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SUPER BEAVER「片想い」歌詞の意味を考察!僕が望んだ「あとひとつ」とは

東京都出身4人組バンドSUPER BEAVERがスイーツ・ヒューマンドラマ『バニラな毎日』のために書き下ろした挿入歌『片想い』。衣食住だけではままならない生きることの根幹に迫った歌詞の意味を考察していきます。

SUPER BEAVERが大切にしている「ことば」

2020年にメジャー再契約を果たしたSUPER BEAVERが2025年第1弾CDシングル『片想い / 涙の正体』を3月12日にリリースしました。

▲SUPER BEAVER-片想い【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

NHK夜ドラ『バニラな毎日』の主題歌が『涙の正体』で劇中歌が『片想い』です。

『バニラな毎日』は「大阪の小さな洋菓子店の厨房で五感を刺激するお菓子の魔法が、ささやかな幸せを生み出していく」というドラマです。

キャッチコピーは「明日の自分さえわからないのに、今、幸せになれる。お菓子の力ってすごい」です。

悲しみや不幸が多いと感じる世界でずっとSUPER BEAVERは希望を歌ってきました。

作詞作曲を担当している柳沢亮太は2024年のインタビューで「歌っても歌わなくても同じなら」「歌ったほうがいい。成功するまで続けないと、成功しないので」と答えています。

2025年2月にはSUPER BEAVERの楽曲の歌詞に焦点を当てた特別展示『あなたと生きる「ことば」たち』も開催されました。

SUPER BEAVERがいかに「ことば」を大切に伝えてきたか分かる企画であり、また多くの方の心に響く歌詞がSUPER BEAVERには多いかも伝わってきます。

メジャー再契約を果たしたSUPER BEAVERはコンスタントにタイアップ曲を作ってきましたが、その度に物語に寄り添いつつ、自分たちらしさも見失わない楽曲を作ってきました。

本作の『片想い / 涙の正体』も『バニラな毎日』に共鳴しつつ、SUPER BEAVERが常に向き合ってきてテーマをしっかりと描き出しています。

ボーカルの渋谷龍太は2024年のインタビューで「努力は人を裏切らない」とか「がんばれば夢は叶う」とは言えないけれど、「それを知ったうえで全部あきらめるのかとなったら、そうじゃないところに目を向けたい」と答えています。

そんな夢は叶わないかも知れないけれど、きっぱり諦められるわけでもない気持ちを歌った『片想い』の歌詞について今回は考察していきます。

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どこか遠くで 打ち上がる 花火の音
どうしようもないのに 焦ってしまった
片想いみたいだ ずっと 夢見なかったら
味わわなかった やるせない思い
≪片想い 歌詞より抜粋≫
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歌いだしで花火が打ち上がっています。

ただし、歌詞の人物「僕」は「遠くで」「花火の音」を聞いているだけです。

打ち上がった花火それ自体は見ていません。

しかし、その音で「どうしようもないのに」と焦ってしまいます。

花火を見ていないからこそ、花火の存在を強く感じ取ってしまう。

世の中には往々にして、そういう瞬間があります。

この「花火の音」によって、「僕」は自分が抱えている感情が「片想いみたいだ」と思います。

まだ、この時点では「みたいだ」です。

「焦ってしまった」後なので、自分の中に沸き立った感情を上手く受け止めきれていないのかも知れません。

それでも、この「片想いみたい」な感情は「夢見なかったら」「味わわなかった やるせない思い」だとは分かっています。

「僕」の片想いの矛先は「夢」のようです。

「だけど」「みたいな」の曖昧さ


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だけど
好きなんだよなあ
好きなんだよなあ
生きる、は 好きだけでは
ままならないとしても
≪片想い 歌詞より抜粋≫
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「だけど」の一言で、スイッチが切り替わります。

「僕」は「花火の音」を聞いて自分が「夢」に向かってやってきたことは「片想い」だったと気づきます。

しかし、その次の瞬間には「好きなんだよなあ」です。

「やるせない思い」を抱いたとしても、ここまでやってきたことは「好き」だから、と今までの自分を冷静に思い返しています。

ただし、「片想い」と気付いてしまったことも分かっているために「生きる、は好きだけでは」「ままならない」と言語化します。

その上で「としても」と続けます。

「ままならないとしても」「夢」を追い続けるのだ、という意思がここからは垣間見えます。

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烏滸がましくとも 歓びになれないかな
幸せになれないかなって あなたの
≪片想い 歌詞より抜粋≫
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「あなた」が登場しました。

「烏滸がましくとも」あなたの「歓びになれないかな」「幸せになれないかな」と歌っているため、僕の「片想い」をしている夢をあなたに向けたことが分かります。

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別になくても 生きられるけど
あれば ちょっと微笑えるような
あとひとつに 夢見ている
≪片想い 歌詞より抜粋≫
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「あなた」に語りかけているのでしょう。

