宇多田ヒカル「First Love」
"平成の歌姫"の呼び名に彼女はふさわしい。NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主題歌を担当する宇多田ヒカルだ。曲名は『花束を君に』。4月4日のドラマ初回でお披露目されたかと思えば、『NEWS ZERO』のエンディングテーマ『真夏の通り雨』も同日夜に発表され、本格的な活動再開の口火を切った。
もともと宇多田は2000年代前半を中心に爆発的人気を誇った。"音楽プロデューサー:宇多田照實と歌手:藤圭子の娘"と私たちの親世代は認識しているかもしれないが、自由奔放な帰国子女キャラが歌い上げるR&Bソングは日本中を虜にした。アルバム『First Love』は、国内だけでも860万枚のセールス記録を誇り、日本のアルバムセールス歴代No.1で未だに破られていない大記録だ。
そして彼女の数多くのヒットチューンの中でも、No.1アルバムと同名の『First Love』の印象は非常に強い。生徒役の滝沢秀明と先生役の松嶋菜々子が禁断の恋に溺れていくさまを描いたドラマ『魔女の条件』は、平均視聴率21.5%、最高は最終回の29.5%を記録する大ヒット。シリアスなドラマの世界観とマッチした主題歌『First Love』はオリコンのカラオケチャートで15週1位に輝く人気を博した。
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最後のキスは
タバコのflavorがした
ニガくてせつない香り
明日の今頃には
あなたはどこにいるんだろう
誰を想っているんだろう
You are always gonna be my love
いつか誰かとまた恋に落ちても
I'll remember to love
You taught me how
You are always gonna be the one
今はまだ悲しい love song
新しい歌 うたえるまで
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誰しもが知っているフレーズから歌詞はスタートする。彼との別れを嘆く女性の情熱的で感情的な世界観だ。いつも何気なくしていたキスも、最後になったなと思い返すと彼の吸っていたタバコの風味がした。苦さが懐かしく、切なく胸を打つ。
「臭い」とか「体に悪いから辞めろ」とか言ってたけど、別にタバコ嫌いじゃなかったよ…アナタを感じられたから。
明日誰かを想う彼のことを考える彼女。
たとえ別れたとしても私の心の中にアナタはずっといるよ。人を愛する方法を教えてくれたのはアナタだった。今はまだ悲しい曲しか耳に入ってこないから、新しい恋の歌が歌えるようになるまでアナタを好きなままで居させてください。
なんと儚い恋心か。
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立ち止まる時間が
動き出そうとしてる
忘れたくないことばかり
明日の今頃には
わたしはきっと泣いてる
あなたを想っているんだろう
You will always be inside my heart
いつもあなただけの場所があるから
I hope that I have a place in your heart too
Now and forever you are still the one
今はまだ悲しい love song
新しい歌 うたえるまで
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情熱的なバラードナンバーに載せて、ストレートな歌詞が後半も続く。思い出が過去にならないために、ずっと今のままで時間が止まればと彼女は嘆く。
私の心の中にはアナタだけの場所を残してるよ。だから、アナタの心にも私のいる場所があってほしいな。今だって、これからだって、ずっとアナタは私のオンリーワンのまま。だから、まだ新しい曲を聴いても悲しく聞こえてるんだ。
彼女の苦痛の叫びは彼に届いているのだろうか。
宇多田ヒカルは今年で33歳。公私ともに大人になった宇多田が歌う朝ドラの主題歌も魅力的だが、ドラマ自体も高視聴率を記録してお茶の間を離さない。これからどんな活躍を見せるのか彼女に期待しよう。
TEXT:田中利知 https://twitter.com/toshichika8855
