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童謡「秋の子」歌詞の意味を考察!子どもたちの姿から見る昭和の日常とは?

1954年に発表された童謡『秋の子』は、秋の風景の中で暮らす子どもたちの何気ない日常を綴った楽曲です。懐かしくて温かい情景の中に、どこか寂しさも感じる歌詞の意味を紐解きます。

秋ならではの風景の中で遊ぶこどもたち


日本には四季折々の風景を描いた童謡が数多く存在し、時代を超えて人々の心を楽しませてきました。

特に、不思議とノスタルジックな気分になる秋にスポットを当てた童謡は、聴く人にかつての記憶を蘇らせ、郷愁の思いを起こさせるものです。

1954年に刊行の雑誌「アサヒグラフ」の「新童謡歳時記」に、楽譜付きで掲載された『秋の子』も、そんな楽曲の1つ。

『秋の子』は、作詞を『うれしいひなまつり』や『ちいさい秋みつけた』などの作詞者として知られるサトウハチローが、作曲を、東京大学の魚類学者で作曲家としても活動していた末広恭雄が務めました。

どのような秋の情景を切り取っているのか、歌詞の意味を考察していきましょう。

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すすきの中の子
一、二の三人
はぜつりしてる子
三、四の五人
どこかで やきぐり
やいている
つばきを のむ子は
何人だろな
≪秋の子 歌詞より抜粋≫
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この楽曲では、秋らしい風景の中で思い思いに過ごす、子どもたちの様子が綴られています。

秋になると黄金色に輝く「すすき」は1m〜2mもの高さにまで伸びるため、子どもたちがすすき畑の中に入ると体がほとんど隠れてしまいます。

揺れるすすきの穂の間から子どもたちの頭が見え、主人公はその数を数えているようです。

目線を移すと、水辺では「はぜつりしてる子」が5人ほど見つかります。

ハゼは秋がベストシーズンのため、これも秋らしい光景です。

今度は、風に乗って「どこかで やきぐり やいている」香りが漂ってきます。

ここで出てくる「つばき」とは唾のことで、美味しそうな焼き栗の香りに何人の子どもたちが唾を飲むだろうと考えているようです。

幼い子をおもりする年長の子どもたち


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かきの実みてる子
一、二の三人
さよならしてる子
三、四の五人
ごはんに なるまで
おもりする
おんぶを する子は
何人だろな
≪秋の子 歌詞より抜粋≫
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2番では、少し時間が経過したことが見て取れますね。

目一杯遊んだ子どもたちは、背の高い木の枝になっている「かきの実」を物欲しそうに見つめています。

また、ある子どもたちは帰宅時間が迫っていて、そこに残る子たちに「さよならしてる」のが見えます。

少し年齢が大きい子は、幼い子を「ごはんに なるまで おもりする」のが、いつもの光景のようです。

幼い子が遊び疲れたら、きっとおんぶをしてあげるのでしょう。

そのことを想像すれば、親の代わりに面倒を見る子どもに対する、優しい気持ちが込み上げてきます。

そして同時に、かつて自分がそうしていた頃を思い出し、懐かしい気持ちを抱いている様子も垣間見えるでしょう。

人が持つ温かさや、子ども時代の特別な時間の流れが表現されているように感じられます。

こおろぎの鳴き声を寂しく聞く子どもたち


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ひぐれに走る子
一、二の三人
ふろたきしてる子
三、四の五人
こおろぎ あちこち
なきだした
さみしく 聞く子は
何人だろな
≪秋の子 歌詞より抜粋≫
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3番ではさらに時間が経過し、日が暮れ始めます。

数人の子どもたちが、夕焼けの中を家まで走って帰っているようです。

ある家では子どもたちが家事を手伝い、「ふろたきしてる子」がいるのが分かります。

今では蛇口をひねるだけで簡単にお湯が出ますが、この楽曲が生まれた1954年頃はまだガスさえ普及していません。

当時は多くの家庭で、風呂の準備が子どもの仕事となっており、重労働な水汲みや風呂釜の掃除、風呂焚きまで行って家族を支えていました。

その中には、自ら進んでする子もいれば、外の暗さに怯えたり重労働に苦戦したりする子もいたことでしょう。

どちらにしても、大人になって思い返すと、懐かしい思い出となって蘇ってくるものです。

夜になると「こおろぎ」があちこちで鳴くのが聞こえるのも、秋らしい情景。

しかし、それを「さみしく 聞く子」がいることに言及しています。

おそらく、その子どもは病気を患っているせいで、ほかの子どもたちのように外で元気よく遊べないのでしょう。

夜が来てこおろぎの声が聞こえると、また今日も寝床で過ごすだけだった…と感じたのかもしれません。

秋の日常を満喫する子どもたちがいる一方で、寂しく過ごす子どもたちがいることも取り上げている点に、サトウハチローのセンチメンタルで優しい人柄が伝わってきます。

秋は郷愁の思いに浸ってみよう

童謡『秋の子』は、昭和の秋を生きる子どもたちの様子が穏やかに綴られた楽曲です。

ゆったりとしたメロディに歌詞が乗ると、穏やかで懐かしい気分になる方もいれば物悲しい気持ちになる方もいるでしょう。

聴く人それぞれが自分の原風景に思いを馳せられる印象深い日本の名曲です。

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