「僕」の「夢」は「別になくても 生きられる」ものだけれど、あれば「微笑えるような」ものです。

非常にささやかだけれど、重要なものだと分かります。

続く歌詞で「言わば希望みたいな」「はたまた温もりって言うのかな」と、「僕」自身「微笑えるような」「あとひとつ」が具体的にどういうものか分かっていません。

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生きる、は 衣食住だけでは
ままならないよ ままならないよ
≪片想い 歌詞より抜粋≫
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ただ、「生きる」ことには「あとひとつ」が必要だと「僕」は思っています。

ここで言う「生きる」は「衣食住だけでは ままならない」と言っているため、もっと人間の内面に響くものだと分かります。

ちなみに「ままならない」を調べると「思い通りにならないときの不自由さを表す言葉」と出てきます。

衣食住があれば、人は生命活動自体は維持し続けることができます。

しかし、それだけでは「ままならない」、つまり不自由だと『片想い』は言います。

僕とあなたが共有した「夢」


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どこか僕たち 似たもの同士なのかもなって
惨めになって 尚更に 願いが身に沁みるのでしょう?
≪片想い 歌詞より抜粋≫
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「あなた」と呼んでいたのに、ここでは「僕たち」になり「似たもの同士なのかも」と距離が近づいたのが分かります。

続く歌詞「惨めになって尚更に」で、僕とあなたは「夢」を共有した印象を持ちます。

二人は一緒になって惨めになる経験をしたのでしょう。

「僕」は過去に経験し、「あたな」は初めての経験。

だから、そのあとに「願いが身に染みるのでしょう?」

と僕からあなたへの問いかけが入ってきます。

「夢」を追う「片想い」の気持ち、分かるでしょ? と。

だとすれば、二人の間に確かな絆が芽生えたことが伝わってきます。

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他人にとっての不必要に 全部を賭している
行き着く先も まだわからないで もう後にも引けないで
≪片想い 歌詞より抜粋≫
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歌いだしの「花火の音」に「焦ってしまった」僕はもういません。

自分の「夢」が「他人にとって不必要」だと冷静に理解した上で「全部を賭して」います。

先は分からないけれど、「もう後にも引けない」とありますので、自分はこの「片想い」を貫くのだ、と決めたことが伺えます。

そう決断できたのも「あなた」と出会って、「僕たち」と言える関係を築けたからでしょう。

続く歌詞は前半にもあったフレーズの繰り返しです。

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だけど
好きなんだよなあ
好きなんだよなあ
生きる、は 好きだけでは
ままならないとしても
≪片想い 歌詞より抜粋≫
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前回は「ままならないとしても」夢を追いかけるんだ、という決意が伺えました。

そして、その「としても」の先に「あなた」がいました。

今回は「それは希望なんだよな」「やるせなさも許せるくらいに」と続きます。

これは「僕」にとっての「夢」に対する結論です。

「別になくても 生きられるけど」「あれば ちょっと微笑えるような」「あとひとつ」が僕にとっての夢でした。

それを曖昧に「希望みたいな」「はたまた温もりって言うのかな」と言葉を濁していましたが、「僕たち」と言える「あなた」に出会った僕は「それは希望なんだよ」と断言します

更に、その希望は「やるせなさも許せるくらい」のものです。

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生きる、は 衣食住だけでは
ままならないよ 心がきっと
心がないと 生きられないよ
≪片想い 歌詞より抜粋≫
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ここも繰り返しですが、結論が違います。

「心がきっと」と最後も僕は曖昧な「きっと」をつけてしまいます。

その上で「心がないと 生きられないよ」と結論付けます。

『片想い』という曲の中で何度も「僕」は躊躇する言葉を繰り返してきました。

「打ち上がる花火の音」で焦ってしまうような「僕」です。

自信を持って言い切ることを控えてきました。

けれど、「あなた」に出会って、「似たもの同士」になれたことで「心」は生きることに必要だと言い切るに至りました。

自分を変えることの困難さ

この曲のタイトルは『片想い』です。

片方の心だと解釈することも可能です。

「僕」が「花火の音」で気付いた「片想いみたいだ」は「夢」に向けた思いでしたが、そこに重なるように、生きることに心が必要だと言い切れない自分を発見してしまったとも考えられます。

そんな自分を変えるために僕は「全部を賭して」夢に向かって進んだのかも知れません。

「片想い」という曲は僕が「僕」を変えるための戦いの曲だと言うことができます。

世間では「他人と過去は変えられないが、自分と未来を変えられる」と言われたりしますが、変えられるからと言って簡単なわけではありません。

むしろ、自分だからこそ困難な場合だってあります。

それでも自分を変える戦いに身を投じようとする時、SUPER BEAVERの片想いはとびっきりの応援歌となってくれるでしょう。

ぜひ、自分を変えたいと思った時に『片想い』を聴いてみてください。

SUPER BEAVER(スーパービーバー)。 渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“35才”広明(Dr)の4人によって2005年に東京で結成された。 2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビュー。 2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、···

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