「ドラマに出演できるよ」という母の声からこの世界へ
──早速ですが、まずは浜浦さんがなぜこの世界を目指したのか?から教えてください。
浜浦彩乃(以下、浜浦):元々小さい頃からお芝居が好きで、女優さんになりたいと思っていたんです。その夢は母にも伝えていたんですが、「じゃあ、このオーディションを受けてみたら?」と勧めてきたのが、ハロー!プロジェクトのモーニング娘。9期オーディションでした。
そこから、オーディションを受けて、ハロプロ研修生としてキャリアがスタートしました。なので、気付いたらダンスや歌をやっていた。
ハロプロの先輩方を間近で見て、ハロプロが大好きになって、私もハロプロでデビューしたいと思ったし、2015年にこぶしファクトリーでデビュー出来たことは、とても嬉しい出来事でした。
──なるほど。でも、なぜお母さんはハロプロを勧めたんだろう。
浜浦:両親が元々、ミニモニ。世代で好きだったんですよ。だから車の中で聴いていた思い出もありますし、ミニモニ。のマグカップがまだ家に残っていたり(笑)。
あとは、『おはスタ』を観ていたときに、モーニング娘。のオーディションが開催されることを知ったんですけど、それを観て母は「これを受けたら、ドラマに出演できるよ」って(笑)。
──ご両親も浜浦さんの芸能活動には前向きだったんですね。
浜浦:記憶はあまりないんですが、2歳のときには子役オーディションを受けていたみたいで。母はその当時から芸能のお仕事を私にさせたかったんだと思います。
ミニモニ。の他にもピンクレディーが好きだったことを知っていたので、アイドルという存在が母は好きだったのかもしれませんね(笑)。
“基礎”を作った、5年半
──2015年から2020年まで約5年半の月日をこぶしファクトリーとして過ごされたわけですが、浜浦さんにとってこの期間はどんな時間でしたか?
浜浦:実は、歌うことが苦手でハロプロに入るまで歌った記憶があまりなかったんです。オーディションでも、リズムやメロディがあることも知らずに歌っていました。
そこから基礎を叩き込まれたというか、つんく♂さんと2〜3時間ずっと16ビートの練習をすることもありましたし、浜浦彩乃の土台を作っていただいた期間だと思います。
また、こぶしファクトリーとしての5年半の中で、ミュージカルや映画にも挑戦させていただいて、すごく充実した期間、自分のやりたいこともやらせていただきながら、しっかりと基礎を叩き込んでいただいた時間だったなと思います。
──この5年半という期間は、アーティスト・浜浦彩乃を構築する上でも大事だったと思いますが、ある種人間的な成長にも大きな影響をもたらした期間だと思うんですね。いわゆる思春期という時期に活動をしていたと思いますが、人としての成長で感じる部分はありますか?
浜浦:確かに、人間的な部分ではすごく強くなったと思います。本当に紆余曲折ありましたから。
8人でデビューしてすぐ3人が抜けることになり、5人で活動することになったり、歌唱で言えば、アカペラにも挑戦したり。本当にいろんなことがあって、自分は強くなった。周りから何を言われても鋼のメンタルでいれることは、この経験があったからだと思うんです。
ソロになって、舞台などでいろんな共演者の方やスタッフさんに出会うようになっても、ハロー!プロジェクトで私がやってきたことはすごく大事なことだったんだと改めて感じることが多いですし、挨拶や礼儀、本当に“基礎”を学べたと思います。
──浜浦さんにとって重要な5年半だった。
浜浦:本当にそう思います。
──ちなみに歌が苦手だったところから、どの辺りで歌いたい・踊りたいという欲が出てくるんですか?
浜浦:ハロプロ研修生時代、同期が2人いたんですけど、その2人はどんどん先輩のバックダンサーとかツアーに帯同していく姿を間近で見ていて。すごく悔しかったんです。
元々、負けず嫌いな性格もあると思うんですけど、もっと頑張らなきゃいけないと思ったのが12歳くらいですかね。
そこから、スマイレージさんのツアーに帯同させていただいて、ハロプロ研修生として初めての曲だった「彼女になりたいっ!!!」もそのツアーで初披露させていただいて、その辺りから歌って踊ることに対して気持ちも変わりましたし、デビューすることに対して気持ちが強くなりましたね。

──悔しさをバネにデビューしたときはとても嬉しかったのでは?
