねえ…ばかみたいだな、私 ばかだとわらってよ〉というサビの最後に出てくるフレーズ。リズムがキャッチーで、サビの最後に毎回出てくるものではあるんですけど、このフレーズこそライブによって歌い方を変えられるので、すごく落ち込んで歌うことも出来るし、逆に言えば、吹っ切れて「ばかだったな…」という感じに自分のことを笑ってよ、という風にも捉えることができる。人によって捉え方が変わる歌詞ってすごく面白いなと思います。
──なるほど。『Yes! 晴れ予報』はいかがですか?
小関:〈新しい服で新しい私で 会いにいくよ〉というフレーズかな。服っていうのは本当に新しい服なのかもしれないけど、1つの仮面というか、自分の中のフィルターというか、そういったフィルターを変えていこうみたいなニュアンスじゃないかなと私は思っていて。〈突然の雨に降られ 心まで濡れて乾かなくても〉って少しネガティブな歌詞が前には出てくるけど、心を入れ替えて、新しい私で頑張っていくよとポジティブに変換されていくのがすごくいいなと思います。
──小関さんとお話していて、ライブ感を大事にしているなと思ったんですけど、小関さんにとってライブとはどういうものですか?
小関:私はステージに立ってパフォーマンスをしながら皆さんに思いを届けているけど、いつも逆に皆さんから元気をもらっていて。それを強く感じたのは、カントリー・ガールズのとき。ももち先輩が卒業されてからは、学業を優先しながらという活動が多かったので、1年に出来るライブの本数がすごく限られていたんです。その状況下でライブをすると、やっぱり緊張するし、普段は学生として過ごしていたので、いざステージに立ったとき皆さんが小関舞として観てくれるのだろうかという不安もありました。
そんな中、皆さんがペンライトを持って一生懸命、コールで応援してくれたことにすごく勇気と元気をもらった。私も、もちろん皆さんに元気になってもらうためにパフォーマンスしているけど、私の方が皆さんから元気をもらっちゃってばっかりなんです。だから、ライブはお互いに高め合える場所なのかなって。
──お互いのエネルギーを交換できる場所ではありますよね。
小関:そうですね!届けるだけじゃないのがライブだなって思います!
──いいですね。きっとソロとして今後もライブをやっていくと思いますが、目標や展望も教えていただけますか?
小関:小関舞としての楽曲は、まだアディショナルも含めて5曲だけなんですけど、やっぱりもっともっと曲を増やしていきたいですし、それこそセカンドシングルも出してソロライブもやっていきたい。新しい表現もどんどんしていきたいし、歌やダンス以外のお仕事をして、違う場所で私のことを知ってもらって、「小関舞ちゃんって曲も出しているんだ」と興味を持っていただくことも大事だと思っています。
アイドル時代から応援してくださっている方には、違うお仕事をしたときに、さらに応援していただけるよう、色んなことに挑戦していきたいと思っています。皆さんを飽きさせない、毎回期待を越えられるようなパフォーマンスや活動をしていきたいです!
TEXT 笹谷淳介
PHOTO 井野友樹