SUPER BEAVER「涙の正体」がドラマ「バニラな毎日」主題歌に決定
SUPER BEAVER『涙の正体』は、NHKで放送中の夜ドラ『バニラな毎日』の主題歌で、1月24日に配信リリースされました。
自分の洋菓子店を営んでいた主人公が経営難の末、閉店を味わうところから始まる物語。
スイーツ作りを通して生まれる、人と人の心の交流を描いたドラマ主題歌のタイトルとして、『涙の正体』は非常に気になります。
言葉こそ強くないものの、静かに胸を刺してくるような歌詞。
スイーツを通して人の心に寄り添うドラマの主題歌として、SUPER BEAVERが何を提示しているのか、歌詞を深掘りして読み解いていきましょう。
秘密にしたいのにバラしたい心の葛藤

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誰にも言えなかったこと
誰かに見つかってしまいたいこと
「いっそ、あとひと押しになって」
≪涙の正体 歌詞より抜粋≫
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秘密にしておきたいような、バレてしまって欲しいような。
『涙の正体』の歌い出しは、矛盾した感情から始まります。
誰にも言わなければ知られずに済む事。
けれど、いっそバレてしまえば楽になれる事。
「いっそ、あとひと押しになって」
という歌詞からは、バレてしまう事で背中を押して欲しいという願いがにじみ出ているようです。
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押し殺すのは 弱さにもまして
気が付いて 気を遣えてしまう 優しさの 副作用
≪涙の正体 歌詞より抜粋≫
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本音を吐き出すよりも、周りの気持ちが分かってしまう繊細な心。
その優しさを「副作用」と表現しているところに、この心の持ち主の闇を感じます。
気遣える優しさを誇れない。
息苦しさを感じてしまう心。
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あるがままじゃ わがままかな
それじゃ、信念ってなんだ?って
せめぎ合っている ずっと せめぎ合っている
≪涙の正体 歌詞より抜粋≫
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あるがまま、自分らしくいられたら、どんなに楽でしょうか。
そうできない人たちの心の叫びを代弁しているような歌詞が印象的です。
自分らしさを出して、気遣うことをやめるのか。
優しい自分の殻を破れないまま過ごすのか。
どちらが正解という事はないのかもしれません。
だからこそ難しく、「せめぎ合っている」のでしょう。
「真面目な矛盾」「我慢を嗜んで」という表現に、遊び心のない、張り詰めた心の息苦しさを感じます。
蓋をした心から溢れ出す切実な本音

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言葉より早く こみ上げる涙
そこに人生が あなたの正体が
答えはあるんだよ
泣いてしまった その心は真実さ
信じてよ 涙の正体を
≪涙の正体 歌詞より抜粋≫
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どんなに素直になれなくても、身体は正直です。
気持ちを言葉にするより早く溢れ出す涙こそが、自分の本心。
訳も分からず涙が溢れる時、本人も気付かない内に心が限界を迎えているのでしょう。
こぼれ落ちた心の声に蓋をしないで、耳を傾けて欲しい。
そんな祈りのようにも聞こえる「信じてよ 涙の正体を」という歌詞が胸に刺さります。
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諦めきれなかった 愛されたかったんだ
全員に好かれなくても 嫌われたくもないよ
諦めきれなかった 愛されたかったんだ
誰にも言えなかったこと
≪涙の正体 歌詞より抜粋≫
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万人に好かれなくてもいいから、誰かに愛して欲しい。
集団生活している人間にとって、人の目には常に晒されるものです。
人からどう見られているか、嫌われていないか。
どれくらい敏感に感じ取るかは人それぞれではありますが、「愛されたい」という思いは、誰しも心の奥底に抱えているものかもしれません。
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あるがままじゃ わがままかな
なら、自分とはなんだ?って
せめぎ合っている 今日も せめぎ合っている
でも忘れないで 誰の日々を生きているんだよ
今、何を願っている?
≪涙の正体 歌詞より抜粋≫
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「愛されたい」なんて言えば、人に笑われるかもしれない。
恥ずかしくて、胸の奥底に隠したまま、ずっと一人で苦しんでいる人もいることでしょう。
「誰の日々を生きているんだよ」という問いかけに、ドキッとさせられた人もいると思います。
”誰でもない自分の人生を生きているからこそ、本音と向き合おうよ”
そんなメッセージを強く感じます。
歌詞の考察から考える「涙の正体」の意味

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堪えきれなくて 溢れ出す涙
そこには背景が 葛藤と解決が
理解より早く 泣いてしまった その心が
自分そのものだ
≪涙の正体 歌詞より抜粋≫
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抑えきれない本心が溢れ出したものが、「涙の正体」です。
長い間、押し殺してきた本当の気持ち。
いい加減、目をそらすのはやめて、向き合う時が来た。
そんな宣言のようにも聞こえます。
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言葉より早く こみ上げる涙
そこに人生が あなたの正体が
答えはあるんだよ
泣いてしまった その心は
その心だけは 真実さ
信じてよ 涙の正体を
≪涙の正体 歌詞より抜粋≫
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誰かに愛されたいと願う事。
認められたいと願う事。
心の声は幾通りもあれど、その声に耳を傾けられるのは自分だけです。
恥ずかしいとか、みっともないとか、わがままだとか。
そんな体裁を気にするのはやめて、自分で自分の気持ちを抱きしめてあげよう。
限界を迎えた心から出されたSOSを見逃さないように、今度こそきちんと受け止められるように。
『涙の正体』で歌われているのは、涙に隠された自分の本心を受け入れる大切さです。
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愛してよ 自分の正体を
≪涙の正体 歌詞より抜粋≫
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「愛してよ 自分の正体を」という最後の歌詞に、自分を許してあげて欲しいという、SUPER BEAVERの切なる願いが込められているように感じます。
真面目で優しい人ほど、他人に甘く、自分に厳しくなりがちなもの。
心の叫びから目をそらし、蓋をして、「わがまま」という言葉で塞いでしまう。
それは、とても苦しい事です。
そうして蓄積した疲れが爆発してこぼれ落ちた涙なら、その涙はしっかりと受け止めてあげなくてはいけません。
SUPER BEAVERの『涙の正体』は、頑張り過ぎてしまう人に、優しい人に、「自分に優しくしてあげて」と囁く応援ソングなのではないでしょうか。
たまには、心の声に耳を傾けて、自分の気持ちをしっかりと抱きしめてあげる事も大切かもしれませんね。
SUPER BEAVER(スーパービーバー)。 渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“35才”広明(Dr)の4人によって2005年に東京で結成された。 2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビュー。 2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、···