浜浦:嬉しかったですね! ちょうど中学3年生、進路のこともあって辞めようか考えていた時期でもあったんです。
周りの後輩がどんどんデビューしていく中、まだデビュー出来てない状況からのこぶしファクトリー結成だったので、今振り返るとギリギリだったなと思います(笑)。
──人生のターニングポイントですね。
浜浦:まさに!
生きていると感じる瞬間
──ソロになってから浜浦さんは“演じる”方へシフトしていきますよね。元々やりたかった演技というフィールドで戦ってみて、感じたものはどんなものでしたか?
浜浦:1ヶ月稽古して、1ヶ月本番。約2ヶ月間くらいしか同じキャストと時間を共に出来ないというのは、コミュニケーションの部分で難しさを感じました。し、今まではこぶしファクトリーのメンバーやハロプロの中のメンバーなど、ある程度人となりが分かった状態で舞台をやっていたのが、全く別物という感じで最初は苦労しました。
年上の方にどう伝えるのか、そこも難しかったです。
でも、最近は自分からコミュニケーションを取れるようになりましたし、自分の意見もしっかり言っていいんだなと気付きましたね。
──そう思えるきっかけはあったんですか?
浜浦:作品をよりよくしたいという気持ちが強くなったんだと思います。
ヒロインや主演をやらせていただく機会も増えてきて、私がこの作品をしっかりと背負わないといけないという責任感が生まれてきましたし、演出家の方や共演者とも密にコミュニケーションを取って「ここはこういうふうにしたい」と話せるようになったのが大きいです。
──それってきっと演じることに慣れたと言ったら変ですけど、余裕が生まれたということですよね。
浜浦:そうですね。最初は自分のことでいっぱいいっぱいだったけど、だんだんと意識が変わっていきました。
そうやって周りが見えるようになったことと、年下の子と共演することが増えて、「私はもう新人じゃないんだな」というか(笑)。
私が経験してきたことを年下の子にも伝えていきたい、少しでもそういう子たちの力になれたらいいなと今は思えます。
──素晴らしいですね。浜浦さんにとって“演じる”ことはどんな位置付けなんですか?
浜浦:生きていると感じる瞬間ですね。正直、浜浦彩乃の人生を胸張って歩けているかどうか、現時点ではあまり自信がないんですけど、役として生き生きとして生きる自分、泣いたり怒ったり笑ったりする時間が一番しっかりと感情を出せているなと思うんですよ。
だから演じているときは生きてるって思う。
普段の自分は人に気を遣ってしまうし、感情をストレートに出すのが苦手、でも役になるとそれが出来るんです。だからこそ、お芝居から離れると暗くなっちゃう……(笑)。お芝居がないと生きていけないなって。
──普段溜め込んでいる感情を発散するためにも“演じる”ことは重要なものであると。
浜浦:そうですね。役が一つ乗っかることで、伝えられることがたくさんあるのかなと思ったりもします。
新しい浜浦彩乃を見つけた
──でも、今回はアーティストしてソロデビュー。役を演じるわけにはいかない状況でもありますよね?
浜浦:そうなんですよね〜(笑)。舞台だと別の人間として演じられるので、緊張もしないんですけど、浜浦彩乃として立つ舞台は緊張しちゃう。
リリースイベントをする中で思ったのは、自分が自分のことを知らないんだなということで……(笑)。
ファンの方の方が分かっているのでは?と思うこともしばしば。
役だと探求できたり、自分でこういう役だからこう表現しようというものがあるんですけど、自分自身のことはよく分かってないので、ソロライブが一番緊張する。
──こぶしファクトリーの時は、メンバー共にステージに立っていたわけだし、舞台だって共演者がいる。ソロとして舞台に立つのは緊張しちゃいますよね。
浜浦:そうなんですよ! メンバーがいたからこそ安心していたと思うし、こぶしファクトリーの中の位置付けもあって、私は裏番長と呼ばれていたんですけど、そういうポジションでずっといれたんだなと。裏番長でいれたから、よかったんだなと思ったり。
1人だと楽屋とかも静かですし、心細いなって(笑)。
──これからは表番長にならないといけないですね。
浜浦:(笑)。そうですね!
──ソロアーティストデビューのお話を聞いて、率直にどうでした?
