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童謡「春の小川」の歌詞の意味を考察!100年の時を経ても愛される理由とは。

発表から100年を超えてもなお多くの人々に愛される童謡「春の小川」。数々の名曲を生み出してきた作詞作曲家コンビが繰り広げる素晴らしい魔法とともに、じっくりと歌詞の意味や曲の背景に触れていきたいと思います。

最強タッグによって生みだされた名曲


この童謡は作詞家・高野辰之と作曲家・岡野貞一によって1912年に発表された文部省唱歌です。

歌詞は他の人の手によって2回ほどその時代にあった形に改変したようですが、もとの歌詞を尊重しつつ変更しているため大幅な意味の変更はないようです。

高野が並べる美しい日本語と岡野が紡ぐ耳に残るメロディのためか今でも春を代表する曲として親しまれています。

高野辰之と岡野貞一タッグはかなり多くの童謡を残し、今でも人々に愛されています。

2人がつくった曲で有名なのは『故郷』『朧月夜』『春がきた』『もみじ』などがあります。

この曲は全てみなさんも聞いたことや歌ったことがあるのではないでしょうか。

それほどこの2人は後世に残る作品を残してきた最強タッグと言っても過言ではありません。

高野マジックから始まる曲


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春の小川は
さらさらいくよ
≪春の小川 歌詞より抜粋≫
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春の小川』は春の季節に色めく小川やそこに集う生き物たちの様子を歌にしています。

1912年に発表された構成は3番形式でしたが、1942年に歌詞が口語体に改変された際に3番が除去されたそうです。

なので人によっては3番までを知っている人もいらっしゃるそうです。

1番も2番も歌い始めが同じで「春の小川はさらさらいくよ」で始まります。

小川が流れる音を「さらさら」で表現するところが高野マジックですね。

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岸のすみれや
れんげの花に
すがたやさしく
色うつくしく
咲けよ咲けよと
ささやきながら
≪春の小川 歌詞より抜粋≫
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1番では小川の周りに咲くすみれ、れんげの花を描いています。

決して花の視覚的特徴は歌ってはいませんが、「すがたやさしく 色うつくしく」の言葉だけで、そこに咲いている花たちの物腰やわらかそうな雰囲気が手に取るように見えてきますね

改変前の歌詞では「すがたやさしく」は「においめでたく」となっていました。

「良い香り」と視覚的だけではなく嗅覚的にも歌っているのはとてもたくさんのすみれやれんげが咲いていたことがわかります。

きっと高野がいつも歩いていた風景だったのではないでしょうか。

平和の象徴


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蝦やめだかや
小鮒の群に
今日も一日
ひなたに泳ぎ
遊べ遊べと
ささやきながら
≪春の小川 歌詞より抜粋≫
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2番では蝦(えび)やめだか、小鮒(こぶな)といった生き物たちが描かれています。

この生き物たちが同時に集っているのかは定かではありませんが、一日ひなたにいる時間に集まってくるのでしょう。

晴れた日に花々がさく小川に集まってくる生き物たちが思い思いに水浴びをするその風景は平和の象徴ともいえますね。

100年の時を超えても愛される理由


春の小川』が発表された1912年は世界でも日本でも大きな事故が多い年でした。

タイタニック号の沈没、北海道の夕張炭鉱での2度の爆発事故、大正元年の台風による漁船や列車の転覆など。

事故の他にも世界では第一次バルカン戦争勃発など、人々の不安を煽る1年でした。

そんななか、この曲が発表され、2度の歌詞の改変があってもなお現在に至るまで人々に愛され続けるのは、その風景がイメージしやすい歌詞とそれにピッタリな音楽だからでしょうか。

シンプルなメロディでゆっくりと繰り広げられる優しい音楽とそれに乗って紡がれる美しい日本語、その日本語が綴る想像しやすくほっこりとした風景。

聞いているだけでも安心する曲だと思います。

特に日本では明治天皇が崩御され、大正時代という新しい時代の幕開けを迎え、少し緊張の纏う年であったがゆえに、この曲は人々の心を癒す曲になったのではないでしょうか。

それを目的に作られたわけではないですが、結果として100年の時を経ても日本人に愛される曲となりました。

音楽は決して目に見えるものではないですが、人々に多大なる影響を与えるというのはこうした童謡をみると実感しますね。

そして日本は美しい風景をもつ国なのだと改めて思います。

この美しさを大事にしていきたいです。

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