メロディはひとつ、でも歌詞は・・・
童謡『はないちもんめ』は歌だけではなく、「子どもたちの遊び」としてもご存じの方は多いのではないでしょうか。
わらべうたに親しむだけではなく、体を動かす・コミュニケーション能力を養うといった目的で保育園などでも取り扱っているそうです。
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勝ってうれしい花いちもんめ
負けてくやしい花いちもんめ
たんす長持ちどの子が欲しい
あの子が欲しい
あの子じゃわからん
相談しよう そうしよう
≪はないちもんめ 歌詞より抜粋≫
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『はないちもんめ』の基本的な手順をざっくりとまとめてみました。
①ふたつのグループに分かれてそれぞれ手を繋いで一列になります。
②みんなで歌いながら、お互い近づいたり離れたりします。
③歌が終わったらチームごとに相談の上、相手チームから欲しい子を選び、選ばれた子はじゃんけんをします。勝てばどんどんメンバーは増えますが、負ければ相手チームに取られてしまいます。
④片方のグループが誰もいなくなったら終わりです。
実はこの『はないちもんめ』、メロディはほぼ大差ないのですが、歌詞が地域によって大幅に異なるそうです。
一つの曲にここまで歌詞が異なるのはなかなかないのではないでしょうか。
そこが『はないちもんめ』のもつ深い意味と関係があるかもしれません。
『はないちもんめ』でいう勝ち負けとは
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勝ってうれしい花いちもんめ
負けてくやしい花いちもんめ
≪はないちもんめ 歌詞より抜粋≫
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この遊びはこの決まり文句から勝負が始まります。
この部分だけはどの地域も同じようで、それほどこれが真剣勝負ということが伺えますね。
ところで、この歌では何を競っているのか。
それは「はないちもんめ」という言葉自身に大きな意味がありました。
はないちもんめは漢字で「花一匁」と表記します。
「匁(もんめ)」とは重さの単位のひとつだそうですが、江戸時代には銀貨の単位としても使われていたそうです。
「一匁」は今の値段にするとおおよそ2100円くらいだとか。
そうすると「花一匁」は「お花、約2100円」という意味になります。
ところが実はこの「花」に恐ろしい意味がありました。
この花はお花屋さんで売られている綺麗な植物の「花」ではなく、「女の子」を意味する言葉と言われています。
つまりこの歌は勝ち負けというよりは売買を意味する歌になるのではないでしょうか。
はないちもんめの一列に並ぶ意味とは
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たんす長持ちどの子が欲しい
≪はないちもんめ 歌詞より抜粋≫
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この箇所では片方がお店、つまり「女の子」を揃えている側となります。
「たんす長持ちどの子が欲しい」は「たんす 長持ち どの子が欲しい」と区切ることができるのではないでしょうか。
この子にはこういう特徴、あの子にはこういう特徴・・・というように、女の子それぞれをこの短い単語で紹介しているように思われます。
また「はないちもんめ」の遊びでは一列に並びますが、遊廓のように女の子を見える形で並べているというところと似ていますね。
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あの子が欲しい
あの子じゃわからん
相談しよう そうしよう
≪はないちもんめ 歌詞より抜粋≫
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歌の最後にはお客と店側のやり取りのようなものが歌詞に垣間見えます。
こそあど言葉で子供を指名するのでお店側は「それじゃ、わからん」と突き放します。
お客が食いついてきたら少し突き放す戦法はなかなかやり手に感じますね。
交渉が続き、歌の終わりにはそれぞれのチームで相談が始まります。
そしてその後、名前による指名になり、じゃんけんによってその子が得られるかどうかきまります。
ここまで長い交渉をして一瞬で決まる、本当に「勝ってうれしい」「負けてくやしい」という言葉通りですね。
意味を知ると怖いものが多い童謡
童謡は昔の風習や生活などをそのまま歌にしているものが多いように見受けられます。ストレートに表現しているのは子供の純真さか、はたまた子供ならではの残虐さの表れか。
逆に昔の様子を知る手がかりとして童謡を調べてみるのもアリかもしれませんね!
皆さんはお気に入りの童謡や聴き慣れた童謡はいくつありますか?
もしかしたら意外と知らなかった事実やこんな風景を書いていたの?!と驚くかもしれません。
一度じっくり調べてみてはいかがでしょうか。