浜浦:不安でした。歌に苦手意識があったから、ソロで大丈夫かなと思ったし、他のメンバーに助けられていた部分があったからソロで楽曲を丸々1曲歌うとどういうことになるんだろうと不安はあったんですけど。今回「HGL」という楽曲をいただいて、今までの浜浦彩乃とは違う雰囲気を出そうというので、新しい浜浦彩乃を見つけられた気がします。
──それ、言語化できますか? 新しい浜浦彩乃について。
浜浦:歌い方なんですけど、こぶしファクトリーの時はパワー系だったんですよ。CDを聴いてる人にも感情をぶつけるみたいな感じでレコーディングしていたんですけど、今回はニュアンス重視。
K-POP寄りの曲調ということもありますし、ブレス多めで歌ってみたりとか、そういうオーダーを自分の中でもクリアできたりとか。表現の仕方というのも、解散してから5年間でいろんな舞台の経験を経て表現力がついた浜浦彩乃だなと思います。

──ということ、“演じる”と“歌う”は直結しているということ?
浜浦:そうかもしれない。今回は、A盤、B盤、C盤で別の曲が入っていたりするんですけど、全て雰囲気が違う楽曲になっていたりして、伝えたい思いも全て違うので、結局何処かで演じているのかなと思ったりもします。
──なるほど。確かにそうかもしれない。歌を介してまた別の浜浦彩乃になれる。
浜浦:あはは(笑)。だから、MCが一番苦手です(笑)。素の浜浦彩乃だから!
──(笑)。アーティストとして今後はどういうチャンレンジをしていきたいですか?
浜浦:こぶしファクトリーの解散ライブをTOKYO DOME CITY HALLで行ったんですけどちょうどコロナ禍で、無観客ライブだったんですよ。なので、ソロメジャーデビューしなかったから出来なかった夢なんですけど、ソロでもそこに立てるように。
TOKYO DOME CITY HALLに立って、解散の時に見れなかった景色を皆さんと見たい。ソロで立つのは簡単なことではないと思いますけど、目標があった方が私は頑張れるので、力をつけていきたいなと思います!
新たな一歩となった『HGL』
──期待しています! ここからは、デビュー作についてお聞きします。「HGL」はどんな曲に仕上がったと思いますか?
浜浦:大人っぽいなと思いました。解散したときが19歳だったので、当時だったらこの楽曲は歌えてないなと。
24歳になった今だからこそ歌える楽曲だなと思いましたし、“Happy-Go-Lucky”というすごく前向きな曲ですし、ソロメジャーデビューする私自身の背中を押してくれている楽曲だなと思います。
──実際に歌ってみていかがですか?
浜浦:ライブで初披露した時には、お客さんがどんな反応をするんだろうと思ったんですけど、すごくファンの方にも好評で披露するたびにコールが増えていったりするので、一緒に曲を作っていっているなという感じがしますね!
──いいですね。次に「Cinderella/24」ですけど、これはもう浜浦さんの曲ですよね?
浜浦:そうですね。これは今までの浜浦彩乃の人生を描いたような曲で。タイトルの24も自分の今の年齢とシンデレラの24時というのを合わせている楽曲なんですけど、この曲にも背中を押してもらっているなと思います。
あと、歌詞がすごく好きで、2サビの〈近道はない何度ぶつかっても〉という歌詞が好き。
自分的には上手く生きられない人間で何度も壁にぶつかる人間なので、この曲は私の気持ちを代弁してくれているなと思います。
──気持ちを代弁した曲を実際に歌ってみてどうですか?
浜浦:毎回感動します。すごく気持ちが入ってしまう。開放感のある曲で、縮こまらなくていいんだと思いながら、自分の表現したいことを歌えている感じがします。
──歌から気付けることがたくさんありそうですね。
浜浦:本当に! そうなんですよね。
──「Promised Place」もいい曲ですよね。
浜浦:この曲は最初に上がってきた歌詞と変わっている部分も多くて。私の入れたい言葉も多く入れていただいた楽曲です。
2サビに〈必ず 逢えると あの日にキミと誓い合った〉とあるんですけど、私がこぶしファクトリーを卒業するときにブログでファンの方と「かならず会いましょう」という約束をしたんです。それをファンの方に伝えたいなと思ってこの歌詞を入れていただいて。私の言った言葉を通してもらった楽曲だなと思います。
──難しそうな楽曲だなとも思ったんですけど。
浜浦:難しいです! 音が高くて! サビでライブを重ねるごとにファンの皆さんがクラップをしてくれるので、楽しいなと思えるようになってきて。
リリースイベントをやった時にお買い物をしに来ている小さなお子さんとかが2階の方で手拍子しているのを見て、すごく嬉しくなりました。
──最後に「#bff」ですが、可愛らしい曲ですね。
浜浦:他の曲とはテイストが違いますよね。片思いをしている女の子のお話で、「bff」って私の世代で流行った言葉なんですけど、今時の楽曲だなと思います。インスタも出てきたり、女の子に共感していただける楽曲になっているかなと思います。
──でも、好きな人に「#bff」ってアップされたら泣くよね?
浜浦:(笑)。悲しいですよね。曲調はポップで明るめなんですけど、言っていることは悲しかったり。そこのギャップで逆に心に来ると言いますか。すごく共感できるかなと思います!
──ポップに歌うのも難しそうですね。
浜浦:リズムが難しくて、今までハロプロで鍛えられたリズムがないと歌えなかったと思います(笑)。その経験があったから歌っていたすごく楽しいですし、振り付けもすごく可愛いので、そこを一緒に真似していただけたら嬉しいですね。
この曲は2回レコーディングしてて。1回目上がってきたものに自分が納得いかなくて、もう1度録り直したんですけど、思い入れのある曲ですね。

──納得いかなかったのはなぜ?
浜浦:曲調が可愛いのに自分が可愛くなくて(笑)。ちょっとこぶし感が強かった。
もちろん1回目のレコーディングでも可愛い女の子の気持ちで歌っていたんですけど、聴いてみるとこぶしが効きすぎてて可愛くなくて……。
だから2回目は研修生の頃を思い出してキャピキャピ感を出して歌いました!
──キャピキャピを出すのは難しいですよね。
浜浦:そうなんですよ! 20代でもあるので、忘れかけていたキャピキャピを出して…。
──いや、早くないですか? まだキャピキャピしててもいい年齢ですよ!
浜浦:(笑)。この曲で思い出せました!
自分らしさは、素直なところ
──「HGL」の〈自分らしく〉という歌詞にちなんで聞きたいんですが、浜浦さんの自分らしさってどんなところですか?
浜浦:素直なところですかね。嘘つくのが苦手だし、嫌と思ったことはすぐ顔に出る性格なので、自分に素直に生きようと思っていて。
嫌なことはやりたくないし、好きなことをやりたいと思うので、あまり自分に嘘をつかないように生きようと思ってます。
占いでも「好きなことだけやった方がいい」と言われて、嫌なことをやるとその分迷いも出る性格らしく、自分に嘘をつかず生きていこうとそこでも思いましたね。その方が後悔が少ない!
──確かに! それはハロプロ時代から根底にあった?
浜浦:いや、ハロプロ時代はがむしゃらでそこまで考えてなかったんですけど、ソロになって自分をプロデュースしていかないといけないというのもあって、そういうふうに思うようになりました。
とはいえ、好きなことだけって難しいと思うから、嫌なことでも自分の中で消化できるようにしたいなと思います。
──改めて、本作は浜浦さんにとってどんな作品に仕上がりましたか?
浜浦:新たなスタートという作品ですね。こぶしファクトリーで2015年にデビューして、今年で10周年を迎えるんですけど、そのタイミングでソロとしてデビューするということなので、本当に新たなスタートでジャケット写真も今までとは違う雰囲気にしていただいたり、自分の意見もたくさん言って形にした作品なので、新しい浜浦彩乃のスタートの作品になったと思います。
──ここで恒例の質問をさせてください! 収録される曲の中で浜浦さんの推し歌詞・フレーズを教えてください。
浜浦:「HGL」の〈休んでもいいからあきらめないで〉という歌詞がすごく好きで。
人生って生きてれば疲れるし立ち止まりたくなる時もあるんですけど、諦めたら終わりだなと思うので、一度休んで冷静になってもいいから諦めちゃダメだなってことをみなさんにも伝えたいですし、自分自身もこの歌詞に鼓舞してもらっているなと思います。
──今後、浜浦彩乃の楽曲をより多くの人に届けるために、どんなことをしていきますか?
浜浦:歌声が特徴的と言われることが多くて、大勢で歌っていても分かると言っていただけるので、ソロになってもそこをより活かせていけたらいいなと思いますし、いろんな歌い方が出来るというのは強みだと思うので、そこを活かして頑張っていきたいです!

Text 笹谷淳介
Photo Kei Sakuhara
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【UtaTen インタビュー】
浜浦彩乃がソロデビュー作「HGL」をリリース。
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彼女が歩んだ軌跡を辿り、本作の魅力、アーティスト・浜浦彩乃の素顔に迫る。
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最後までお見逃しなく!#浜浦彩乃 #HGL #UtaTen pic.twitter.com/U5SWlIfkFq
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